第41話 夢か現実か

 さて、お話の続きを始めましょうか。


 この国の人々は魔素の影響を受けているので、一部の人間を除いて、身体が魔物化しています。


 ですので、これからお話する人物は、ほとんどが半獣人化した見た目をしています。


【ミリエラ・メリル】


 彼女は新月の教団の幹部の女性です。


 彼女の髪は赤みがかった茶色のロングヘアーです。


 瞳は茶色でメガネをかけています。


 身体にひつじの要素が混じっている半獣人です。


 マスターにその実力を認められて、教団の実質的なトップに抜擢された、仕事が出来るすごいお姉さんです。


 彼女は国立の魔法アカデミーで魔法を研究していた学生でした。


 魔道炉の事故の後は、とある孤児院に所属して、孤児たちに教育を行っていました。


 しかし、孤児院の理事長が子供たちを裏で奴隷として売り払っていった事実を知り、子供たちを連れて孤児院を脱走します。


 その後、教団の前身となった団体に子供たちを保護してもらったという経緯があります。


 そして、彼女たちはそのまま教団に参加することになります。


 この時孤児だった信者は、現在でもミリエラを先生と呼んでいます。


【マテウス・ガーフィールド】


 彼は新月の教団の表向きの教主です。


 金髪で青い瞳をした優男風のイケメンです。


 狼の半獣人となっています。


 彼はかつて、ローゼンブルグの兵士の一人でした。


 顔立ちがいいという理由で、貴族の婦人たちから人気だったようです。


 その中の一人の老婦人に気に入られて、彼は名門貴族ガーフィールド家の養子となりました。


 しかし、魔道炉の事故以降、ガーフィールド家は没落してしまいます。


 彼は教団に入った当初は、教団の力を利用してガーフィールド家を再興しようと考えていました。


 しかし、優しい性格の彼は、すぐに教団の信者たちから慕われ、信頼されていきます。


 そして、教団の教主にまで上り詰めたのです。


【メローネ・ブライトベル】


 新月の教団の幹部の女性です。


 黒髪のおさげのような髪型をしており、童顔で実年齢よりも幼くみえます。


 子牛の見た目が混ざった半獣人です。


 彼女は孤児だった時にレオニードに拾われて、しばらく一緒に生活していました。


 その後、彼の知り合いの魔法使いに預けられて魔法を教わっています。


 ですので、魔法使いとしての技量が高く、かなり強力な高等魔法を扱えるようです。


 その後、レオニードに推薦されて教団に入り、マテウスに気に入られたことで教団の幹部となりました。


【レオニード・ワイズマン】


 新月の教団の信者で諜報員です。


 彼はワイルドな見た目と優しい雰囲気を併せ持った獅子の半獣人です。


 レオニードは子供の頃、地方貴族で厳格なワイズマン家の生活に嫌気がさして家を飛び出しました。


 その後、とある女戦士に拾われて基本的な戦闘技術を叩き込まれています。


 彼が変態になってしまったのは、この時の女戦士との共同生活が原因なのかもしれません。


 教団に入る前は冒険者として活動していました。


 この時期に孤児だったメローネと知り合い、しばらくの間、一緒に冒険をしていました。


 その後、マテウスと知り合い、彼に誘われて教団に入信しました。


 彼はマテウスからの幹部への登用の打診を断り、教団の諜報員として任務をこなしています。


 そのため、教団内では幹部となったメローネに敬語を使って接しているようです。


 現在彼は重傷を負っており、教団の医療施設で治療を受けています。


【クラウディア・ローズ】


 クラウディアは、ローゼンブルグの名門貴族ローズ家出身のお嬢様で、宇魅那のロイヤルガードの隊長をしていました。


 彼女は、子宮に埋め込まれた魔道具で魔素を解毒出来るので、人間の姿を保っています。


 隊長時代の彼女は責任感がありますが、どこか空回りしてしまうところがあったようです。


 そのため、マスターからは無能と呼ばれてしまった残念な隊長さんでした。


 彼女はレオニードに助けられてから、彼に用意してもらったヨナ・フロストという名前と身分で新月の教団に入信しました。


 ヨナと名乗るようになってからは、レオニードに影響されたのか、肌の露出の高い服も着るようになったようです。


 現在、彼女は治療中のレオニードの身の回りの世話をしています。


 はあ、私、少し疲れました。


 えっ、まだ聞きたいことがあるのですか?


 ……わかりました、お答えしますよ。


 ここからはヴィランたちの説明をします。


【マスターと呼ばれていた女性】


 彼女はかつてイバラ姫が健在だった頃に科学者たちによって作られたクローン人間です。


 イバラ姫のクローンとして作られた彼女は、超再生能力を再現できなかったことで科学者たちを失望させて、廃棄されてしまいました。


 その後、自分を捨てた科学者たちへの復讐心から独学で魔法の研究を進め、他人の身体を乗っ取る魔法を完成させます。


 イバラ姫自体は高身長で男性にも負けない体格をしていました。


 イバラ姫のクローンだった彼女のオリジナルの身体も、その体格を受け継いでいました。


 その後、彼女は超大型の機械人形と一体化しましたよね。


 あれは、はるか昔に空から降ってきたと言われている機械人形です。


 機械人形と言われていますが、本当に機械なのかは、私にもわかりません。


 あの機械人形は周囲に繭を形成して、コクーンと呼ばれる状態でこの国の南部で眠っていました。


 そして、体内に乗り込んできたマスターを取り込んでマスターと一体化し、巨大なイバラ姫の巨人の姿となって大暴れしました。


 私、かなり疲れました。


 そろそろ終わりにしませんか?


 え、まだ聞きたいんですか?


 ……わかりました。


【ガーネット】


 古代人が制作した機械人形です。


 彼女は、研究所の入口を守っていました。


【機械人形シリーズ】


 古代人が制作した新型の機械人形です。


 新型は機械の他に生物の細胞を使用して制作されています。


 彼らはマスターに思考回路を調整されています。


 え、もっと聞きたいの?


【ゴルドン】


 パリピオークその1。


【ジェイク】


 パリピオークその2。


 男が好み。


【アドネ】


 ……蜘蛛女。


「ちょっとミランダ。アンク様の答えがだんだん適当になってきたよ。どうしよう?」


「アンク様、疲れてきたのかな?」 


「それじゃあ困ります。お願い、アンク様。もう少しだけ質問に答えてください。お疲れになったのですか?大丈夫です。私が癒してあげます!!!」


 そういうと、アマネはミランダを押し倒して、キスをし始めた。


「ちょっと、アマネ。何するの。それはさすがにやりすぎだよ。アマネ。アマネ……」


(あれ、何だろう? 遠くで声が聞こえる気がする・・・)


「アマネ……。アマネ……」


 誰かの声が聞こえるのと同時に、アマネの意識がだんだん遠くなっていく。


◇◇◇


「アマネ、そんなところで寝ていると、風邪を引きますよ」


 机の上で眠っているアマネを、ミリエラが優しく起こしてくれた。


「はっ!!! 先生。私、寝ていたんですか?」


「うなされていたみたいね。悪い夢でも見ていたの?」


「い、いえ。よく覚えていないのですが、とても楽しい夢だった気がします」


「それならよかった。あまり頑張りすぎるのもよくないわ。無理をせず、休みをとりながら仕事するのも大切ですよ」


「ありがとうございます。先生に心配していただけるなんて、私は幸せ者です」


「ふふ、あなたのがんばっている姿をみると、私もがんばらなくちゃって思えるの。ありがとうね」


 ミリエラはアマネの手を取って微笑んだ。

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