クレア、楽しい日々

私、クレアはアーティカ侯爵家に生まれた長女らしい。父ギルベルト、母エリスに大事に大事に育てられたものだからいつもくっ付いてる。やっぱり前世での記憶が忘れられなくて、もしかしたら、って。だからどこかで不安を抱えてしまう。そして紛らわすために、、、


ーーーーー

ーーー


「んあぁ、ねみゅい、」

私の朝は父か母のどちらか、もしくは両方と一緒に寝ている。


「おはよう、クレア。今日も可愛いよぉ、あぁ可愛いクレア」


今日は父ギルベルトと一緒に寝た。ギルは私は抱え込む様に寝る。それがついつい守ってもらえてる感がしてつい胸板に頭を擦りつけながらいつも甘えちゃう。

ギルは、アーティカ侯爵家にクレガー伯爵家から嫁いできた、所謂婿入り。

母エリスが社交界で一目惚れしたらしく、熱烈なアタックからの恋愛結婚。貴族としては珍しいらしく、エリスの父ヘルド(おじいちゃん)がお母さんをからかってるのをたまにみる。ちなみに、エリスの母マーガレット(おばあちゃん)もお母さん同様ヘルドに熱烈アタックからーっていうアーティカ侯爵家女性からのアタック率が高く、恋愛結婚だけど?って感じ。幸せな家庭に囲まれて暮らせるなんて、って思う。


「おはよう、ぱぱ」


挨拶を返すと、いまだ80cmにも満たない私を軽々と抱えて、抱っこしてくれる。そのまま寝室を出て、私の専属侍女サリーにそのまま引き渡される。


「お嬢様、おはようございます。部屋に戻って支度をしましょう」


サリーはおっとりした優しげな雰囲気ある女性で色んなものを教えてくれる。


「はぁーい」


「頼んだよ、サリー。じゃあ支度が終わったら一緒に朝ごはんを食べよう」


「畏まりました。旦那様。」


こんな風に娘に甘い父ギルベルト、容姿は濃い赤髪にルビーのような瞳、少し吊り、がった目をしているが私と話すときは目尻が垂れて甘々な雰囲気になって。もう、パパ‼って感じ。


サリーに抱えられて私の部屋に行き、顔を洗い、着替える。鏡の前に立つときはいつも驚く。前世の私からすると違和感しかないからだ。銀色に近い髪色に一房、父のような濃い赤髪、淡いタンザナイトのような透き通った瞳。正直お人形参加と思うぐらい可愛い。そんなもんだから私も可愛いさなら可愛さを、美しさを美しさを、って感じで伸ばしていきたいと考えてる。


そうして、春を感じさせるような桃色の動きやすいドレスを着る。髪は腰の上まであるので一つ結びにしてまとめる。


「あら、お嬢様。とっても!可愛らしいですよっ!」


「ほんとっ!ありがと、サリー」


ニコっと笑顔をすると、少し可愛いながらも冷たい雰囲気が愛らしく変化する。

それを見たサリーも笑顔で、


「まぁ、ほんとにっよくお似合いですよ、お嬢様っ!」


「んえへへっ!」


サリーと和気あいあいとしながら食堂に向かう。扉を開けるとスープと白いパンが並んでいる。私の席には加えてアップル(果物系はだいたい英語名になってる)が食べやすいよう切られて並べられている。


「おはよう、クレア。今日も可愛いわねぇ」


「おはようっ‼ままっ。サリーもね褒めてくれたのっ‼」


「おはよう、クレア。ほんとに愛らしいよ。」


食堂では上座に父、右側に母、お母さんの反対側に私が座って食べるのが習慣になっている。この時、食事のマナーを守りつつ今日の予定や明日の予定など貴族らしくない会話を繰り広げられており、楽しい。だけど、おじいちゃんとおばあちゃんが来た時も似た感じだから多分アーティカの血は結構寛容なんだと思う。それとめちゃ一途。


今日の私は、書庫で本を読む予定。それから、お昼にお母さんと一緒にお庭を散歩する。


食事が終わり、私とサリーに連れられて書庫に向かう。私の文字を覚えるスピードが速いことを知ったのか、父は書庫で色んな種類の本を読んでみるようにって。絵本を読んだり研究書を読んだりと、4歳児にしては「なんか早くない?」ってな学習速度。これを知った父も母も個性だと認め、怖がらずに娘のクレアとして接してくれる。意外だった。前世の経験からはありえないその言葉を聞いた時はつい泣いた。


○○○


それから書庫で楽しく読んだ。お母さんとの散歩では、お庭に咲いている綺麗な花々を見ながら楽しく過ごした。散歩から戻り、夕食・風呂と過ごした。それから私室に戻るとサリーに、


「ぱぱに、今日は一人で寝るってお願いできる?サリー」


サリーは若干困惑しながらも、


「えぇ、それはもちろん。そうお伝えしますね。」


「お願いね」


「えぇ、ではお嬢様、おやすみなさい」


「えぇ、おやすみなさい。」


一人、ふかふかのベッドに潜り、目を瞑る。そのまま魔力操作を行う。

慣れてきたけど、、、もっと早く回すように。


...さてと、じゃあ行こうかな。




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