第25話 ひと足先に
「神様がお父さんにプレゼントをしてくれたんだって。」
神と反する悪魔を討伐したこと
それによって罪のない子供を救い出したこと
今までの敬虔な信者として過ごした日々
色々、神様目線でも偉い人だったようで、諸々含めてのお礼だと言うことにした。
「はー
そんなことあるのね。
それで、この髭もついでに治ったって?」
そうみたいだよ。
奇跡の余波だって。
普通の早さで伸びるんじゃないかな。
「しっかし、サンドラもラルフも外ではこのこと言うなよ?
奇跡を起こした聖職者ってのは聖人になるんだ。
でもサシュマジュク様が望まないなら表に出さないほうがいい。
滅多に起きないから奇跡なんてもんなんだが、自分に利益がないと面白くない奴なんてごまんといるからな。
聖人に望んでなるならいいが、そうじゃないなら重荷だ、ただのな。」
カルさん訳知り顔じゃない。
さすが隣の領主の家出息子、政治に詳しいとおもったんだ。
「なにニヤニヤしてんだよ、ラルフ。」
「お父さんが良くなってよかったなって、ついでにサンドラさんも。」
「ついでってなにさ。
先輩も、触ってたらよかったのに。
気にしてるんでしょ、童顔なの。
シブーく慣れたかもよ。」
うるせーな、とカルさんは流したが本当に気にしてるのはもう一つの「童」かもしれないね。
貴族だから色々あるのだろう。
まだ21歳だしこれからいい人と出会うよ。
そう、今回僕が貰った能力は鑑定だ。
サシュマジュクさんと暮らすことになり、様々な思惑が見えた。
それから僕を守ってくれるための方針だったけど、まだこの世界の人を全然知らない。
サシュマジュクさんを守るにも、自分を守るにもしばらく役立ちそうなのでこれにした。
「じゃあ、サンドラと俺は仕事に戻るよ。
サシュマジュク様の目が覚めたらよろしく言っといてくれ。誰にも言わないから安心してくれってな。
今度サシュマジュク様の家に寄って剣術教えてやるから、ちょっとは身体動かしておけよ。」
…そういえば気になっていた事がある。
何で剣なんだ?
魔法があるから片手で持てる武器なのはわかる。
戦える距離が違うなら、足を使って寄るしかないし、盾を持てばその盾が木製だとしても、火の1撃2撃は問題なく耐えられるだろう。
でも金属部分が少ない槍の方が軽いし、距離を捉えたなら刃先を立てる剣なんかよりメイスなんかの打撃武器の方が良さそうだ。
門兵でも鎧を着てるし余計に剣は難しそうだ。
なんで?
「ラルフは頭でっかちでなーんも分かってねーな。」
なんだと!
色々考えて不思議なんだよ!
「剣はな、カッコいいだろ。」
この人に、カルさんに剣を習おうと、素直に思った。
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