第83話 早く休みたい

ごめんね、ペリン、リナリーン。

3人で戦ったのに勝手に願い事言っちゃったよ。


「いや、俺は構わんが…。

この泣いている娘は一体だれだ?」


え?

誰かもわからず抱き止めたの?

あぁ、エアリスだよ。


「エアリスです…。」


「なっ!

龍が人となったのか?

何故?」


エアリスが望んでいたんだよ。

ペリンと添いたいって。


それに気がついたから、赤い光の願いの力をエアリスを龍から人にすることに使ったのだ。


「しかし俺は…。

リナリーン!

俺は、俺は君が好きだ。

君を傷つけられず、君に勝てなかった。

だから、龍を倒し君の役目を終えさせて、弱くとも共に生きていけることを願ったのだ。


しかし、訳がわからないことになった。

なんだこれは。

想像していた結末と一つも合っていない!」


あはは。

ペリンがノロノロ迷い続けたせいだよ。


「ペリン、貴方ずっとここで戦い続けていたのかい?

…凄いねあんた。

だけどね、この子は、ラルフは私を傷つけず負かしたよ。」


「えぇ!

凄いなラルフ。」


リナリーンは言ったよね。

自分を負かしたら好きにしていいって。

エアリスも言ったよね。

龍を倒したら全てが叶うって。


「言ったね。」

「言った。」


なら僕が言うよ。

2人とも、素直にペリンに貰われなよ。


ペリンが異常だっただけで、リナリーンの強化幅も十分愛してると言える範囲だ。


あんたも待ってたんだろ?

ペリンが来ることを。


なら2人とも娶って貰いなよ。


「…いや、ボン、2人も嫁を貰うことはならんだろ。」


え?なんで?


「なんでって…。

当たり前だろう。

1人の夫と1人の妻、それで夫婦だ。」


あれ?

魔女の村ってそれだと維持出来なくない?


「うん、うちの村は多妻なことが多いな。」


龍は?


「過去に龍が人になって婚姻した事なんてないから分からん。」


そうですか。

ほら、問題ないって。


「そうなのか。

ならば問題ないな!

2人とも!

俺と結婚してくれ!」


「うん。」


「まぁいいさ。

惚れた弱みだ。

理想とは全然違うけどね。」


「理想ってなに?リナリーン。」


「ん?あぁエアリスはお姫様って概念がないか。

後で教えてやるよ。

そうしたらあのジジイがどれだけ女を待たせた酷い男かわかるよ。」


ひどい話だ。

まぁ事実か。


もうなんか付き合ってらんない。

後は3人で解決して欲しい。


「そうだね。

あとは私ら3人でなんとかするよ。

はぁ、子供もできない歳になっちまったが、結局なる様になるってやつだね。

なんか昔からそんな気はしてたんだ。」



はぁ、一旦魔女の村へ帰ろうか。

疲れたから一度休みたい。




村へ帰ると、意外な人物が待っていた。

僕の父だ。


「ラルフ!

心配したぞ!」


走り寄る父は僕を抱きしめた。


「リナリーンに拐われたと知って探していたんだ!

良かった、無事で。」


え?

拐われてたの?僕。


「私は拐ってないよ。

面白そうな子供がいるから鍛えてくれってシーから手紙が来たから連れて来ただけだよ。」


それって拐ってんじゃない?


「リナリーンと…ペリンか?

お前ら一緒にいたのか。

…その娘は?

また拐って来たのか?」


「おぉ!

サシュマジュクじゃないか!

この娘は俺の嫁だ。

エアリスという。

よろしくな。」


ペリンはなんで一発でわかるのさ。

歳が違うでしょ。


「サシュマジュク?

歳が違いすぎるじゃないか。

アイツはもっとジジイだろ?

アイツの息子くらいの歳じゃない。」


ほら、これが普通の反応だって

…でも説明をするとなると、ややこしい。

みんな勢いで生きていけるならスムーズなのに。


とりあえず城へ行こうよ。

一つずつ片付けよう。


いい加減早く休みたいし。

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