一目惚れの出会い

あの日、私は学校から家に帰る途中に体調が悪くなり人目がつかない薄暗い路地に座り込んでいた。


「きもちわるい...日差しが強すぎる。喉も乾いた」

家からペットボトルに入った水を持ってきていたけど、暑さで熱湯のように熱くなり火傷してしまいそうで飲めそうになかった。

今日に限ってお財布も入れてきてないし...



今日は進学が決まった3年生の人たちでオープンキャンパスの手伝いをした帰りだった。

時間もまだ暑さが残ってる16時過ぎで、中途半端な時間に終わった。

私の学校はすぐに帰らないと行けない決まりがあり、冷房が効いた部屋で休むこともできず暑い中帰っている途中だった。


「はぁ、迎え来てもらったほうが...でも、もうすぐ家だしちょっと休んだら」


そう思い、家に連絡するのをやめて休憩したのが悪かった。

気分が更に悪くなり頭がぼーっとしてくる。


懐からスマホを取り出すにも、手こずってしまい取り出せない状況になっていた。


その時、暑い日差しから影が伸びてきて私を日差しから守ってくれる人がいた。


(だれ?)


頭をあげる元気もなく、その時を待っていた。

「ちょっと大丈夫?救急車呼ぼっか?」


「やめて、もう少ししたら治るから...放っておいて」


今思い返せば、酷い言い方だったなと思うけど当時は暑さで自分のことで精一杯だった。

言葉に気を使う余裕なんてなかった。


「まってて、すぐ戻るわ」


私に声をかけてくれた女の人は、太陽の暑さから守る役割をしていた日傘を私に渡して何処かへ行ってしまう。


「はぁ、はぁ。少しだけど涼しい」


日傘のお陰でさっきより涼しくなり、体調がマシになってくる。

ぼーっとしているのは変わらないけど、なんとか意識を繋ぎ止めることが出来た。

それから5分ぐらい経つ頃に女の人は戻ってきた。


「ごめんね、待たせちゃったね。これ飲んで」


「これ...」


「最近発売されたイチゴフラペチーノよ。私のおすすめよ、美味しいから飲んでね。あ、自分で飲める?」


飲めるという意思を込めて頷くが、手がふらふらとし思い通りに動いてくれず、受け取れないでいたら彼女がフラペチーノを差し出しストローを口元へ持ってきてくれた。


「ありがとごさいます」


「もう、そんなお礼なんていいから飲みなさい」


差し出されたストローに唇を近づけパクリと口に含む。

一口飲む予定が思っていたよりも喉が渇いていたらしくゴクゴクと一気に飲んでしまった。

あの時飲んだフラペチーノの味は忘れない。こんなに美味しいのが存在したのだとびっくりした。


「よかった、本当は一緒に居てあげたいけど私この後仕事だから行かないと」


彼女は用が終わったと立ち上がり、日傘を私に持たせたまま行こうとする。

なんとかお礼だけでもと立ち上がるが、ふらついて転びそうになった所彼女に支えられた。


「無理しないで、大丈夫よ」


支えてくれた彼女への距離が近くなったおかげで、彼女の顔を拝むことが出来た。

キラキラと輝く金色の髪が輝き、女神様かと本気で思った。


感謝を伝えようと思っていたのに、上手く言葉が出てこない。

こんなにも優しくて綺麗な人がいるのだと衝撃を受けたのと同時に、何とか彼女にお礼をしたかった。


でも、すぐに仕事へ行かないとという彼女を止めることも出来ずどうしようかと悩ませた時


「これ、私が働いてるお店よ。私ね1番になりたいの。だから大人になったらお店にきてね、それじゃあ」


お店の名前が書かれた名刺を渡され、彼女はこの場から離れてしまった。

ちゃんとお礼も言えず、ただ見惚れていた。


「The Tempest...ここに彼女が」


頭がぼーっとするのは暑さなのか、彼女の美しさなのか。

私はこの時私を助けてくれた彼女に恩返しがしたいと思った。 


本当は次の日でも会いに行きたかったけど、私自身お金を持ってるわけでもないし見た目も子供にしか見えない今は門前払いで迷惑をかけてしまうと思った。


だから来年、私は大人っぽくなってお金も増やして彼女が目指しているNo.1を応援できるように変わろうと決意した。


お店に入る時、身分証を確認されないように大人っぽくなろうと仕草も表情も全て変えようと努力した。


きっと変わった私の姿を彼女は分からないかもしれない、それでも私が覚えていたら良い。

彼女に救われた私が今度は彼女に恩返しをする。


やっとの思いで、お店に入れた時は安堵感でいっぱいだっだ。

それからは憧れの赤姫として働く燈さんに会え、少しだけどもお酒を頼むことができた。


ただ、計算外だったのは彼女が記憶の頃よりも想像以上に美しく私がそれ以上の事を望んでいたこと。

その時に私は彼女を想う気持ちに気づいた。

これは、憧れでもなく感謝だけの純粋の気持ちではなかった。


彼女に会って気づいてしまった、私はあの日から彼女に一目惚れをしていた。


人気のキャバ嬢とただの女子高生では釣り合わないのは理解している。

だから、誰よりも貢いで私の愛を届ける。

これから私は貴方をNo.1にさせる。



だから...



いつか私は貴方のNo.1になりたい。


~第二部完~















※区切りが良いので、ここで一応は完結にしておきます(今も続きは少しだけ書いているので時間はかかるかもしれませんが、区切りがついたらまた更新しようと思います)

また物語が進む時があれば覗いてみて下さい。


短編の百合が下書きにて二桁超えてるので(50...超えました)絶対にどれかは完成させて出したいと思います...!(次はメイドさんかめっちゃ強い母親にしようかな)


読んで頂きありがとうございました!












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貴方だけに貢ぐ私の愛 お嬢 @maymyo

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