第2話 瀬奈って呼んで


私の名前は沢渡瀬奈。

県立長野高校1年生の私は入学当初から色々な男子生徒の魅力を掴んでいた。

寧ろこの可愛さのせいで芸能マネージャーから歩いているとスカウトまで来た。

だけど私はそんなのには興味はないしどうでも良いと思う。

私が興味があるのはゲーム、漫画、アニメ、同人誌などだけ。


だけど当然だけどその趣味は友人の女子以外は知らない。

リア充の男子達が知ったらドン引きされると思うから。

今の友人関係を保ちたいという意味で私はあくまでネタバラシはしないつもりだ。

成績優秀で容姿端麗。

まあその、体育も上出来な私のイメージを壊すのが怖かった。


その中で私はギャラクシー・オンラインというモンスターを狩るゲームの中でギルガメッシュ777さんと結婚した。

彼はとても優しく魅力があり私のそのイメージをぶっ壊してくれた。

私は彼が好きだった...いや。

半年の婚約生活が...とても楽しかった。

そして彼が大好きだった。


だけど彼は結婚を破棄した。

それからリアルの事情を話してギルドから消えてしまった。

全ての痕跡すら残さず。


私はその事にリアルでも泣いていた。

とても悲しかった。

涙を拭っても拭いきれない程に。

まるで世界が終わる感覚だったのだ。


だけど私はその事もあり決意した。

何を決意したかといえば。

だったらリアルでその婚約者を探してやる、と。

どんな人でも良い。

私を支えてくれた事実はそこにある。


そして今日の話になる。

9月のとある日、私は彼に出会った。

彼というのはクラスメイトの清水雄太くん。

影が薄いなって思っていた。


だけど...もしかしたら彼は...ギャラクシー・オンラインの婚約者の可能性がある。


その事が判明してきた。

何故なら彼は隠し要素を持っていた。

ギャラクシー・オンライン内でしか使えない様な隠し要素を、だ。

私はその事があり彼を見ていた。

授業中、だが。


もしこれが事実であれば。

彼が探していた人になるのだ。

運命の人なのだ。


そして放課後になった。

私は瀬古佑大(せこゆうだい)に促されて帰る事にした。

残る5人でカラオケに行くという。

だけど私は「用事がある」と言って断った。

「今日は...本当に用事がある。御免なさい」と言いながら。

私は彼を追う。


それから私は下駄箱で靴を履き替えている彼を見つけた。

私は近付いた。

だが彼は私を見てビックリして逃げ始める。

私は「待って!お願い!」と彼を引き留める。


「な、何?」

「...貴方はギルガメッシュ777さんだよね」

「ち、違うよ。なに?それ」

「...嘘は吐かないで」

「...」


私達は河川敷でそう言い合う。

すると清水くんは「違うから...その。うん」と言ってから踵を返した。

その事に私は咄嗟に彼の手を掴む。

それから彼を見る。


「お願い。本当の事を話して」

「...俺なんかに関わっていたら大変な事に...」

「ならないよ。...私、言ったでしょ。探すって。結婚してやるって」

「...いやいや。あれは冗談でしょ?」

「私は...嘘は吐かない」


「どんな人であっても私を...救ってくれた貴方が私は好きになる。結婚した半年間...とても楽しかった」と言いながら私は真剣な顔でギルガメッシュ777さん。もとい清水君を見る。

すると清水君は「...そうだな。俺がギルガメッシュ777だよ」と諦めた様に白状をする。

私はぱあっと明るくなる。


「...貴方がそうなんだね」

「ドン引きしたでしょ?俺なんかが。キモオタだし」

「おあいにく様。私もキモオタです」

「...へ?」

「...ギルガメッシュ777さん。私は貴方のお陰でオタクになったんだよ」


そう言いながら胸に手を添える。

そして顔を上げて彼を見る。

彼は真っ赤になっており「!!!!?」と硬直していた。

私は「えへへ」とはにかむ。


「良かった。このままだと県外、いや。日本中どころか世界中を探す羽目になるかって思っていた」

「...沢渡瀬奈さん。俺は...」

「ねえねえ。私の事、瀬奈って呼んで」

「...はぁ!!!!?」


「いつもセナ、セナってゲームの中で私を呼んでいるじゃん」と私はニコッとしながら彼を見る。

彼は真っ赤になって目を逸らす。

私はその顔に「ねえ。呼んで」と話した。


「まあ私も貴方を雄太くんと呼びます」

「...い、いや!?待って!」

「え?何で?」

「お、俺達の関係は所詮はゲームの中の世界!だ、だから...婚約も...」

「?...私は真面目に貴方と結婚するよ?リアルでも」


「なぁ!?」と絶句する雄太くん。

「ム?じゃあ今までの好きは嘘だったの?」と頬を膨らませる。

すると彼は「...だから俺に関わると」と言い淀む。

私は彼の手を掴んだ。

そして寄り添う。


「なぁ!!!!?」

「こんなの好きな人とじゃないとしない」

「そ、そんな!?」

「そもそも好きな人と手を繋いだりしない。...女子はそんな生き物です」


雄太くんはまた絶句する。

私は彼に寄り添ってからニコニコする。

良かった本当に探し求めていた人がこんなに近くに居て、だ。

すると雄太くんは「俺は...馬鹿だし成績も低いし...そ、その。駄目だって」と言う。


「そんなの関係無い。私は貴方を好きになった」

「...!」

「女性が当ても無く婚約すると思う?普通。私は...貴方を本気で好きになったかた貴方と婚約したんだよ?」

「...!」


雄太くんから離れながら私は微笑む。

そして「宜しくね。ギルガメッシュ777さん♪」と私は腰に手を回す。

それから彼を見据えた。

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