第12話 好きになった男の子にベタベタしてしまうウサ子姉さん

 アンナたちは森を抜けたあと、街へ続く道の脇に簡易テントを張り、中で休憩をしながら話をしていた。


「とりあえず、街では顔を隠して行動するわよ。みんな魔素の影響である程度魔物化してるだろうから、私とクロウドみたいに人間のままの姿だと、逆に目立って警戒されるからね」


「今は魔素を少しでも吸わないように顔と鼻を布とかで覆ってる人が多いみたいから、仮面をしていても周りから浮かないからいいわよね。昔だったら仮面したまま里の外に出たりしたら、みんなからジロジロ見られてたからね」


「アロウラ、あなたは顔を布で覆って少しでも魔素を吸わないようにしなさいな。私たちも、仮面よりもそっちの方がが目立たなくていいからそうすることにするわ。それはそうと、子供二人と女一人のパーティーだと、さっきみたいにどうしても変な奴らに絡まれるのよねえ」


(アンナとスクネの顔が見れなくなるのは残念だけど、仕方ないわね。ああ、いつも見ていたいんだけど……)


 アロウラは二人の顔を見つめる。


「アロウラ、魔法使わないんでしょ?僕は剣があるからいいけど、アロウラにも武器が必要だよね?」


「心配してくれているの。優しいのね、クロウド。ありがとう」


 アロウラはさりげなく後ろからクロウドを優しくハグして、話を続ける。


「そうねえ。私の武器って何がいいんだろう?ねえ、アンナは何がいいと思う?」


「あなた以外と器用だから、なんでもそれなりに使いこなせちゃうのよね。弓矢とかどうなの?」


「弓矢かあ。矢の方に魔力でエンチャント出来ればいい武器だけど、今、それは出来ないからなあ。ねえ、街で武器を探してみてもいいかな?」


「いいわよ。あなたがしっくりくる武器を見つけなさいな」


「ありがとう。ねえクロウド、よかったら一緒に武器を選んでくれない? あなた、いつも剣を使ってるから私より武器には詳しいでしょ? 私、そういうのあまり知らないからさ」


 アロウラは、クロウドの手を握って指を絡めながらお願いする。


「僕は全然構わないよ。でも僕だけでいいの?」


「アンナがいると買物する時いろいろ口を挟んでくるから、買いづらくなるのよ」


(本当はアンナとも買物したい……でもスクネと二人きりになるチャンスなんてなかなかないから、ここは我慢するわ。ああ、ヤバい。想像したら興奮してきちゃった。だってスクネかっこいいんだもん)


「あなた、私のことそんなふうに思ってたの? まあ、いいわ。二人で楽しんできなさいよ」


「ありがとう。じゃあ、クロウド先生、よろしくお願いしますね」


 アロウラはもう一度クロウドを抱きしめると、頬に軽くキスをした。


(どうでもいいけど、アロウラのやつ、急にスクネにベタベタしだしたわね。スクネはまだ子供なのに、好きにでもなったのかしら。ま、仲良くしてくれるのなら、別にいいけどさ)

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