クレア、転生するっ!

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ーーー

長い間子供みたいに泣いたことを思い出して恥ずかしくなり、ぐずぐずしながら、


「ぐすっ、ん、うぅ。すいません、ほんとに。こんな泣いちゃって。」


「大丈夫だよ、落ち着いたかな?」


「はい、落ち着きました、、、」


事情説明からの感情爆発、せわしない私をにこやかに笑ってくれるメガルドはやっぱ神様なんだなぁ、と改めて感じる。


「それで、補填しきゃいけないって話をしたよね。一応転生って形になる。幸せに生きてほしいっていうのが神々の総意。転生した世界では今まで不幸だった分まで幸せに。暖かい家庭の中で育ってほしい。そう思ってる。」


「、、、幸せに。暖かい家族でっていいですね。もう嫌なんです。失うのは、二度と。」


「そうだね。君は失いすぎた。そしてその神に愛されし頭脳ムネモシュネを授かった君は忘れたいことすら忘れることができない。運命は不具合、忘れることはない。逃げ道すらない君はよく耐えた。だから望みをかなえたいと思っている、そして幸せに。ってことなんだ」


そうか、この忌まわしい記憶力は愛されたもの。そして望み、か。わからない。幸せになるためってのが分からない。


「望みが分からないです。それにどんなとこに転生するかも、、、」


そう告げると、メガルドは私に向けて痛ましそうな表情をしつつ、


「君が転生するのは、所謂[剣と魔法のファンタジー]世界。そこで貴族の娘として幸せに過ごしてほしい。もちろん、スキルやレベルといった現象もある。そんなところ。与える者は定番のものに加えて、、、一つ君がなりたかったものを実現するものを最大限与えよう。なにか、思いつくかい?」


実現したいもの、、、奪われないようなもの。大事なものを奪わせないようなもの、そ

れが実現できるようなものが欲しい。そうすればきっと、、、二度と!!


「二度と大事なものを奪われないようなものが、欲しいです。嫌なんです、もう。」


「奪われないようなもの、、、そうだね。それを与えよう。」


望みが叶うとわかって安心した。良かった、もういいんだ。ちゃんと幸せになれるんだ。その言葉が聞けて安心した。


「では、西園寺 華蓮さん。どうか、その人生に幸せを、健やかな人生を送れるよう見守っているよ。」


なんか急に目の前が眩しくなってきた。それに浮遊感も。あぁ、次の人生こそ、幸せに、、、。


ーーーーー

ーーー


なんか暖かい。凄い安心する、、、お風呂に浸かってるみたいな。待って、そっちはやだ。寒い、ここに居たい。やだやだ。あぁ待って。


「おぎゃーおぎゃー(えっ、私生まれたのっ⁉)」


「エリス様っ、可愛い女の子ですよっ!しかも綺麗な瞳。」


「はぁー、、はぁ。はぁ。抱っこ、させて。ん、なんて可愛いのっ‼ ねぇ、ギル。ほらあなたとの子供ですよ。」


「ありがとう、エリス。あぁ、、、可愛い子供だ。愛らしいなぁ、、、」


なんかお父さんっぽい人?多分ギルって人?それにお母さんはエリスって人だよね、うん?でもなんかもう一人いるんだけど、この人は?多分侍女って人だよね。

それにしてもお父さんもお母さんも私が生まれて喜んでくれてる、良かったぁ。次こそは、絶対幸せになろうっっ‼


「そうだなぁ、この子の名前は。クレアだ。クレア。アーティカだ。」


「そうね、あなた。クレア。可愛い私たちの子供。元気に育ってね」


くれあ、クレアっ私はクレア。待っててっ‼いっぱい話したい、一緒に遊んで、一緒に歩いて、いっぱい幸せにっ幸せにっなるんだっ‼



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