第11話
日記39ページ目
ステータスを得てから1週間後の今日は天の
乾さん、星野くん、南さんの3人と組んでの探索者パーティーでだ。
天の
大型化したと言ってもそこまで大きくはないが普通に厄介だ。
実際の地球にいるウサギはウサギの大型種と同じくらいのだし、ネズミもカピバラサイズだ。
バッタが1番大きくなっただろう。
その大きさは人間の赤ちゃんサイズだ。
ニワトリはより凶暴さが増して一回りくらい大きくなり、トカゲはコモドドラゴンサイズが現れる。
そんなモンスターが現れる天の
今の俺でも苦戦するような怪物ではなかった事には安堵したのだが、思ったよりも呆気なく戦闘に勝ってしまい、そこが少しだけ残念だった。
ここまで強くなる為に頑張ったのに勝ったと喜べなかったのが印象に残る1日だった。
書くのに忘れていたが選択授業は剣術と体術に魔術の3つの授業を選んだ。
それと部活はしないことにした。
天の
授業の一環としてパーティーを組んでいるがまだそこまでお互いに親しくはない。
だから、探索中に話をするのも今は探り探りの状態だ。
「ウサギが居たぞ!」
「ちょ、声が大きいよ。星野くん。」
「あっ、悪い。」
「2人共!来るよ!!」
先頭進んでいた星野くんが叫んだ通りにウサギを発見した。
姿は大きなサイズのウサギだが、あれでもれっきとしたモンスターだ。
油断をすれば簡単に人の命を奪うことが出来る。
そんな人類に対して敵意と殺意を持っているウサギが星野くんの声に反応して俺たちの方へと突っ込んで来た。
「俺が受け止めてやるよ!」
「その後、私が攻撃だね!乾さんと萩本くんはそこで見てて。まずは前衛の私たちが戦えることをみせるからね!」
「分かった。」
「分かったわ。」
騎士甲冑を着ている星野くんが身の丈サイズの盾を構えてウサギからの攻撃に備える。
俺たちはそんな星野くんの後方で守られることになった。
「うおっ!?衝撃が強いな!!」
「今だね!!うりゃあ!!!」
ウサギを受け止め後退させられた星野くん。
そして盾にぶつかって動きを止めたウサギを南さんが星野くんの後ろから出て剣を振るう。
剣に切り裂かれたからかウサギの真っ赤な血液が宙を舞って草に飛び散る。
「うわっ!?血、飛ばすなよ!!」
「ご、ごめん。でもさ、血が飛ばないってことはないんだから我慢してよね。」
「まあまあ、2人とも。それに装備した装備品を戻せば汚れも消えるんだから良いでしょう?」
言い争いになりそうなところを乾さんが仲裁することで止まった。
星野くんの後ろから出た俺は死んでいるウサギを見ていると、その姿は消えて行き、その場にはウサギのドロップアイテムと魔石が残されていた。
「3人共、ドロップアイテムと魔石が落ちたぞ。回収しても構わないか?」
「あっ!私、拾った!」
「ず、ずりぃ!!俺はこっちだ!!」
南さんがドロップアイテムを拾って、星野くんが魔石を拾った。
拾われたドロップアイテムと魔石は俺が背負っている支給されたバックの中に仕舞われる。
パーティーでの俺の役目は回復役と荷物持ちだ。
乾さんも俺と役割としては同じ後衛だが、女子だからと言う理由だけで荷物持ちをしていないのは少し不満だが輪を乱すことになるので我慢している。
「乾さん、居たよ!」
「次は私の番だね。喰らいなさい!!」
乾さんが星野くんよりも前に出て杖から放った火球がウサギに直撃する。
ウサギは全身を燃やされて、そのまま生き絶える。
乾さんの魔法の威力に俺も含めて感心する。
魔法は魔術とは違って所持者本人の意識次第な為、ウサギを一撃で倒せる乾さんは中学一年生としてはなかなかの強さなのかも知れない。
それから何回かウサギやネズミにバッタなんかとも戦って授業が終わる時間が迫って帰る途中に1回だけ俺1人で戦う許可を貰う。
本当ならそんな許可なんて取りたくないけど。
「強化もしておくか。」
俺は自分に迫って来ているバッタの姿を視認しながら生命力・魔力・霊力の3つの身体強化を発動させる。
バッタが体当たりを俺にして来ようとした瞬間に、俺は流水剣法の歩法を使いながら流れる様に身体を動かし剣を振るう。
それだけでバッタは両断された。
「ふぅ……。」
「す、すごーい!!」
「萩本くん、凄いね!」
「凄いじゃねぇか……。」
女子2人が俺の戦いぶりを見て騒ぐなか、俺以外の男子である星野くんは複雑そうな表情をしていた。
ああ、人と関わるのは面倒くさいと思いながらドロップアイテムと魔石を拾った。
それから俺たちは天の
日記40ページ目
この日は選択授業の剣術で模擬戦を初めて行なった。
今までの授業では剣術の初心者も居たことから握りから剣の振り方などの基礎的な部分の授業を初心者が行ない、ある程度使える者たちは素振りを行なうと言った授業内容だったのだが、今日は初めての模擬戦だ。
俺は自分の強さを知るためにも模擬戦自体をするのは嬉しかったのだが、俺の相手は生徒ではなく剣術の先生が相手をすることになってしまった。
結果は俺が負けてしまった。
かなり負けて悔しかった。
それも先生は手加減して戦っていたのもまた悔しい。
先生の後には同級生の生徒たちが模擬戦を行なった。
その模擬戦の様子を見て俺は気が付いたのだが、俺よりも強い剣術使いは居なかった。
それでもギフトに剣術関連のギフトを持っている者もいるのか、俺よりも今は強くはないが、このまま停滞していれば越えられてしまうだろうと思った。
幸いなことに俺は実体分身で技術を一日中磨くことが出来る。
そのアドバンテージがあるのだからもっと同級生には誰にも越えられずに強くありたい。
訓練所を借りられる様になったのだから、訓練所を有効活用してもっといっぱい強くなる為に時間を使っていこう。
「よろしくお願いします。」
「ああ、来い!!」
俺も先生もお互いに剣を構えるのだが、俺の構えは流水剣法の構えだ。
先生の方は基礎剣術の構えである。
俺も一瞬だけ先生と同じ基礎剣術で戦った方が良いのかと思ったが、それだと俺の強さを知るのにはいけない。
だから、俺が使える剣術を全力で行なおうと思う。
生命力・魔力・霊力の強化は剣術の授業という事もあって使っていないが、それでも流れる様な歩法で俺は先生に接近する。
流れる水の様に身体を動かして剣を振るう。
連続で途切れる事なく行なわれる斬撃の数々を先生は躱し、受け流し、剣で受け止める。
「なかなかの技術だ。それじゃあ、これはどうかな?」
「くっ!!」
先生が初めて受け手から攻撃に転じて攻撃を仕掛けて来た。
先ほどまで連続攻撃を行なっていたが、基礎剣術だけで同じ様に先生は弛まなく連続で剣を振るってくる。
それから俺は流水剣法の技術で受け流して反撃に転じたりとしたが、模擬戦は先生が俺の首筋に剣を添えて俺の敗北で模擬戦は終了した。
初めての対人戦は俺の敗北で終わってしまったのは悔しかった。
俺と先生の模擬戦が終わった瞬間にパチパチと拍手の音がするなかで、明らかに俺のことをライバルだと敵視している視線を浴びながらも、俺は壁際に座って次の生徒同士の模擬戦を見学していく。
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