第3話

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小学校の入学式までに1週間が切った頃にようやく俺は生命力の感知に成功する。

初めて生命力を理解した時はこれが生命力なのかとはしゃいだものだ。

生命力は生き物なら誰しもが持つエネルギーだ。

本当に手で触れないと分からない範囲でしかないが、俺以外の生命力も感じ取れた。

魔力感知が先だったからか、俺は魔力とも違う生命力に変な感じがするが、これも慣れなのだろうと思う。

何故ならば魔力の感知を初めて覚えた時も魔力を感じるのに慣れなかったからだ。

まあそれも3日も掛からずに慣れたので生命力もそれくらいで慣れるだろう。

それで魔力の方はと言えば魔力感知の連続発動時間が1時間に伸びたのと、魔力放出の勢いが増したことだ。

でも肝心の魔力制御の技術はさっぱりだ。

これはもっと魔力の操作の技術を伸ばす必要があるのだと思う。

教本にも魔力操作の技術を伸ばせば自然に制御も可能になるとは書いているから。

そして、最後に霊力の話だ。

霊力はさっぱり分からないのが現状である。

他の魔力や生命力は治癒魔法もあるからか普通よりも早い取得をしているとは思う。

だが、霊力は何かしらのヒントになる物が魔力と生命力と違ってない。

だから霊力はじっくりとやらないと取得することが出来ないだろう。

父さんも諦めた霊力感知の技術だが、俺にはまだまだ時間があるのだから諦める必要はないのだから。

小学校の入学式がある1週間後までにとにかくやれることは全てやっていこうと思う。


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今日は小学校の入学式があった。

前世の記憶がなければ俺も楽しめたのだろうが、流石に前世の年齢を考えれば周りの小学生のように興奮して楽しめない。

そうなると周りの子供よりも大人びた小学生に見えてしまうようだが、周りの小学生たちも含めてそこまで俺に注目はいかなかった。

これはありがたいことだが、問題は俺と同じクラスに尋常じゃないくらいに騒がしい子供がいるせいだ。

耳が痛くなるほどに五月蝿いソイツが居るからこそ俺に注目がいかないが、この五月蝿さは勘弁して欲しかった。

これからこんな五月蝿いヤツがいる小学校で6年間も過ごさないといけないのは憂鬱である。

もっとうちの学校に通う生徒が多かったのなら、クラスも1つだけなんてことはなかったのにな。

やっぱりノストラダムススタンピード事件の影響で人口が減ったせいなのだろう。

それにこの場所は日本のタワーから出て来たモンスターの影響で人口が減ったから子供も少なく、うちの牧場にいる動物たちの方が多いくらいだ。

これは改善することは出来ないだろう。

子供が成長すれば大抵はこの町から外に出て働きに出かけるのだ。

俺も将来は探索者になるのでこの街で暮らすつもりもないのだから、そのことにとやかく言える立場ではない。

そしてこれから6年間はこの五月蝿さに耐えての訓練をすることになるのだろう。


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小学校に入学してから1週間が経ったが、あの五月蝿い子供は未だにその五月蝿さが現在だ。

そんな中での魔力消費鍛錬法を行ない、魔力が少なくなったら生命力の操作技術の取得訓練を行なっていく。

それを繰り返しているが、あまりにも五月蝿くて集中力し切れずにいる。

この状況で生命力の操作技術を身に付けようとするが、ハッキリ言って出来そうにない。

これは家や静かな場所で生命力の操作技術の取得をした方が良いのだろう。

これからは生命力の操作技術を取得するまでは、小学校では魔力関連の技術を伸ばそうと思う。

この五月蝿さなら集中力を必要とする魔力操作の技術を磨くのにあの五月蝿い奴も役に立つはずだ。


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小学校に通ってから1ヶ月経つがやはりアイツの五月蝿さは収まらない。

あれほど先生から叱られているのに静かにならないのは、アイツは頭が可笑しいからなのではないかと思ってしまう。

つい治癒魔法で診断してみたいが、それを使うのは不味いから使わないが。

でも、この1ヶ月の間で魔力関連の技術はかなり伸びている。

流石に魔力制御の技術は取得していないが、それ以外の身に付けた技術は順調に育っているからだ。

魔力感知の時間も伸びており、最大で2時間も魔力感知を連続で使い続けられており、魔力の感知範囲も伸びて1メートルくらいはあるだろう。

逆に生命力の方は生命力感知を30分間が連続で使える時間だが、生命力の感知範囲はまだまだ短くて20センチもない。

入学してからは体力作りも並行して行なっているが、始めた頃よりも体力は付いている。

やはり森の中を走り回るのが良いのかも知れない。

森での歩き方や走り方の訓練にもなっているはずだ。

それに身体操作基礎と歩行法基礎の教本を読んで覚えた動きで森の中を移動しているので新しい技術の取得に繋がってもいる。

まさに一石二鳥どころか、一石三鳥になるだろう。


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小学校の入学から時間が経って夏休みに入った。

小学校の先生からの俺の評価は通信簿を確認する限りではあまり授業の話を聞かないが成績が良い生徒という扱いらしい。

先生からしたら、もしかしたら俺もあの未だに五月蝿い奴と同じくらい厄介な生徒なのかも知れない。

この事は通信簿を見た両親にも言われてしまったが、ハッキリ言って小学校で習う授業で問題になるのは社会の授業くらいだろう。

今の世界ではモンスター、天のタワー、地のアビス、探索者という存在があるせいで近代はだいぶ変わっているからだ。

両親からは叱られてしまったが、今後は先生の授業の話を聞いているふりもしていこうと思う。

そして、夏休みに入った俺は初日に観察日記以外の初日に行なえる物は全て夏休みの宿題を終わらせた。

1番の難題だったのは読書感想文だったが、それは適当な絵本を使って書いたが問題にならないか心配でもある。

これからの夏休みは今まで取得することが出来なかった生命力関連の技術の取得と霊力の感知を目指して頑張っていこうと思う。


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夏休みも終盤に差し掛かっているこの頃、俺は治癒魔法のお陰で病気や怪我をすることもなく過ごせている。

今年の夏のお盆の時期に姉さんが一度夏風邪に罹ったくらいで家族もみんな元気だ。

でも牧場の方では忙しかった。

今年の夏は思ったよりも暑さが凄くて病気になる動物や具合が悪い動物が続出したのだ。

父さんや他の回復系ギフト持ちだけでは間に合わないくらいに忙しく、俺も駆り出されるほどの事態だ。

しかも熱中症で倒れる牧場の観光客も出ていたほどで、流石に俺が観光客の治療をすることはなかったが、それほど暑くて大変な季節だった。

その為、夏休みの間は朝方の涼しい時間帯のみ外で体力作りを行ない、暑くなり始めれば家の中で魔力を魔力放出で消費してから生命力関連の技術の取得や訓練を行なった。

その甲斐もあって生命力操作の技術を取得することが出来た他に、生命力感知の時間も1時間に増やすことが出来た。

もちろん魔力の技術を鍛えてもいるので魔力感知の時間も30分増えて2時間30分になっている。

でも魔力制御の取得には至ってはいない。

これはもっと魔力操作の技術を鍛え上げないといけないだろう。

今年の残りは魔力と生命力の操作技術を伸ばしていく方向に決めた。

ちなみに霊力の方は全く分からない状態であり、霊力は魔力と生命力の教本に書かれた基礎技術を取得し終わってから改めて取得を頑張ることに決めた。

魔力と生命力を鍛えた先に霊力が目覚める可能性があるのだから。

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