第6話 思いもしなかったこと
僕と弟はまだ10歳にもなっていなかった
僕が9歳
そして弟は6歳
こんな幼い子供が働けるはずもなく
お金もなかった
だから何もかも盗むしかなかった
腹が減れば食べ物を盗み
寒くなれば布を盗んだ
そうこうして約一年が経とうとしていた
秋だ11月で冬が始まろうとしていた頃だ
2人で盗みをしたあと僕らの陣地橋の下に帰ろうとしていた時だった
僕が前にあるき弟が後を追う形だった
急に後ろから重いものが落ちるというか倒れる音がした
少しビビりながら振り返ると
うつ伏せに倒れている弟がいた
息が荒い
発熱か?
どうしよう
また僕は大切な人を失ってしまうのだろうか
あの時のように息が上がり肺が苦しくなる
呼吸をしたくても酸素が体内に入ってこない
でももうこれ以上失いたくない
母を失ったあの日から誓ったのだ
もう二度と大切な人は手放さないと
苦しい思いなんてもうこれ以上したくない
苦しい息を飲み込み全て腹に流す
何もなかったかのように
近くにいた人に電話を借りて救急車を呼ぶ
最悪の事態にならないことを祈りながら
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