第17話 街の様子
「わたしの家はここから北にずっと行ったところでね、そこでは子供をみんな女の子として育てるの。
わたしが生まれた頃は大きな戦争があったばっかりで極端に男が少なくって、それで同年代はみーんなこんな話し方になっちゃったの。
街まで出てきてびっくりしたよ。
男女で喋り方が違うなんて思ったこともなかったんだから。」
そうなのか。
魔除けで全員男の子として育てたり、幼少期に汚れた名前をつける地域があったな、そういえば。
「魔除けとか?」
「あら、賢い子だね。
魔除けっていうより…
魔女除けかな。
家の近くに魔女って呼ばれる武闘派魔法使いの集落があって、そこは女しか産まれないんだって。
それでそこは男を攫って行くって、だからそんな風習が出来たらしいよ。
あなたなんて喜んで連れ去って行っちゃうんじゃないかな。」
イタズラっぽく笑うと、手を繋いでくれた。
歩幅が違いすぎてついて行くのが大変だったのに気づいてくれたんだろう。
仕草も女性っぽいな。
ひげもじゃだけど。
「さ、こっち。
この時間だと自室に居ないかもしれないね。
学校の方へ行けば居るかもしれないし、誰か居場所知ってるでしょ。
学校へ行くからね。」
門を潜って少し歩いた。
周りをみてるとここは繁華街のようだ。
お店が立ち並び、買い物している人たちが見える。
建物の高さは高くて3階分くらい。
城は遠くて正確な大きさはわからないけど、一番高くて大きな建物のようだ。
「ここって世界一大きい街なの?」
「そうだねぇ。
この国では一番だし、世界一かも知れないけど、わたしも全部見たわけじゃ無いからなぁ。」
なるほど。
建築物の文明レベルは産業革命前くらいだと思うけど、魔法があるからな。
通水、排水や汚物の処理が魔法で行えるなら地下を通る管がいらないし、建物が基礎と上だけでいいのなら移築しやすくしてる可能性もあるから一概には言えないか。
井戸なんかも見当たらないし、蛇口も無さそうだけど、大きなツボかかめがほとんどの家の前にあるから、あれに魔法で水を貯めているのだろう。
文化や文明どころか世界が違うのだ。
生活の方法なんて全然違うに決まってる。
味覚の違いが心配だけど、ドライフルーツは美味しく感じたし、お店から流れてくる香りに嫌悪感はない。
食べられるものが全くないってことはないだろう。
「そういえば猫の人とか熊の人とかは街にいるの?」
もちろん人種なんかもわからない。
想像してる異世界かもわからないのだ。
「あっは、なにそれ。
絵本がなんかにかいてあったの?」
獣人はいないのね。
あぶねー。
軽く受け取る人に聞いておいてよかった。
「ううん。
前に大きなもじゃもじゃのおじさんが、俺は熊なんだぞー!って言ってたから、熊の人とか猫の人が居るのかと思っただけ。
ムキムキでこんなでかかった。」
両手を広げて大きさを表現しながら、誤魔化すことはできたかな?
と思っていると、肩を掴まれた。
「そんな素敵な男がいたの?
どこであったの?」
…そういう話し方をするところで育っただけで、他は普通の男の人なんだよね…?
足が震えていたが、わからない、と声を絞り出した。
獣人はいないが、獣の様な人はいた。
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