第86話 なぜ龍の国へ?
ところで、僕らはなんで龍の国に連れらるわけ?
そもそもさ、それがわかってないのよ。
「え?龍神様説明してないんですか?」
してないよ。
聞こうと思ったんだけど、魚に心を奪われて教えて貰えるまで話が進まなかったんだよ。
「通りで質素な格好してると思ったよ。
あの、どちらが龍を倒したやつ?
年齢はなんとなく聞いていたんだけど、それがどちらか俺らには分からなくて。
言葉がわかる俺が来たんだけどね。
不快に思ったならごめんね。」
いや、僕らも同じだよ。
龍の年齢なんてわからないもの。
龍を倒したのは僕だよ。
ラルフといいます。
こっちは父のジェマ。
「そっかそっか。
すげーな。
ラルフね。
あ、勘違いすんなよ?
仇を取ろうとかそういうんじゃないからね。
俺らは挑戦を受けるが種族として好きで、自分たちが最強だって理解してる。
だから、倒したやつはスゲーし、倒されたやつも、そんなスゲーやつの挑戦を逃げなかったんだから尊敬されるべき。
そうだろ?
カッコいいだろ?
そんなやつ。」
あはは。
カッコいいね。
「だろ?
ラルフとやったのは嫋々のだろ?
存在が消えたのはわかってるんだ。
…あいつは死んだのか?」
いや、惚れた人間がいるのがわかったから、僕が願って人間にして貰ったんだ。
「あ?
じゃあ今回の話はなんなんだ?
いや、それはカッコいいけどよ。
願いでこうなってるもんだと思ったから、繋がんねーんだよ。」
いや、だから今回の話ってなにさ。
それを聞いてないんだよ。
僕はさ。
「あぁ、悪い。
結婚式だ。
お前の。」
はぁ?
婚約者いるよ、僕は。
「えぇ!
でも願われたんだよ。
だから龍神様が張り切ってあっという間に準備始めてさ。
…じゃあ相手も知らないよな。」
知らないよ。
アンヌが来てるならなんの問題もないけど…違うんでしょ。
「俺らはそのアンヌを知らないもん、無理だよ。
はぁ…じゃあ、願いはあんたの仲間だな。
さっきの話から察するに、自分が嫋々を嫁に貰って幸せだからお裾分けしたんだろ。
…それをウチの神様がハジけてとんでもない相手をアテンドしたってわけだ。」
怖い事いうなよ。
とんでもない相手って…。
「あぁ。
…ウチらのお姫さんだ。」
おぉ…。
断ったりは…。
「龍王様、怒り狂って血の涙を流しながら許可出してたぜ…。
やっぱなしなんて俺は言えねーな…。」
龍神様!
龍神様なら言えるんじゃない?
「怖かったなぁ、あの龍王。
願いじゃなかったら世界滅ぼしてたんじゃない?」
使えねぇ!
龍にとって願いってそんなに重要なのね。
「そうだ。
普通人には勝てない、そいつの全てを懸けてる勝負の果ての、その願いを無碍にすることなんで出来ないからな。」
確かにな…。
今回もペリンとエアリスの願いの果てだ。
それがやっぱなしで、とはならないよな。
「しかし…ペリンがそんな気の利いた願いを出すとは、私は思えんぞ?」
その通りだ。
僕もそう思う。
でもさ、隣にいたでしょ。
勝手に人の幸せお裾分けしそうな妄想魔女が。
「あ、リナリーンも一緒に戦ったんだったな。
なら仕方ない。」
仕方ないってあんた…。
確定だ。
リナリーンが勝手に願ったんだ。
あの人あれでかなり浮かれてたんだな…。
ギリギリ許せ…ない!
なんだそれ!
人の話も聞かず、勝手に何願ってんだ!
言ったよ?
僕はエアリスとリナリーンに帰ったら婚約者と会うのが楽しみだって。
都合の良いとこしか聞かないし、自分の思い描いた未来に固執してるから婚期が遅れに遅れたのに!
がぁー!
「お、良い咆哮じゃないか。
龍としてもやっていけるぜ、ラルフ。」
やめろ!
戻ってくれ!
僕を家に帰してください!
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