第2話 神の導き
卑弥呼がロボットに乗って飛び立った頃、慎介はどことも知れない空間を漂っていた。
「ここはどこだ。俺は死んだのか?」
「あなたが死んだのは私のミスでした」
そこに神様が現れて慎介はすぐに自分の状況を理解した。
なぜ理解できたかは今更説明する必要はないだろう。
「お詫びにチ」
「異世界なんか行かねえよ! 俺に必要なのは二度と妹を泣かせたりしない正義の力だ! 待ってろよ!」
「あっ、ちょっと!」
話を聞くまでもなく理解すると慎介はさっさと自分に与えられる力を強奪して妹の待つ元の世界へと飛び立っていった。神様はそれを呆然と見送った。
「最近の人間は話を聞かないというが。これがファスト世代というものか……」
慎介の情熱と怒りは空間を突き抜け元の世界へと戻ってきた。エイリアンとの戦いが繰り広げられる地球の空だ。
慎介が神様から与えられたロボットに乗って戻ってきた時、ちょうど卑弥呼がエイリアンを相手に戦っていたところだった。
自分が乗るはずだったロボットが強奪されていた事で慎介はすぐに敵を理解した。
「俺を殺したのはお前だな!」
「貴様もわらわの害虫駆除を手伝いにきたのか。自分の支配する国は綺麗にしておかなければな」
「ふざけんな! お前にこの世界は渡さねえ!」
慎介はミサイルを発射する。自分のスキルとして与えられたこの機体は自分の手足のように操る事ができた。
卑弥呼はガードするが無傷とはいかなかった。
「わらわの精霊の力を貫いてくるか。ただのロボットではないようじゃな」
「そうとも! これこそお前を倒すために俺が神から与えられたロボット。その名もゴッドブレイブだ!」
「フッ、シャーマンでもないものが神を語るとは面白い事を言う!」
二人はバーニアを吹かせ、剣でぶつかり合う。余波でエイリアン達が吹っ飛んでいって空が綺麗になった。
卑弥呼は優しい手つきでロボットの操縦席を撫でた。
「奴らは滅んだか。お前の役目は果たせたな」
「これで終わりだああああ!」
慎介は剣を振るう。その斬撃は卑弥呼の乗る博士のロボットを真っ二つにした。だが、卑弥呼の瞳は諦めてはいなかった。
「じゃが、わらわの役目はまだまだこれからじゃ。果たしに行くとしよう」
卑弥呼は呪符を構えてロボットを動かしていた精霊の力を回収すると静かにその場を後にした。
卑弥呼を撃退してエイリアンも全滅した空の下、慎介はゆっくりとロボットを操縦して着地した。
慎介がロボットから降りると美沙と博士が駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん、生きてて良かった!」
「悪かったな。心配かけて」
「そのロボットはいったい……?」
「まあ、いろいろあったんだよ。いろいろとな」
彼にはいろいろと話したい事があったが、それよりも気になる奴に目を向けた。
「なんでさっき倒したばかりのはずのそいつがここにいるんだ?」
卑弥呼が何食わぬ顔をしてそこにいた。気づいた美沙が警戒の目を向けて卑弥呼はニヤリと笑った。
「言わなかったか? わらわは自分にふさわしい国を求めてここへ来たのだ。別にお前と戦いに来たのが目的ではない」
「ふざけんな! 卑弥呼は邪馬台国へ帰れ! かーえーれー!」
「ええい、来たばかりで帰ってたまるか! 精霊の力もただでは無いのだからな。それよりもお前の語った神とはなんなのだ!」
慎介は墜落した城の門に卑弥呼を押しやろうとするが、卑弥呼は頑としてそれを拒んだ。そこに投げられた包丁が通り過ぎて二人はヒュッとした。
「お兄ちゃん、どいて! そいつ殺さないと!」
「待て待て。俺は生きているからそこまでしなくても」
いくら気に入らない相手でも妹を殺人犯にするわけにはいかない。卑弥呼も少し焦った顔をしていた。
「今のは危なかった。精霊の力を発動させてなかった……」
戦々恐々とする現場に博士が近づいていってスマホを見せた。
「まだ帰らせるわけにはいかないねえ。二人の壊した私のロボット、この値段になるんだけど」
何とも桁の多い数字に沈黙する慎介。緊張が伝わったのか美沙と卑弥呼も争う拳を下ろして見つめてしまった。
「これを俺に払えって? 今までそんなこと一言も言わなかったじゃないか。博士って金持ちなんだろ? 特許だってたくさん持ってるって言ってたじゃないか」
「エイリアンを倒すのは全人類共通の目的だったからね。必要な経費なら私が工面したさ。でも、今回はそうじゃないよね? 動画見る?」
「いや、いい」
「では、わらわは帰るとしよう。ここはわらわにふさわしい国ではなかったようじゃからな」
「待て、逃がさねえぞ。お前も働くんだ!」
「ひえー、離せーーー!」
慎介はやっかいな術を使われる前にさっさと卑弥呼を引っ張っていく。どうやらエイリアンとは違った問題が出てきたようだ。
美沙は納得できない様子だったが、博士に声を掛けられて振り向いた。
「美沙ちゃん、残骸を片付けるの手伝って」
「うん」
「慎介君なら大丈夫さ。私の選んだパイロットだからね」
卑弥呼はお金を払いますという誓約書を書かされているし、どうやら状況を渋々と受け入れるしかないようだった。
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