第7話
翌日起きると難しい漢字で俺宛てに郵便物が届いていた。
中を開けるとそれは召集令状だった。
典子さんが「はやく未来に帰りなさい!」
と、言ってくれたが帰る手段がない。
なんとなくこうなる気がどこかでしていた。
サキちゃんは「いやだー」と泣いている。
仕方ない行くしかない。
典子さんはどうしたら俺が未来へ帰れるかばかり考えていた。
俺は言う
「この時代で男となりゃ仕方ないですよ。それに世話になりっぱなしだったから、最後くらいこの時代に爪痕残したいんです」
「でもあなたは未来人よ?」
「それを言った所で現実は変わりません」
「最後の夜楽しく見送ってくれませんか?」
サキは泣いてばかり。
そして最後の夜。
典子はたくさんの手料理を出してくれた。酒も出してくれたが、俺は酒で失敗している。軽く口をつける程度にした。最後の思い出にスマホで写真を撮ることにした。
3人でのショット、サキちゃんとの2ショット、典子さんとの2ショット。
そしてそのスマホを俺からの思い出にプレゼントした。
「本当だったらその写真相手に送れるんですけどね」
「郵便で?」
「違いますよ、メールで。あ、メールわからないか」
みんなで笑った。
翌朝。
俺は腹は決めていた。
「典子さん、サキちゃん短い間でしたが、本当にお世話になりました」
さすがの典子も目に涙を浮かべている。
サキちゃんは「行かないで……」と泣いている。
「それでは行ってきます」
俺は深々とふたりに頭を下げて、お店を出た。
雲ひとつない良く晴れた日の事だった。
遠いキミに逢いにきた。 寅次郎 @jkrowling
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