第29話 【緊急】救助対象まで辿り着け
「
片側に二本並んだ剣腕を纏めて斬り伏せ、返す刀で斜めに胴を断つ。
太刀筋通りの真っ直ぐな断面を晒し、崩れ落ちる四本腕のバケモノ──
その光景を視界の端へと捉えつつ、動きを止めることなく次なる標的への攻めに移る。
連撃に際した繋ぎも、随分と滑らかになった。
「
魔剣を振り抜いた勢いに乗って身体の向きを変え、薙ぎ払いと共に
切っ尖の延長線上に立つ三体の
「────」
併せ、深く踏み込み、疾走。
下がった分を補うべくリソースを下肢と頭部に集中させ、脚力と動体視力を保たせる。
──急げ。
七人分の気配が固まった場所まで、まだ遠い。
「チィッ……なんで俺だけ離れた位置に飛ばされたんだ……!!」
そう毒づくも、理由は明白。魔剣士だからだろう。
延いては離れ牢が発生する際、最大出力で発動させていた
恐らく、呑み込まれる際にエネルギー同士が反発し、中途半端に弾かれたのだ。
やらかした。むしろ出力を抑えるべきだったか。
とは言え、あの場あの瞬間に正しい選択肢を知る術など無かった。
要するに単なる事後孔明。そも悔いたところで今更どうにもならない。
「急げ……!」
せめてもの幸いは、感じる気配が今のところ固まったまま動いていないってことか。
パニックを起こしてバラバラに逃げ回られたら、流石にお手上げだった。
が、この好機もいつまで続いてくれるかは分からない。
事態は一秒を争う。俺は更に足を急がせた。
二体の
六体の
何も居ない、がら空きの広間を抜ける。
そして。
「
銀が混じった
三日月形の刃が向かう先は、透き通った翼で宙を舞う、四肢持たぬ人形──
〈Maaaa〉
蒼銀の
貧血の症状に近い立ちくらみを堪えつつ、俺は再び広間を駆け抜けた。
途中、光の粒と化した
しかし銀炎の使用による消耗の方が大きく、少なからず残る疲労感。
「はっ……はっ……」
息を切らせ、緩みかけた脚に喝を入れ、走る。
ここを越えれば、次が目的地。
ひとまずの折り返しが見え始めたことで、僅かながら安堵を覚える。
…………。
が。最後の通過点となる広間に出た瞬間、そんなものは儚く吹き飛ばされた。
何故なら。
〈Ma〉
〈Maa──〉
〈Maaaaaaaa〉
ガン首揃えた三体の
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