第十話ークリスマス会実行委員三~文化祭~ー
「そういやさ、二学期って普通、文化祭とかないか……?」
「あることにはあるんですけど、先生主導なんです。だから、だいたい合唱コンクールみたいになってるんです。多分、センパイらが想像しているような賑やかなお祭りではないです」
「へぇ、それもそれで……」
楽しそうと続けようとしたが、どう考えても楽しくなさそう。それじゃ、文化祭じゃなくて、合唱コンクールじゃないか。
「でも、理事長が今年から変わったから方針が変わるってウワサが中学生の間ではあるよね、夏芽」
「久賀ってなんだかんだ周りと仲良くしてるんだな。東京の時とは大違いだな」
「むー、迅先輩、失礼ですよ」
「悪い、つい」
何故だ、久賀と話していると梶原さんが無言で不機嫌そうにする。
「梶原さん? 久賀とは東京で友だちだったから付き合いが長いんだよ」
「そうですか」
何故だ、機嫌が良くなるどころか、なお悪い方向に進んでいく。
「さ、焚き火とフォークダンスって決まったら、関係各所に当たりましょ」
「まずは先生だよなー、誰に当たればいいんだ」
「やっぱり校長かな」
「迅先輩は校長室行ってきて、麻実先輩ちょっと......、廊下いいですか?」
久賀に指示されてオレは校長室に向かった。コンコンッと校長室をノックした。
「失礼しますー。クリスマス会の実行委員の広瀬です」
「広瀬くん、入ってくれ」
ガララッと扉を開けて校長室に入った。
「え」
そこには深刻な顔をした校長と理事長がいた。
「あぁ、修司の息子か」
「え、あ、まぁ、はい、そうてすね」
「そうか、広瀬くん、キミがクリスマス会の実行委員か!!」
「東くん、私から修司の息子に話させてくれ」
え? 何? この深刻な空気。まさか、父さん、ここクビになったの? というか、教科で当たったことないな。
「いや、君がここに来たということは、クリスマス会、何したいか決まったということかね?」
「そうですね、た.……」
「待ってくれ、心の準備が……」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だ、続けてくれ」
「グラウンドの真ん中で焚き火をして、オープニングセレモニーで実行委員とあと一人有志でフォークダンスをしようという話になりました。後は各自駄弁ろうが帰ろうがご自由に、という感じです」
「となると、夜か」
「そうですねぇ」
「なかなか面白いですね、斉藤理事長」
「ふむ、面白い採用だ!!そして、悪いが今回の実行委員のメンバーをつれてできるだけ早めに理事長室にきてくれ」
「はい」
オレはそのまま特別棟の準備室に戻り、四人に事情を説明して、特別棟の準備室を施錠して、理事長室に向かった、
「ふむ、この五人が今年のクリスマス会の実行委員かね」
「はい、まぁ、一応、ボク、広瀬 迅が代表ですね」
「君たちが考えたの夜の案は面白い理事長権限で許可しよう。そして、私が今年から理事長になったのは知っている人もこの中にいるだろう」
「前理事長を知ってるのはわたし、梶原 夏芽だけです」
「そうか、まぁ、いい、今年から文化祭は生徒主導にしようと思う。それで……文化祭より後にやるクリスマス会の実行委員を頑張っている君たちに実行委員を任せる」
「え、嫌です、クリスマス会の準備に集中したいです」
これが五人の総意だ。
そして、時間が経って五人の親睦もかなり深まってきた。と思っていたら文化祭がやってきた。
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