第4話 ダンジョン攻略戦

 卑弥呼を膝に乗せてロボットを操縦して慎介はダンジョンに突入していく。そこは予想外に広くて明るかった。


「松明も無しに明るいとは不思議な光景じゃな。これなら光の精霊を呼ぶ必要は無さそうじゃ」

「光苔でも付いてるのかもな。さて、宝はどこだ?」


 操縦席のスクリーン越しに探しながら飛んでいく。ダンジョンの通路は広くてロボットが飛んでも十分な高さと幅があった。


「ん? あれは……」


 ふと気づいた物があって慎介はロボットを止めて着地した。宝や迷宮主を見つけたのではない。人が居たのだ。


「もう来ている連中がいるなんて早いな。何かダンジョンの情報が得られるかもしれない」

「場合によってはわらわ達の家来にして働かせてやってもよいじゃろうな」


 彼らは格好からして同じ世界の人間に見える。慎介は同じダンジョンに挑む者同士友好的に話ができると思ったが、すぐに間違いだと気が付いた。

 彼らが人相を悪くして刃物をちらつかせてきたからだ。


「よう、兄ちゃん。いい乗り物に乗ってるじゃねえか」

「それが迷宮の宝ってやつか。俺達も乗せてくれよ」

「なんだこいつら? ロボットが恐くないのか?」


 慎介が面倒に思いながらロボットの足を振ると、彼らの一人が当たってもいないのに大げさに苦しみだした。


「いてえ! 腕の骨が折れたー!」

「てめえ! よくもボブの腕を折ってくれたな! 慰謝料払えよ! そのロボットでいいぜ!」

「……」


 あまりの態度に卑弥呼も疲れたため息を吐いた。


「慎介、無駄ではないか? わらわはあんな家来はいらないぞ」

「そうだな」


 慎介は操縦幹を引いて飛び立つ。風圧でならず者達は吹っ飛んでいった。


「うわああ!」

「へでぶ!」

「貴様も容赦ないな」

「あいつらもここまで来れる実力者なら自分で帰れるだろう。先へ急ぐぞ」


 再び進んでいく。




 道中で神様が言っていたように宝があったので回収していく。財宝はいつの時代でも憧れなのか卑弥呼も目を光で輝かせていた。


「ほう、見事な宝じゃな。これを持っていっていいとは神とは気前の良い奴じゃ」

「博士への借金も返せそうだな。お、奥へ着いたようだ」


 そこには大きな扉があっていかにも何かがいそうな雰囲気だった。


「行くぞ、準備はいいな?」

「何が出るのか楽しみじゃ」


 ロボットの手で扉を押して中に入る。入り口は大きくてロボットでも潜れたのは幸いだった。それは同時に相手も大きい事を意味していたようだ。

 こちらに気づいて迷宮主は獰猛な目を向けた。首が複数ある蛇のような化け物が舌をちらつかせていた。


「どう見ても歓迎している雰囲気ではないな。あんなモンスターが現実にいるのかよ」

「あれはわらわの時代でもいたな。畑を荒らしていたのを祈祷で追い払った事があるぞ」

「いたのかよ!」

「八岐大蛇とか知らんのか?」

「実在したのかよ! おっと!」


 敵の攻撃を何とか避ける。迷宮主は機嫌の悪そうな唸り声をあげて吠えた。


「ぼんやりしている場合じゃねえな。こいつを倒さねえと」

「お前の腕の見せ所じゃな。奴を討伐してみせよ」

「言われるまでもねえ!」


 慎介はロボットを操縦して敵に飛びかかっていく。卑弥呼なら術でサポートも出来ただろうが、いらない手出しはしなかった。

 苛立つ迷宮主の尻尾がロボットに当たる。


「苦戦しているな。わらわの助けが必要か?」

「いらねえ! これで決める!」


 敵の尻尾を掴んで投げ飛ばし、剣を抜いて飛びかかる。迷宮主は牙をむいて反撃してくるが、慎介はそれを斬り伏せて敵を一刀両断にした。

 迷宮主が倒れた事でダンジョンが消滅していく。それはとても幻想的な光景のように見えた。

 脱出してロボットは飛び上がり、宙からそれを見下ろした。


「気に入ったぞ。ここを新たなわらわの国とする」

「いや、させねえからな」


 こうしてまた一つの戦いが終わったのだった。

 それからもダンジョンを回って戦って宝を回収していった。

 手ごわい敵もいたがエイリアンを倒すために鍛えた慎介と性能の優れた神のロボットと術を操る卑弥呼なら勝つことができた。

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