勇者ペリンと魔女と龍
第61話 キラキラした後遺症
ラルフは気がついてしまった。
きっかけは朝起きて背伸びをした瞬間に、窓に映る自分の姿を見たことだった。
うっそー…!
ただの背伸びで手を上に挙げただけで、キラキラと光の粒が舞い降りてきていたのだ。
剣を掲げた時だけじゃなかったの?
これはいけない。
早速ラルフはハズレの教会へと行きたかったが、無理なのだ。
重い二つ名を寝てる間に勝手に付けられてから、屋敷の前で祈る人やら、出待ちの人やら、なんかよくわからない人が大体おり、すんなり出かけられないのだ。
二人のジジイと神様が派手にハジけた結果ラルフの評判は勝手に上がって行くばかりだった。
曰く、幼いのに剣の達人だの、魔法の大家の孫なんだから魔法の方が凄いだの、神に祝福されているだの、謙虚だから家から出ないだの、家で平和を祈り続けているだのもう言いたい放題だ。
「あたしとティナはラルフがシャルルさん避けに剣を真面目に始めるって聞いたときから、めんどくさそうなことになるって思ってた、よ。」
シーさん、そう思ってたなら止めてよ。
「ね。
ラルフも皆も、シャルルおじいちゃん避けに強くなったら余計にシャルルおじいちゃんが執着してくるって、なんで微塵も考えなかったのか不思議よね。」
言われてみれば確かにそうだ。
お父さんに頼んで魔法にのめり込んでいれば、その内諦めたかもしれないのに…。
お父さんは若くなったサシュマジュクとバレてからとっても忙しくなった。
当然だ。
神の奇跡をその身に浴びた聖職者なのだから、呼ばれる呼ばれる。
全然家にも学園にも居られないのだった。
学園の長が居なくなると問題なので、誰か代理になんで話し合いが進んでいたようだ。
その隙をついて園長代理についたのはシャルルさんだった。
権力と、イカれた行動力でその座についていた。
元々教え魔なので、ウキウキで仕事をしているらしい。
ルーベンスさん、ぺぺさん、ララさんは今までとそこまで変わらないが、外に出かけると僕とお父さんの話をせがまれてしまって大変なそうな。
ちなみにもう一人、困ったことになってる人物がいる。
アンヌだ。
正式な婚約はしていないのに、正式に二つ名が聖女になってしまったらしい、本当になにもしていないのに。
よって彼女も様々なところへ呼ばれたり、外へ出ると面倒なのであまり家から出ていないとのことだった。
可哀想に。
得したのはシャルルさんと僕にとんでもない額を賭けていたカルさん、ブランドさん、ルーベンスさん、そしてサンドラさんだけじゃないか。
後で聞いたその額に引いたよ。
年収クラスの金額をギャンブルに賭けないでよ。
とりあえず外で見られたら更にヤバくなりそうな祝福の能力をどうにかしたい。
「ティナ、タナさんに石碑に来れないか聞いてみてくれない?」
ティナがハズレの教会でその話をすると、嫌な予感はしてたのよね、といい、今晩石碑まで来てくれるらしかった。
そうして僕は1週間ぶりに召されたのだった。
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