第11話 避難の代償

 蜘蛛人間たちの視力が戻る頃には、宇魅那とロイヤルガードはいなくなっていた。


「姫様は逃したか。まあいい。上物を二人捕まえた。上出来さね」


 アドネはレイラとシャロンの二人を蜘蛛の脚で捕らえていた。


 怯える二人の騎士。


「くくっ、生贄に差し出されたのかい?かわいそうにねえ」


「くっ!! 殺せ!!!」


 アドネは残った女騎士二人に毒を仕込んだ爪を突き刺して動けなくする。


「きゃああああああ!!!」


 彼女達の顔を蜘蛛脚で嬲りながらアドネは語りかける。


「あなたたち、殺せなんて威勢のいいこと言ってた割に可愛い声で鳴くんじゃないの。おや、足の付け根あたりから何かが滴り落ちてるわねえ。私が怖くてお漏らししちゃったのかな。あはははは。まあ、魔素だらけのこの国では魔物化した方が幸せになれるよ。だから、おとなしく魔物化して私のかわいい息子たちの子供を産むんだねえ」


 アドネは彼女たちの装備を器用に剥いで裸体を晒すと、毒で動けない二人の腹を裂いて魔素を無毒化出来る魔道具を取り出す。


(痛い!! 痛い!! 痛い!!! 痛いよぉ!!!)


「ふーん。これがそのアイテムかい。高く売れそうだねえ。ふふふ」


 そして、アドネは彼女達の腹の中に魔素をたっぷりと注入してから、裂けた腹を自身の出した糸で縫い付けて、息子達の方へ放り投げた。


「安心しな。裂けた腹は直ぐに治るよ。身体が魔物化しながらね。おやおや、毒が効いてきて声も出せないようだね。ふふ、このまま魔物化が進めば私の毒に耐性が出来るから、それまでの辛抱だよ」


「へえ、よく見ると二人ともいい尻をしているじゃないか。安産型ってやつだね。これなら、魔物になってもたくさんの子を産めそうだ。お前たち、たっぷりとかわいがって、しっかり孕ませてやりな」


(もうやめて……お願い……いっいやあああああああ!!!!! お願いぃ!!! もうらめぇぇぇぇ!!! あっ! あっ! あっ! あっ! あ……)


 アドネの息子達に「おもちゃ」にされていく二人。


 すでに、彼女達の心は崩壊していた。


(ふふ、上物からは強い子が生まれるからね。弱肉強食の世界になったこの国で生き抜くために、家族をもっと増やさないといけないのさ)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る