第28話 謎の女児
屋敷にいた透けた女の子はこちらに危害を加える様子がなく、ただ家内の人を観察しているようだ。
…鑑定してみるか。
無闇に使わないでおこうと決めていたんだけど、危ない者かもしれないし…。
どれどれ…。
がっ…!
頭が割れそうだ…!
これ以上はダメだ!
召される!
危なかった…。
脳に直接ダメージがあるような感覚だ。
なんだ…?
誰が話しかけてる…?
「あなた!
無粋な人ね。
せっかく私のこと見える人が来たのにいきなり乙女を探ってくるなんて失礼でしょ!
馬鹿!」
それについては申開きのしようがございませんが、貴女は一体何者なんでしょうかね。
「タナ!
私はタナ!」
タナちゃんね
はいはい。
名前を教えてくれてありがとね。
僕は生きてるのか幽霊なのか、危なさそうなのかどうかを知りたいんだけどね。
「ラルフ、どこを見ているのだ。
こっちへおいで。
家族を紹介しよう、ララ。
みんなはまだ働いている時間かな?
紹介を先に済ませた方がいいだろうとおもうので、談話室に集めてくれないか。」
「わかりました、先生。
ラルフちゃん、またあとでね。」
わかりました。
じゃあ、タナちゃん、さようなら。
3人で屋敷の廊下を歩くと、窓から中庭が見える。
そこには大きな石碑が建っており、周りは花に囲まれていて、平和で綺麗な空間だ。
「見事な花だろう。
石碑を建てる前はただの焼跡だったからただの荒地だったのだが、慰霊を始めて3年ほど経った辺りから花が咲き始めてな。
農の知識はあまりないのだが、焼けた土は栄養になるらしいからなのか、冬でもずっと咲いているのだ。
これが慰めになるといいのだが。」
「綺麗でしょ!
ここまでお世話するの大変だったんだから。
…大丈夫よ。
きちんと鎮魂できてる。
貴方の家のおかげね。」
タナちゃんついて来ちゃってたのね。
…僕が伝えるか。
大切なことだ。
「お父さん、ここが慰霊碑なんだね。
きちんと鎮魂できている気がするよ。
そんな感じがする。」
そうか…。
と言いながらお父さんは頭を撫でてくれた。
タナちゃんは親指をグッと立てている。
いや、君も鎮魂されなさいよ。
「なんで私が鎮魂されなきゃいけないの?
幽霊じゃないわ。
失礼しちゃう。
貴方さっきから失礼ね。
だめだよ、そのまま大きくなったら嫌われちゃうんだから。
気をつけてなさいね。」
なんで僕と同じくらいのチミっ子に説教されなきゃいけないのだ。
存在が何かわからないから何が失礼かもわからないよ。
「さ、ここだ。
すぐ皆くるだろう。
奥の真ん中の席に座っていなさい。
今日はお前が主役だ。」
お誕生日席だ。
「心配だから隣座ってあげるわ。」
結構ですー
「お、来たな。」
扉がノックされ、4人入って来た。
一人はさっき会ったララさん。
これからこの6人で過ごして行くのか…。
楽しみ半分、不安が半分だ。
「7人よ。」
ちょっと不安が勝ったな。
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