第65話 グラビア付きのポエムレター


土属性魔法か…

お父さんは聖属性と水属性が得意で、シーさんは風と火だ。ティナは満遍なく学んでいるが、やはり死属性が得意だ。


専門家はいないんだよなー。


「あたしの師匠は土魔法得意だよ。

教えてもらえないか手紙だしておこっか?」


えー!

本当に?

助かりますー!


「明後日先生帰ってくるから、直接指導してくれる人は先生に紹介して貰ってね。」


お師匠さんはどんな人なの?


「ここからずっと北の方の村の村長だよ。

先生も知ってる人で魔法がすごい得意なおばぁちゃんだよ。」


へぇー。

そういえば誰か北の方の出身がいた気がするなぁ。


「とりあえず手紙出しておくね。

ぴーちゃんに持って行って貰うから、明日には返事くると思うから、それを見ながら先生に相談しよ、ね。」


うん、そうしよう!

持つべきものは家族だなぁ。


「じゃあ僕は日課の剣術の練習をしてくるね。

今日は久しぶりにブランドさんたちが来るから、今のうちに身体あっためとかないと。」


うん。

頑張ってね。


さ、早いうちに師匠に手紙をだそうかな。

えーと。

師匠あんまり気に入らない人に興味ないからなぁ…。

あたしは村で一緒だったから、娘みたいに教えて貰って居たけど、他所の人に教えてるとこみた事ないし…。


あ、丁度いいや、この前の新聞記事一緒に入れておこう。

ラルフが頑張り屋さんってことが伝わると思う。


あとはあたしが一生懸命に書くだけだ。


大丈夫。

研究で山程文章を書いて来たんだし、ラルフの良いところなんていくらでも書けちゃうんだから。


「シーちゃん研究のやつ書いてるの?

今度はなんの研究してるの?」


これ?

コレは研究じゃないよ?

師匠にラルフの手紙だすの。


「あら、なんで?

え?土魔法?

石碑の前の花が元気なくなってるのを気にしてるのね。

そっか、お母さんいなくなって、あそこはもうただの石が置いてあるだけだもんね。」


お母さん?

あぁ、エマちゃんがあそこを守ってたんだっけ。

そう、そこの花が気になるんだって。


「あらーラルフったら律儀ね。

お母さんに頼まれたのかしら。

本当は私がどうにかしたいんだけど、死属性と土属性って相性が良くないのよね。

なんか土がサラサラになっちゃうの。


見るからに花に良くないのよね。

それをお父さんに話したら、死属性魔法に

偏ってるけど、凄くはっきりと死属性に向いているみたいだから、他の属性を覚えない方がいいかもって言われちゃった。」


あたしもそう思うよ。

あたしも火と風に偏ってるから、水を出すくらいなら出来るけど、発達した水属性使いが出す氷なんて出せないもの。


ラルフちゃんは聖属性が得意みたいだけど、知識面が凄いだけで、はっきりどの属性が向いてるとかまだ無いみたい。


本当はあたしも魔法をいっぱい教えたかったんだけど、意味が分からないほど剣の修行してたからまだ魔力傾向はフラットなままなんだよね。


あれくらい頑張れる子なら魔法も凄くなると思うんだけど。


「ねぇ。

私もそう思うよ。

姉として頑張らなくちゃってなるのよ。

だから今日も勉強よー。


魔法もやってるわよー。

また教えてね、シーちゃん。」


もちろん、ティナも妹のように思ってるよ、頑張ってね。


あ、ティナ、この手紙読んでみて欲しい、師匠難しい人だから…。


「えーと、

うん。

そうね、大丈夫だと思う。

ラルフ、努力家だもんね。


コレでもいい足りないくらいよね!

可愛いし!

ねー!

この前なんてさー…。」


そうして、姉と名乗る2人によって完成された、本人が読んだら失踪してしまいそうな内容の、我が弟ラルフくんの可愛い所を集めたポエムが、ぴーちゃんというシーの召喚獣によって郵送されたのだった。


最近街に蔓延る、あらゆる新聞社のグラビア付きで。

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