第70話 技術カンファレンス
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「芸能界に全く興味のない俺が、人気女優と絡んでしまった件について」の第142話より少し前の時間軸です
https://kakuyomu.jp/works/16818093077567479739/episodes/16818093089135271246
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「Web Tech Expo?」
「最新の技術やトレンドに関する情報を共有し、業界の専門家や企業が集まるイベントだ。
技術系のイベントでは国内最大級となる」
マンスリーマンションの一室では、柊が技術カンファレンスについて説明していた。
「どんなイベントッスか?」
竹野が興味津々と聞いてきた。この様子だと、お祭り好きなのかもしれない。
「ウェブアプリケーションの技術に関連したイベントだ。
参加者は講演を聞いたり、スポンサー企業のブースを見て回ったりできるんだ。
イベント後にはパーティが開催されるので、参加者との交流ができる」
「デルタファイブサミットのようなイベントとは違うのか?」
「あれは、企業を対象としたイベントだけど、Web Tech Expoは個人が主体になるイベントだ。
一般社団法人で運営され、スタッフはボランティアだ」
「コミュニティを主体としたイベントってこと?」
「スポンサー企業の出資が入るが、その認識で大体合っている」
柊の様子からすると、Web Tech Expoの参加経験があるようだ。
「ちょっと待って、何で柊がデルタファイブサミットを知っているのよ」
((やばっ))
上田のツッコミに柊は思わずたじろいだ。
「アストラルテレコムも招待されていたので、その付添だよ。俺が加古川さんとつながっているのは知っているだろ?」
「そういえば、そうだったわね」
「少しは社内の人間にも興味を持てよ」
「うるさいわね……
(加古川……運用部門のお偉いさんか)
景隆は柊がデルタファイブサミットに参加していないことを知っていたが、黙っていた。
「Web Tech Expoは私も知っているけど、何をするの?」
終始興味なさそうにしていた新田が口を開いた。
「スポンサーをするんだろ?」
「ひとつはそれだ」
景隆は正解を引き当てたようだ。
「ユニケーションを宣伝するってこと?」
「そうだな、できればリクルーティングもしたい」
翔動で抱えている案件の内、外部に公開しているサービスはユニケーションのみだ。
柊は今後のことを見据えて、人材を強化したいようだ。
「ひとつはって言っていたけど?」
「あぁ、トークのプロポーザルを出す」
「プロポーザル?」
景隆は企業が主体となるイベントには参加経験があったが、コミュニティが主体のイベントの知識は皆無だった。
(鷺沼さんなら知ってそうだな……)
「このイベントのメインは技術に関連したトークなんだ。
トークは事前に提出されたプロポーザルの中から選ばれた人が登壇できる仕組みだ」
「誰でも出せるの?」
「特に制限はないよ」
景隆は確信した。柊は登壇経験があるのだろう。
「それで、誰がそのプロポーザルを出すんだ?」
「私はまったく興味ないからね!」
新田は牽制するように言い放った。
(残念なような、ホッとしたような……)
景隆は新田が話すのであれば聞きたい人は山ほどいるだろうなと思うと同時に、新田に関心を持たれて引き抜かれてしまうことを懸念したため、安堵した。
「下山さん、やりませんか?」
「ええっ!? 僕ですか!?」
終始、他人事のような態度を見せていた下山が驚いていた。
「うちとしては、登壇者を輩出して技術力をアピールしたいのですが、役員が出張るのは避けたいと思っています」
「俺も賛成」
「私も」
役員がそろって賛同を示した。
「エンジニアを前面に出すという意味では、竹野くんでもいいんだけど」
「俺が出たら会社のイメージ悪くなるッスよ……ライブとかDJとかのほうが向いてそうじゃないッスか?」
「それ自分で言う?」
新田は呆れていた。
「そうなると、僕しかいないですね」
「大丈夫、柊と新田がサポートするから」
「なんで石動が言うのよ」
景隆は「俺、一応社長なんだけどな……」とこぼしていた。
「決まりですね。少し強力なライバルがいますが、がんばってください」
「え、あの……ライバルって?」
「神代さんがすでにプロポーザルを提出しています」
「「「「「えええーーーっ!」」」」」
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