第62話 公認と次の能力

話が違うよ神様

剣を掲げたら祝福がありますって言ってたじゃない。


「いやー、そうなんですけどね。

本来はそうなんですよ?

でも、ほら加護が人間用じゃないのが混じっていて、人しか使わないでしょ?

剣なんて。」


人間用じゃない加護?

なんでそんなのが僕についているのさ。


あ、ヤイシャが付けてくれたの?

そういえば神様に神獣にされていたもんね。

いつかまた会いたいな。


そもそも加護ってなんなの?


「加護は加護ですよ。

神が気に入ったものを死ににくくするものです。

たとえば、神によっては傷が治りやすくなったり、食べ物を得られやすくなったりそう言うものですね。

貴方の場合は、死と安らぎの神のタナの加護で攻撃がゆっくり見えるようになって、獣の神ヤイシャの加護で回避行動が素早くなってます。」


はえー

シャルルさんの攻撃を結局クリーンヒットで1度も貰わなかったのは2柱の神のおかげなのか、ありがとね、タナさん。


「いいのよ。

もっと強い加護なら良かったんだけど、こればっかりはどうにもならないのよね。

でもまぁ加護なんてこんなものよ。

死ぬ運命からちょっとだけ逃げられるようになるだけなんだから。

ラルフちゃんはすぐ死んじゃうけどね。」


ホントさ、ラルフィード様の方が死の神じゃんね。

…ん?

ラルフィード様とは仲良くなっていた気でいたけど、加護はくれてないんだね。

なんか…ショックだな。


「私の加護は強いんですよ。

それこそ、貴方の運命を捻じ曲げるほどにね。

それでもよければいくらでもあげますよ?

いります?」


いらないですー

この神が躊躇するレベルって本当にヤバいことになりそうだ。


「それで、どうします?

次の能力は。

今度こそ剣術にしますか?

誰と戦う予定もないし。」


んー。

せっかく自分の力で修めてきたものだからなぁ。

今までの豊富な能力経験上、能力は残る。

超絶才能があるようなドーピング状態にあり、そのとんでもない状態の経験が、ちゃんと自分の経験値として残ってしまう。


せっかく色々な人が手伝ってくれて、自分で頑張って、才能も認めてくれた剣だ。

それを能力で強くしてしまうことを選んでしまうと、この後僕は自分で努力するようなことは無くなってしまうだろう。


「そうですね。

貴方の言うことはよく分かりますよ。

努力はアイデンティティの形成に多大に関わりますしね。

貴方が貴方でなくなる可能性もあります。

ただでさえ、名前も容姿も年齢も安定してないに。


…実は剣術の才能を選んだ場合、生き返らせてすぐ召そうと思っていました。

2秒で。」


最速記録更新しちゃうじゃん。

やめてよ。

安定してないのも神様のせいな部分がかなりあるよ?

すっごいヤバい名前与えたり。

なんだっけ、覚えてないけど。

まぁ、そんなわけでこれからも剣術は選ぶことはないだろうね。


さて、どうしようかな。


困っていることは、ある。

あるけど、それこそ完全に別人に生まれ変わりでもしない限り根本から解決はしないしな。

今をそこそこ楽しんでいるし、悲しんでくれる人達も出来たので、それは避けたい。


「そういえば、僕、神の子って二つ名付いちゃったよ。

いいの?神様的には。

不敬じゃないの?」


「え?

あぁ。

全然構いませんよ。

過去にも一杯いましたし、それも人の営みの内です。

その中ではダントツで一番貴方が一番神の子らしいですよ。

しっくりくるくらいですね。」


しっくりこられても困るな。


「そういえば、能力なしって出来ないの?」


「え…出来ますん…。」


どっちだよ。

出来るけど避けたいってことね。

なんでだよ。


じゃあ久しぶりに異世界初心者パックのアレを貰おうかな。

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