第2話 2度目の天逝
神様?
なになに?
夢?
どこからどこまでが夢?
何が起こったのか分からなかった僕は言葉を発することが出来なかった。
「また死にました。
信じられないですよ。
いったい何秒ですか?
流石にこんな早く戻ると思ってないから数えてないですね。」
また死んだ…?
自体は飲み込めないが事実目の前に神様がいるし、そういうことなのだろう。
「なんで死んだのさ…?
100mくらい離れた鐘楼に瞬間移動しようと思って、グッとやって…」
そこまではわかる。
覚えてる。
なんだ…?
塔から落ちた?
「まず凍り、ミイラと化して、漂う石に高速で当たり爆発四散しました。」
え?
3回死んでない?
想像もしていない死因に僕は息を呑んだ。
そんなヤバそうなエグい死に方あるか…?
居るのかどうだか知らないけど、魔王とかに秒で目をつけられたのか?
目と口を見開いたままなにも言えない僕に神様は続けた。
「いいですか?貴方は宇宙空間に放り出されたのです。なので凍り、水分が抜け、漂う石にあたり砕け散ったというわけです。」
…宇宙?
うちゅう?
「貴方は自転と公転の速度や移動距離を認識しないまま瞬間移動をしたので、瞬間移動開始から完了まだの数瞬の間に移動した惑星に取り残され宇宙空間に放り出されてしまったのです。」
公転…地球が太陽の周りを回るあれね
知ってる知ってる。
うんうん、なるほどね。
聞くと転生先の惑星はとてもよく地球と似ていて、公転スピードもほぼ同じマッハ88。自転速度はマッハ1.5。
公転速度だけでも1秒に30kmほど動く超スピードだ。
その超スピードを考慮せずにその場で消えてチマっと消えて現れたりしたわけだ。
そうね、例えるなら僕は移動した瞬間に高速移動している乗り物から置いて行かれた形になったわけ。
理解したよ。
何が起こったかは全部わかった。
「そんなバカな…。」
その上でやっと絞り出した一言がこれだ。
「瞬間移動などという難しい能力を選んだので、軌道計算を一瞬で暗算出来るタイプの数学的天才かと思ったのですが…」
いや…そんなわけないじゃない。
数式すら知らないよ。
「しかしアレですね。
あの…転生から過去最速の天逝ですね。
ふふふ。」
コイツ煽ってんのかと思ったが、神様は優しい顔をしていたし、なんなら少し同情的な空気すらある。
しかし僕は気がついていた。
コイツは人がウキウキで生まれ変わり、すぐ死んだこの状況に対して、転生と天逝で韻を踏んできた、とんだヒップホップ育ちだということを。
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