10月15日(月)(20日目)
月曜日である。一週間の始まりを告げる月曜日。つまり再び働き出すことを強制される日。憂鬱で仕方ない日だ。月曜日が憂鬱にならない輩は平日休みなサービス業かニート、もしけは休みという概念を忘れた鉄人サラリーマンのみだ。
月曜日に訪れる憂鬱のことをブルーマンデー症候群と呼ぶらしい。
日曜日の夕方頃から頃から次の月曜日のことを考えてしまいだんだん憂うつになっていくという症状が主な特徴だ。俗に「サザエさん症候群」とも呼ばれることもある。日本人の九割が罹患しているだろう病気に、漏れなく俺も罹患していた。
つまるところ講義をサボりたさが限界突破しているのである。お布団の中に昼頃まで浸かっていたい気分であった。
どうにかこうにか気合を絞り出し、蟻地獄を彷彿とさせる布団の魔力から這い寄りいでて事なきを得た。気合と根性、それと少しばかりのプライドを持って生きてきた俺だからこそ脱することができた。もしそれらを持ち合わせなかったら、布団の魔力に抗えず、泥のように溶けていっただろう。
いつも通り、朝一講義に十分間に合う時間に家を出た。
登校中に考えた。
国民の九割が罹患しているブルーマンデー症候群これはもはや国民病と呼ぶべき事態なのではなかろうかと。かつては結核、現代では花粉症がそう呼ばれている。花粉症は国民のニ割に届かない程度。それと比べると国民の九割が罹患しているブルーマンデー症候群の異常さが際立つ。
国は早急に対策を打つべきである。週休二日制では足りないゆえ、週休三日制の導入を。いや、そもそも人間はそんなに働きたい生き物ではないのだ。それができる輩は頭のネジがアドレナリンか何かでぶっ飛んだ不良品だけだ。かつての俺のように。
ベーシックインカムの導入を強く求める。
働かずともお金が貰える怠け者にとっては最高の制度。国は早急にこれを導入し、国民病の撲滅を。
そこらへんまで考えたところで大学に到着した。その後、一日を終えて「何もなかったから日記に書くことねえな」と悩んでこの思索を書いている。書くことがないから続けさせてもらう。
我ながら欲望まみれの糞みたいな要求である。
ブルーには涼しい、悲しいなどといった意味合いがある。ただし、誠実、自由、広大といった側面もある。
ブルーマンデーとは自らの内心の自由さを象徴する言葉にも思えなくない。
自分に誠実に、自由に、広大に、月曜日への鬱憤を感じられているのだから。
これでまた一歩偉大な哲学者に近づいたに違いない。
ところでブルーチューズデーという言葉もあっていいのではないだろうか。毎日が憂鬱なのだから。
そう思った今日この頃。
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