第80話 愛の力で

僕は前世で成人していたが、もちろん前世は前世で子供時代があった。

毎週末の朝に楽しみにしてた。


変身ポーズしたりなんかしてさ、ベルトのおもちゃなんかも親にねだったな。

憧れのヒーローたちの活躍を心待ちにしていたもんさ。


でもなぁ。

こっちじゃないんだよなぁ。


愛の力で強くなるのは、ヒーローたちの後の時間帯だ。

さ、やるぞー

ジジイとババアをキュアキュアさせて愛の力でやっつけよう。


今回の能力は

愛属性魔法だ。


………


「また死にましたね。」


そうなんだ。

久しぶり。

今回はちょっと急ぎなんだよ。


「見てましたよ。

よく龍に傷を与えられましたね。

龍って神と同じくらい強いんですよ。」


そうなの?

やっぱ龍ってすげーんだなー。


あれ?でもペリンって一度倒したヤツいるんだよね。


「それは竜です。

トカゲの化け物ですよ、そっちは。

それでも勝てる様な人は一握りでしょうけどね。」


別なんだ。

人にはおっきな違いがわからないね。


あ、今回は急いでるんだよ。

もううんざりしてさー。


ペリンも男らし過ぎて周りくどいんだよ。

だから直接と思ってさ、上空に魔法バシバシ飛ばして、おそらく僕を探していると推測して、リナリーンを呼び寄せた。


3人で勝手にやれって思って始めたんだけどさ、ここまで首を突っ込んじゃったから、援護したくてさ。


頭の上に好感度ゲージ見える様になったりとかできないの?


「なんですか、それ。

そんなのないですよ!

怖…。

冒涜ですよそんなの。

人の気持ちをなんだと思ってるんですか。」


いや、あったんだよ前世で、ゲームとかで。


「…愛属性魔法にします?」


なにそのプリティなやつ。


「聖女伝説に残る愛の力で回復を、とか愛の力で強くなる!とかそんなやつです。」


聖属性じゃないの?


「愛なんて綺麗なものじゃ無いですから。

古い時代は決闘魔法とか絆魔法とか呪属性魔法なんて呼ばれてましたよ。

時の聖女が愛の力愛の力連呼してゴリ押したので愛属性魔法と名前が変わりましたが。」


おぉ。

まーなぁ、愛なんて呪いと同じ様なもんだよなぁ。


「基本的な使い方は人と人を魔力で繋いでその2人の感情の過多で強くなったり、傷が治ったりするんですよ。

最古はお互いにかけあって斬り合ってたらしいですが、その内仲間にかけて敵を襲う魔法になったと。」


いや、それはわかる。

なんで呪属性?


「感情をエネルギーにする魔法なので…思ったより弱かったり強かったりすると…ね。」


おぉ。

集団クラッシャー属性と名付けたいよ、僕は。


「神としては心属性としたいところですが、聖女があまりに必死だったので愛属性としておきましょ。

愛属性の使い手に呪われたく無いでしょ。」


たしかに。

やっぱ呪属性じゃん。


「ごちゃごちゃ言いましたが、シンプルな魔法です。

魔力を心でブーストして発現する魔法です。

なので恨みや怒りでも構いません。


威力は魔力で繋がれたものの関係性しだい。

そんな魔法ですね。


じゃ、そろそろお戻りなさいな。

佳境でしょう。」


ありがとね。

神様、じゃあ行ってくるよ。


「貴方の幸せを願っていますよ。」

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