第5話 孤児院

転生3日目

ほっぺたに紅葉もみじの跡をつけた俺は

馬車に揺られていた

「けつが痛い」 

アスファルトじゃない地面はでこぼこしていて

振動が激しいばね板である程度はゆれをおさえているが

それでも現代日本の道路事情を車で走ったことのある

俺としてはけつが痛い

馬車で向かっている場所は孤児院だ

どうららバラッドくんアイリスに孤児院の現状を見てほしいと頼まれて

その条件に夜の相手をすることを約束したらしいのだが

どうせアイリスはその条件はのまないだろうと思って記憶にのこっていなかったのだ

なので正直に

「約束ってなんだっけ?」

と言ったら フルスイングでびんたされたので

見事な紅葉模様がほっぺたにできあがったのだ

馬車には俺・アイリス・ミント・カトレアの

4人が乗っている 馭者をローズがやっている



まもなくして 孤児院についた 

孤児院の入り口にはデーマン家の家紋があり

この孤児院が我が家で経営されていることを教えてくれる

建物は古くもう何十年も修理されていないようで

ところどころ傷んでいる

建物の中からシスター姿の女性と7人ほどの孤児たちが出てきた

「わざわざ お越しくださり ありがとうございます。

責任者のセントポーリアです」

シスター姿の女性はセントポーリアと名のった

彼女はゲームでは孤児院の借金のため最後は奴隷に身を売ってしまう

悲劇の女性なのだが

その借金の原因がバラッドくんだったはず

そのことが のちにばれて死刑の要因の一つになったのだが

だがその原因に心当たりがないのだ

そんなことを考えていたら一人の獣人の子が俺の前にやってきた

「こんにゃちは 子豚の獣人さん

私は猫の獣人のミケですにゃ よろしくですにゃ」

俺も4人のメイドもセントポーリアも一瞬かたまってしまった

すこしの沈黙の後 俺は尋ねた

「子豚の獣人って 俺のことか?」

ミケはコクリと首を縦にふった 満面の笑顔で

「ぷっ た・たしかにブタみたいに太っているが

そいつはヒューマン人族だぞ」

なかば笑いながらローズが答えた

他のメイド3人は笑いをこらえている

セントポーリアは逆に顔を青くして土下座した

「もうしわけございません どうぞ許してください なにとぞ なにとぞ」

「えっ 獣人さんじゃにゃいの」

「おれは 人族だ!」

ミケのほっぺたをつねりながら言った



死亡予定日まであと 1078日

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