第4話 制圧完了、ここはわぁ国領土
手紙を持って王様はワナワナ震えている。
「オルガイ。覚悟は出来ているのだろうな?」
王様は周囲を見回した。
この部屋はかなり広い。
壁際には数え切れないくらいの兵士が配置されている。
もちろん、王様の警護をするためだ。
いわゆる近衛騎士団というやつ。
こいつらは国でも精鋭の兵士を集めて作られた騎士団であり、その実力は一級品。
全ての兵士がとても強い。
だが、裏を返せばこいつらを全員殺しさえすれば、事実上戦争は終わったようなものでもある。
「この近衛騎士団を相手にする覚悟が貴様にはあるのか?」
俺は鼻で笑った。
「よゆう。それでどうだ?戦争するか?」
挑発するように口にしてみた。
王様の頭の血管がぷっつり切れた音が聞こえた気がした。
「生きて帰れると思うなよぉ!オルガイがぁあぁ!!!」
王様が叫んだ瞬間。
部屋の中にいた兵士が抜刀した。
「ノコノコ敵陣のど真ん中まで来おって!殺してやるぅぅぅぅぅ!!!」
「【ウィンドスラッシュ】」
俺が呟くと風の刃が四方八方に飛ばされた。
ザン!!!!!!
あちこちから切断音が聞こえる。
一瞬にして兵士の首はすべて飛び、王様の首も飛んだ。
「制圧完了」
玉座に座っていた王様の体から血が流れていた。
王様の血が床を濡らす。
そして、俺の方まで血は流れていた。
まるで、血によってできたレッドカーペットみたい。
俺は血でできた道を歩いて玉座の前へついた。
「邪魔だ。どけ。玉座は俺にこそふさわしい」
王様の体を退かした。
そして、玉座に座る。
「これよりこの国は我が領土だ。もちろん、タクトの殺害の容疑はなかったことになる。俺の勝ちだ。ひとり殺せば殺人鬼でも、100人殺せば英雄、ってな」
戦争など他愛もない。
真の強者とは……ひとりで敵陣に乗り込み敵兵を殲滅させるのだ。
玉座でふんぞり返ってしばらく休んでいると……バーン!
扉が開かれた。
「な、なにこれ。最強の騎士団が全滅……?!」
入ってきたのは女の子だった。
金色の髪の毛。
高貴そうな服装、人柄。
パッと見で王族だということは理解した。
「オルガルド人……?」
「いかにも。戦争を開始した、そして、俺が終わらせた」
俺は玉座から立ち上がって女の子の前まで歩いた。
逆に女の子はその場に崩れるようにして倒れた。
「まだ戦争を続けるか?俺としてはかまわんけど。これ以上無駄死にはしたくないだろ?」
ギリッ。
女の子は歯を食いしばっていた。
悔しいのだろう。
なにも出来ずに負けを認めることしか出来ないのだから。
「王族の名のもとに、負けを認めます」
「ならこちらがこれ以上手を出すことは無い」
女の子は涙を流してから首飾りに手を伸ばした。
「この国はオルガルドに支配され、我々は王族ではなくなってしまうのですね」
すっ。
首飾りを渡してきた。
「いらん」
「へっ?」
「王族は残す」
「な、なぜ?」
目を大きく見開いて俺の事を見ていた。
「そっちの方が後々楽だから」
ギリッ。
歯を食いしばって俺を見てきた女の子。
「私たちを生かしたこと、いつか後悔させてやる。その首噛みちぎって……」
パーン!!!
女の子をビンタした。
「おい、その先を言ってみろ。お前が俺の首を噛みちぎる前にその首を吹き飛ばす」
胸ぐらを掴んだ。
「俺は女でも容赦なく殺すぞ。頭を吹き飛ばされるか、ストレスで胃に穴を開けるか、好きな方を選べ」
「この蛮族ぅ……」
パーン!
もう1発ビンタ。
「蛮族でなにが悪い。負け犬がいつまでも遠吠えするな」
「えっ?逆ギレ……?なんで私がキレられてるの?」
胸ぐらから手を離した。
「名前は?」
「シルヴァリア。親しい人はリアって呼ぶけど」
「じゃあ俺もリアと呼ぼう。名前長いし」
「あなたは親しくないからだめ」
まぁ、よく考えたら親しくは無い。
関係は最悪だよな。
「いいか?シルヴァリア」
ゴクリ。
息を飲んでた。
緊張しているのだろう。
「今日からファミリーネームはオルガルドを名乗ってくれ」
「どうして?」
「そっちの方がこの国は敵の手に落ちた感が出るだろ。国民にもここはもうオルガルドだと思って欲しいからな」
勘違いしないで欲しいけど俺はこの子を煽っているわけでもなんでもない。
このまま余計な亀裂は産まずに、さっさと円満に解決に向かって欲しいだけだ。
「分かった」
俺の内心はシルヴァリアも理解していたようだ。
ここは素直に退いてくれた。
「次はとりあえず王城中に敗戦の報せをして欲しい」
「うん」
「反乱分子はそっこうで処刑することも伝えておいてくれ。馬鹿な真似はよせ」
「うん」
俺はシルヴァリアを連れてこの部屋を出た。
そして、彼女の部屋まで案内してもらった。
そこでとりあえず敗戦を知らせる報告書の作成なんかも始める。
その間に俺はオルガルド王国の宰相にこっちに来るように連絡しておいた。
向こうから死にそうな声が聞こえたのは聞かなかった事にしよう。
一時間後。
王城の関係者を一箇所に集めた。
王城の庭園だ。
そこで集めた全員を正座させている。
ヒソヒソ。
「本当に負けたのか?」
「こんな子供相手に?」
「ありえん。あの騎士団が負けるなんて」
疑うような声も聞こえてきたけどシルヴァリアが一蹴してくれる。
「我々は完全に敗北しました。これからはオルガルドの一部となります」
一部からは猛烈な反発があった。
「ふざけんじゃねぇぞ!オルガイが!」
立ち上がったのは王子様風の男だった。
どことなくタクトに似ている気がした。
「シルヴァリアもだ!なにをかってに負けたことにしてるんだ!戦えば勝てただろ?!この売国奴」
ズカズカ歩いてシルヴァリアを威圧していた。
「誰がかってに立ち上がることを許可した?」
「へ?」
ぶん殴った。
頭が吹き飛んだ。
「こっちの王族はやっぱり腐ってるなぁ」
ここまで腐ってるといったん浄化が必要か。
日本でも警察が機能してない地域というのはあったけど似たようなものだろう。(どこの地域とは言わんけど)
外部から手を入れて組織を解体した方が早い
俺は近くにあった箱に目をやった。
これは、ここで使おうと思って持ってこさせたものだ。
中に手を突っ込む。入ってるのは枷だ。
俺は一度も抵抗していなかったやつら数人を呼び出した。
「お前たちはこっちに来てくれ」
「「「はい」」」
案の定すぐに立ち上がってこっちにきた。
基本的に負けたことを受け入れられないやつばっかだけど、既に現状を受けて入れているやつもいた。
そういうやつに枷を渡す。
「俺に反抗していたやつの手足をこれで縛れ。とりあえず牢獄にでもぶち込もうと思う」
ここで素直に同類を縛れるやつはマトモな奴だろう。
幸いにも集まってくれた全員が俺に反抗してたやつを縛ってくれた。
「なんのつもりだ、オルガイ」
俺を見あげてくる奴ら。
「お前らは組織を腐らせていた膿だから除去する。殺されていないだけマシと思え」
俺に従っていた奴の中には騎士風の男もいた。
「牢屋に連れていけ」
「「はっ!」」
牢屋は見える位置にある。
怪しい真似をしたらすぐに対処出来る。
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