第147話 勇者と魔女と元龍
「はー。
そんな子供達がいるのか。」
そうなんだよ。
最初は事を荒立てないでチャンピオンになって謁見した時に、なんかやってやろうと思ったんだけど、根が深いみたいでさ。
もう、滅茶苦茶にしてやろうと思って。
「はは。
お前は俺の時も滅茶苦茶にしたならな。」
そう?
ペリンがウダウダやり過ぎなんだよ。
「そうよ、旦那様。
ラルフが居なかったら、今でも戦っているわよ私たち。」
「私はそろそろ誰が拐って子供産んでたかもねぇ。」
物騒なんだよ。
みんな元気で良かったよ。
「こっちもまさか師匠が初代様と一緒にいるなんて想像してなかったよ。
あのババア、竜になって飛んでったって絵本のオチを地でやってるやっばい魔女なんだから。」
初めに会った時は竜だったよ。
ほら、エアリスが産まれたての頃にエアリスを殺しまくった呪いでそうなったんだって。
「覚えているわよ。
もー、凄い強くて怖かったんだから。
でも、私も龍だからね。
負けた方が悪いから、今は何も思ってないけどね。」
なんかその辺ドライだよね、龍達。
あ!思い出した!
リナリーン!
お前俺の結婚相手願ったろ!
滅茶苦茶大変だったんだからな!
あの後龍のお姫様と戦わされたんだぞ!
「あっはっは。
本当?
良い出会いをくらいのつもりで言ったんだけどね。
で?
勝ったの?」
勝ったからよくないんだろ。
龍は自分に勝った相手に固執するんだから。
「うっそー!
お姫様に勝ったの?
信じらんない。
婚姻目的の龍のオスを凹まして周ったのに。」
聞いたよそれ。
マジで強かったって。
でも相性が良かった感じかな。
普通にぶん殴られてたら負けてた。
リナリーンに勝った時もそんな感じだったろ?
「そうね。
戦いでは勝てたと思うけど、女として負けたわ。」
やめろよその言い方。
旦那が隣にいるだろ。
「まぁ、ボンはいい男だからな。
リナリーンみたいな可愛らしい性格の女だと勝てないだろうな。」
…すっごいなペリン。
やっぱ勇者だわ。
それで、俺の仲間に会ってく?
別の部屋にいるから連れてくるぞ?
「いや、辞めておこう。
今会って仲良くなってしまったら、お前と全力で戦いにくくなるからな。」
はぁ…やっぱり手を抜く気はないのね。
「当たり前だ。
ボンの事情はわかったが、勝負は別だろ?
なに、俺が勝ってもお前の願いを叶えたら一緒だ。
なにより、楽しみなんだよ。
ラルフと戦うのは。」
…実は俺もだよ。
「あらぁ?
なら師匠が勝ったら私は師匠に鞍替えしちゃおうかしら。」
やめろ馬鹿。
「あっは。
冗談よ。
お腹に子供いるしね。」
マジか、おめでとう。
あ、これあげておくわ。
小児性魔力過多症の薬。
2人の子供なら可能性あるだろ?
「師匠色々やってんのね。
確かに村でもこれで死ぬ子がいたわ。
使うことがない方がいいけど、頂いておきます。
ありがとね。」
うん。
元気な子供を産めよな。
「それで、初代様は元気なの?
もう800歳くらいでしょ。
おばあちゃんよね。」
いーや。
呪いのせいか何かは知らないけど、今のリナリーンと変わらないくらいだよ。
今は俺の友達のピリルルを狙ってるわ。
「え?
王子様を狙ってるの?
やるねー。」
な。
でも今はさっき言ってた子供達を任せてるから、どうあれすぐの話ではないね。
「そうか。
…すごいな、ラルフは。
俺は龍を殺すことしか解決を考えなかったけど、お前は友達になったんだな。」
いや、そんな褒められてもね。
普通だよ。
「もし、あれだったら子供達まとめてうちの村に来たらいいよ。
リナリーンもいるし、旦那様もいるし。」
あぁ。
それもいいかもね。
ありがとな、エアリス。
「楽しみだな。
ラルフと戦うのが。」
そうだね。
全力を尽くすよ。
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