第23話 問題と解決法

僕の容姿が神様に似ている雰囲気があり、神職が見たら確実にそう思うこと、孤児だとそれを確実に政治に利用されたりするであろうことを説明された。


名前の次は容姿か…

仕方ないか。

下界を映像で見るのにキルカメラを用意したくらいだし、ビジュアルの参考にできるものなんて自分くらいだろうな。


「だから私が育てると言っているのだ。

そもそもの選択肢がないのだ、兵舎へ入っても今度は教会付きの聖騎士団に無理やり捩じ込まれる。

実力と関係なしにな。


他所で死ねば神子を殺したとして戦争のきっかけにされるし、居るだけで旗印にされる。

民間にいても、馬鹿な上級に目をつけられれば一緒だ。」


ずいぶんバーサーカーな国ですね…。

理由を作って戦争が出来るとどこかは儲かるし、誰かは偉くなる。

邪魔なものもどさくさに紛れて有耶無耶に出来るし、国が滅びるほど当たらなくてもいいのだ。

孤児一人で起こせるならそれはコストでも何でもない、安いものだろう。


「先生は大丈夫なの?

どっかから神様に似た子供を拾ってきて息子とするなんて、全然教会の政治に関わってないんだから、守るにしたって大変でしょ。」


「私は大丈夫だ。

まずラルフの出自をちゃんとする。

教え子が山ほどいるのだ、天涯孤独で死んだものなど何人もいる。

その内の一人が親だったことにして、引き取り手がいなく、縁があり育てることになったことにする。

これは書類上だな。


それとな、サンドラ。

私は教育の現場に居たいから居るのであって、くらいは上から二つ目の神職だぞ?

魔法兵としては上から三つ目だ。

…不本意ながら子供が関わると冷静じゃないことも知れ渡っている。

そんなやつから子供を奪うのは他に置くより間違いなく躊躇させられる。」


「サシュマジュク様の言うことは分かったよ。

少年、いやラルフ。

どうだ?

この爺さんが父親になるのは嫌じゃないか?

もちろん良い人だと思うし、状況的にベストだと思う。

ただお前が決めるべきだ。

自分で決めないと理不尽な事が起こった時に立ち向かえないからな。」


うん。


「ありがとう、自分で決めるよ。」


僕はサシュマジュクさんの手を握り


「お願いします、サシュマジュクさん

僕をあなたの家族にしてください。」


サシュマジュクさんは僕の目をみて頷いてくれた。

…泣きそうだ。

僕もサシュマジュクさんもだ。


二人の手が重なってる上にサンドラさんが更に手をのせた。


「ラルフちゃん、家族になるならそんな他人行儀じゃなくていいよ、ね。

先生。」


「もちろんだ。

親となるのだからな。」


そうだね…。

えへへ、ちょっと恥ずかしいな…。


「これから、よろしくお願いします。

お父さん。」


その時、視界の奥が光りはじめた。

これはあれだ、召されるやつだ…。

サシュマジュクさんの心が救われた!

ジジイには刺激が強すぎたんだ!


…だけどまだ天界に行くわけにはいかない。

聖属性がある内にやらなきゃいけない事が残っているのだ。


今しか出来ない。

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