タナと1000人の亡者
第27話 お家へ
「対外的に私はサシュマジュクの息子ということにするか…。
幸い家族の話を他としたことはないし、理由も告げないまま結婚の打診を断り続けていた。
他国に家族があったことにしよう。
ラルフは孫だということになるな。
自分の名前を考えなくてはいけない事になるなんて思わなかったな。」
それしかないよなぁ…
神に祈りが届き若返りました!
やったね、おめでとう!で終わるわけがない。
不老なんて人類の永遠のテーマだ。
「しかしなぁ…
使用人にはすぐバレるだろうなぁ。」
お、ニヤニヤしちゃって、わかってくれるって自信があるんだね?
会うのが楽しみだな。
「とにかく帰ろうか、ここで話しても進まないしな。」
お父さんの家は学校と貴族街という王城近くの区画の間にあった。
王城から見て、貴族街、宗教区、商業区、市民街そして門の外は郊外と呼ばれているが一応国の一部だ。
学校は宗教区、兵士たちは王城と貴族街の間に基地があるそうな。
「サンドラさん達は貴族なの?」
「カルは騎士だからそうだな、サンドラは准騎士だからまだ貴族ではない。
兵士にとってはあまり重要ではないと、個人的には思うのだがな。
入れる区画が違うらしい。
軍に関してはあまり詳しくはないから、今度カルに聞いてみるといいさ。」
「お父さんは貴族?」
「いいや違う。
神職にはその括りはないのだ。
所属が国ではないからな。」
そうなんだ。
「さ、ついたぞ。
ここが我が家だ。
さて、みんなはどんな反応をするかな。」
でっかい家だな…。
「ここの区画は過去の戦時で戦場になったところでな、焼け野原だったのだ。
そこで呪われているなんて噂が出た上に焼け野原だったのを全部戦後褒章に貰ったのだ。」
人が死んだ地なら噂がでるのはわかるが、鑑定を発動しても呪われてなどいない。
人が死んだところが呪われているなら世界中全部呪われているもんな。
「そうだな、それに慰霊碑を建てたかったのだが反対されてな、自分の土地ならいいだろうということでな。」
カッコいいじゃない。
ドンドンと扉をノックすると中から若い女の人が出てきた。
「どちら様ですか、あら。
先生どうしたのお若くなって、今度は何に巻き込まれたの。」
凄い、すぐにバレた。
バレたというより変なことに巻き込まれることを予想されてる。
今まで何してたきたのさ。
「なぜ私だとすぐわかった…。
ちょっと泳がせてから驚かせようと思ったのだがな…。」
「何言ってるんですか。
変な法具を弄って一晩で髪の毛が真っ白になったり、目の色が緑になったり今までもあったじゃないですか。
若返ったくらいで今更驚きはしませんよ。
…羨ましいですけどね。」
「むう…。」
「ところで先生、いじけてないで紹介してくださいな。
その子は新しい家族ですか?
こんにちは、私はララっていうの。
よろしくね。
あなたのお名前は?」
ラル…
「ラルフと言うのだ。
私の息子だ、よろしく頼む。」
「だめよ、先生。
過保護はこの子のためにならないってば。
ほんと、子供に甘いんだから。」
「僕はラルフといいます。
よろしくお願いします、ララさん。」
「あら〜よろしくね。
自己紹介出来るなんていい子ね。
おいくつ?
ここまでどうやって来たの?
先生が無理させなかった?
飴ちゃん食べる?」
おぉ…テンションの上がったお父さんみたいだ。
もしかしてこの家みんなこうなのか…?
「とりあえず中に入れてくれ…。
ラルフ、お父さんの部屋にはクッキーがあるからな。
チョコチップのやつだ。
美味しいぞ。」
自分で自分を厳しくしないといけない可能性が出て来たな…。
ん…?
奥から小さな女の子が覗いている。
こんにちは。
口を「へ」の形をしたままだ。
恥ずかしいのかな…。
「お父さん、あの子はどなた?
小さい女の子。」
「ん?うちには小さい女の子などいないぞ?
誰か来ていたのか?」
「いえいえ、今日の来客はありませんよ。」
なるほどね。
ちょっと透けてるもんなあの子。
なーんだ、呪われてるじゃないか!
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