第3話 清水天(しみずそら)
俺は衝撃を受けた。
どういう衝撃かというとクラスメイトのリア充、沢渡瀬奈。
美少女が俺の嫁だった。
いやそれはゲーム内の話だ。
でもその瀬奈は俺に対して「私、リアルでも貴方と結婚する」と笑顔になる。
まさかの事だった。
こんな俺なんかに...いじめを受けている様なボッチが。
そんなボッチの嫁がクラスメイトのリア充のしかも美少女だと。
そう思いながら帰って来る。
そして玄関を静かに開けてから自室に行こうとした時。
「お兄」
そう声がした。
俺はビクッとして顔を横に向ける。
そこに茶色の髪をした少女が腕を組んで立っている。
顔立ちが整っている美少女。
義妹だった。
名前は清水天(しみずそら)という。
だけどまさかこんな感じで話し掛けてくるとは。
コイツもリア充になってしまったから。
だからこうして話すのは珍しい事だ。
「な、何だ」
「お兄は部屋に籠ってばかりだよね」
「そうだな。学校以外の生活はな。だってそれが趣味だから」
「...気持ちは分からなくもない。...だけど私的に外に出た方が良いと思う」
「...つまり何が言いたい」
「私と一緒に買い物に行きなさい」
その提案を数秒間考える。
そしてあまりの事に「は?」となる。
何つった今。
思いながら彼女を見る。
天は俺を見ながら「お兄がこのまま脳内出血とか起こして下半身不随とかになったらツケは全部私に回ってくる。それは許し難い」と言う。
「...それは分かるが何でいきなり」
「良いから。付き合って」
「しかし俺は...」
「今から出るよ」
「は!?」
俺の手を引っ張る天。
それから俺はそのまま靴を履いてから表に駆け出して行く。
天が外出着だったのはこのせいか!
そう思いながら俺はドアに鍵を掛けてから歩いて行く。
人の視線が気になる。
「なあ。天。何でまたいきなり」
「だから言っているでしょう。...お兄が健康体じゃないと困るって」
「せっかくの時間ログインボーナスが...」
「お兄はアホなの?妹がせっかく...」
天はそう言いながら言い淀む。
そして「もういい」と言ってから俺の手を引く。
それからやって来たのは駅前。
駅前の...パン屋だ。
「明日の朝食のパンを買う。それぐらいなら付き合ってもらっても良いでしょ」
「まあ良いけど...俺は外で待つよ」
「逃げる可能性があるから却下」
「...」
何だってこんな目に。
そう思いながら俺は天を見る。
そして俺は周りの視線を気にしながらパンを見る。
まあでも。
こういうのも良いかもな気分転換に。
「食パンを買う」
「ああ。もうお前の勝手にしたらどうなんだ」
そう会話をしていると「雄太くん?」と声がした。
俺はビクッとしながら背後を見る。
そこに女子チームと...瀬奈が飲食コーナーに居た。
リア充3人。
「わ。こんな場所で出会うなんて新鮮だね」
「...あ、ああ。瀬奈。どうしてこの場所に?」
「私?私は彼女達とお喋り。...貴方は?」
「俺?俺は...お使いだよ。無理矢理に引っ張り出された感じだ」
言いながら俺は背後からの視線にビックリしながら背後を見る。
背後では「誰?お兄」と笑みを浮かべた天が立っていた。
俺は「い、いや。ただのクラスメイトだ」と天に説明する。
すると天は酷くビックリしていた。
「え?...お兄の知り合いにこんな可愛い方が居るの?」
「そ、そうだな」
「初めまして。私、沢渡瀬奈です」
「...初めまして。私は清水天です。...お兄とは義妹、義兄関係です」
そんな天を見て俺を見る瀬奈。
「可愛い子だね」と耳打ちしてくる。
俺は「ま、まあ」と返事を曖昧にしながら瀬奈を見る。
そして俺はドキドキする胸を抑えながら天を見る。
天は「じゃあこれ買ってくるね」とそっけない感じで離れる。
それから会計の為に会計場所に行った。
その様子を見ながら瀬奈は「...」となった。
「天さんに嫌われちゃったかな」
「あ、ああ。それは無いだろ。多分。...彼女は少しだけ人見知りなんだ」
「そうなんだ?そうは見えないけど」
「...まあ俺の義妹だから」
俺はそう言いながら居ると瀬奈を呼ぶ声がした。
その様子を見ていると瀬奈は「あ。真由美に呼ばれた。じゃあね」と笑顔で手を振ってから去って行った。
俺はその様子を見てから「元気な子だ」と思った。
正直...ウザいぐらいに。
そうしているといきなり後ろに引っ張られた。
見ると天が「帰るよ」と怒る様な感じでビニール袋を持って立っていた。
俺は「あ、ああ」と言いながら天に返事をする。
それから店を後にした。
☆
家に帰って来ると「あの人誰なの?何処で知り合ったの?何なの?」と尋問された。
何故そんな事を聞いてくるのか全く分からない。
だけど答えれるだけ答えた。
ゲームの中で嫁だった、は流石に言えなかった。
すると天は「...」と半信半疑で見てくる。
「...ふーん。そんな奇跡もあるんだね」
「そうだな。それで彼女と知り合ったんだ」
「...」
天は「そう」と返事をしながら家事をする。
実はこの家の天の母親。
それから俺の父親は夜が遅い仕事をしている。
その中で天が良く家事を率先してやっているのだ。
「天」
「...何。お兄」
「お前もしかして嫉妬してる?」
「...は!?ばっかじゃないの!そんな訳ないから!?」
「全く変な事を言わないで」と言いながらリビングに入って行く天を見る。
それから俺はその姿をため息交じりで見送ってからそのまま自室に入る。
そしてまたギャラクシー・オンラインを開いてみた。
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