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「リディア」
ユークが真祖を閉じ込めるようにして展開した天位魔術式・
「……絶対に死ぬなよ。マドリが来るまで……」
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吸血鬼の頂点、真祖を相手に無茶な注文だ。
それでも、縋るようなその言葉にリディアは頷いた。
「ユークも気をつけて。死都化が進んでいる環境下では、下級の吸血鬼でも馬鹿に出来ないくらい能力が上がっているわ」
「わかった。終わったらすぐに合流する」
ユークの返答を聞き終えると同時、リディアは学校の屋上から飛び降りる。
芝生の上に着地すると、隣にもうひとりが並び立った。クラリス・ルロワだ。ウェーブがかった髪を高い位置で束ね、ラベンダーのドレスではなくリディアと同じ
「来てくれたのね、クラリス」
「真祖が現れたのですから、
クラリスが話す間にも、
「それからこれを」
そう言って差し出されたのは、リディアの
「ありがとう。……何度か合同訓練したけど、私たちの相性は悪くなかったはずよね」
「基本的には近接と遠隔型ですもの。上手くはまれば、二人分以上の力になるでしょう」
「今の私には自己再生能力もある。自分のことながら人道に反するけれど、いざとなれば盾として身体を使うわ」
こんなことをユークに言ったら、激怒してくれるだろうと思う。しかし使えるものは何でも使わなければ、真祖に勝つことなど不可能だ。同じくそう考えているのであろうクラリスは、僅かに顔を歪めながらも頷いた。
ついに
「母を困らせるなんて、悪い子」
姿は十にも満たない少女そのもの。黒いドレスに黒い髪。青白い肌に影を纏った
──影の真祖スコティニア。
「冠位階級魔術式展開」
クラリスが
全ての銃口はただ一点、スコティニアの心臓を狙う。
「
それが死闘の開始を告げる合図だった。
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