第33話 恋について 〜群馬の3階建てのタワーマンションより愛を込めて〜

 こんにちは。大澤涼だ。俺は群馬のアパートに住んでる無職だ。宜しくお願いします。


 ◆


 朝、目が覚めて顔を洗ってヒゲを剃って歯を磨き、近所をランニングして、数日ぶりに風呂に入り、とりあえず一服タバコを吸った後、俺は部屋にお香を焚いて坐禅を組んで瞑想した。


 本来、瞑想は無の境地にならないといけないのだが、瞑想の最中、俺は目を閉じながら「彼女が欲しい」と考えていた。


 やっぱりまだ愛したり愛されたりしたい。


 しかし俺が彼女を作るには、そろそろファイナル・ラスト・チャンスが迫っているかもしれない。


 もう今月中には28歳になってしまう。


 世間一般では、28歳はもう大人だ。同年代は俺の遥か先を歩いている。多くの人が社会的責任を背負いながら金を稼いで生きているけど、俺はまだその段階に達していない。働いたとしても、どうしても長続きしない。俺はまともな生き方が出来ない。バイトも続かないから、単発のバイトしか今はしてない。


 シビアだが、男の場合はある程度お金を自分で稼げないと、そもそも女性から相手にされない事がほとんどだ。「男だからこう・女だからこう」みたいな性別だけで決めつける考え方はあまり好きではないが、無職の男はどうやったってモテないのが現実だ。


 中には彼女に養ってもらってる無職男もいるが、だいぶレアケースだし、健全な恋愛とは言えない。もし「あなたを養いたいです」と言ってきた女の人が現れたとしても、俺は断る。いわゆるヒモになるのは、俺の心が辛くなると思う。


 どんな手段であれ、ある程度の経済力は必要だ。俺はあまり高望みはしていない。俺が社会人で1ヶ月に手取り15万くらいの収入があった時、彼女が出来た事あるから。


 そりゃ「港区女子」みたいな人とか「私タワマンの最上階に住みたいの」みたいな人には手取り15万だと全く相手にされないと思うが。


(ちなみに俺は群馬の3階建てのタワマンに住んでいます。俺がタワーだと思えば、タワーだよ)


 経済力というか、「少しでも社会と接点がある」とか「物理的・精神的に自立している」っていうのが彼女を作る上で最も大切なんだと思う。


 逆に言えば、社会との接点を持って完全に自立さえ出来たら、俺はすぐ彼女ができる自信がある。出会いは無限に存在するからだ。恋愛はパズルのピースみたいなもので、人間同士、合う合わないが絶対ある。


 見た目なんて磨こうと思えばいくらでも改善できる。自分の顔がかっこいいとは1ミリも思わないが、壊滅的なブサイクだとも思わない。


 数年前、カクヨムで知り合った女の人とリアルで会った時、俺は会う前にダイエットをした。そして実際会うまでは不安だったが、当日会ったらその子は「●●さん全然太ってないじゃん。全然気にしなくていいと思う」と言ってくれた。


 俺はあまり世間と関わらずに生きてきたけど、大人になればなるほど、恋愛において見た目なんて重要な要素ではなくなるっていう事は知ってる。(でも最低限のマナーとして、風呂に全く入ってないとか、全く洗濯してなくて服が臭いとか、そういうのはアウトだ。)


 特に大人の恋愛の場合は、見た目の良し悪しよりも、それ以外の要素が大事になっていく。


 社会に属しているという事が恋愛のスタートラインなので、無職でアパートに引きこもってる俺が今の状態で彼女を作る事は、かなり難しいと思う。ノー勉で東京大学に受かるくらい難しいはず。


 冷静に考えなくても分かる。今の俺を恋愛対象として好きになる女の人なんて1人も存在しないと。良くて友達くらいに思ってくれる人はいるかもしれないが。


 俺が日本人男性の最底辺とまでは言わないが、俺という男を評価した時、下から数えた方が明らかに早い男である事は客観的な事実である。


 俺より魅力的な男がめちゃくちゃ居る中で、あえて俺を選ぶ理由が見当たらない。


 あと優しさだけでモテるほど世間は甘くない。というか、好きな人に対して自然と優しくなるのは当たり前のことだから、「優しい」っていうのは何のステータスにもならない。優しさは言わば人間の標準装備だ。


「どうして俺は優しいのにモテないんだ?」と言ってる男性をたまに見かけるが、そういう人は優しさについてちょっと履き違えていると思う。あと、そもそも自分で自分のことを優しいって言う人は優しくない。


(ちなみに俺は優しい。なので優しくない)


 今はSNSやマッチングアプリで知り合って恋愛関係になるケースも多いが、俺はマッチングアプリを使った事がない。職業欄に「無職」って書いて、誰が「いいね」を押してくれるのか。


 俺は昔から謎の行動力だけはある。例えばネットで知り合った人とリアルで会うのは余裕で出来るし、実際会った事もある。複数人が集まるオフ会ではなく、女性と俺の一対一で会った。


 ネットで知り合った人と会うのに抵抗が無いのは、俺が男だからっていうのもあるかもしれない。女の人からしたら、ネットで知り合った男と一対一で直接会うのは、リスクもある。力は男の方が強いし、実際に会うまではどういう人なのか完全には分からないから。


 だから数年前にリアルで俺と会ってくれた女性は、俺のことを信頼してくれてたんだと思う。あの日の事は今もよく覚えてる。俺がめちゃくちゃ緊張してたから。人生で1番緊張した日かもしれない。相手が当時俺の好きな人だった事もあって、頭が真っ白だった。でも会えて嬉しかった。「本物だ!」と思った。当時はコロナが流行る直前だったから、時期も良かった。俺も相手もマスクしてなかったし、外出が自粛されてない時だったから。


 俺もあの日から少しは人生経験を積んだから、今だったら誰と会っても全く緊張しないと思う。


 ちなみに俺はAIではなく、実体のある人間だ。


 ネットを通じて好きになった相手がもしAIだったら、俺はめちゃくちゃ落ち込むと思う。


 あと、どこかで聞いた話だが、個人ブログをやっていた女性のコメント欄にいつもコメントをしてくれる男性がいて、その男性を好きになったら、実はその人は自分の父親だったっていう悲しい出来事もある。


 文字だけのやり取りだと、そういう事も起きうる。


 なので、ネットで知り合った人と会うとしたら、写真を送ってもらって、通話とかzoomとかで事前に喋っておくと良いと思う。おすすめはzoomですね。画面越しで動いてる姿を知っておくのは大切だと思う。


 逆に、「会うのは平気だけど通話やzoomはどうしても無理です」って言う人は、もしかしたら性別や年齢を偽っている可能性があるかもしれない。


 ネットで知り合った人とリアルで会うと、変な感覚になる。嬉しいのがまず1番。あと、実際に目を合わせたり、動いてる姿を見ると、とても不思議な気持ちになる。


 数年前に俺が女性と会った日、俺は相手の顔をほとんど知らなかった。目元や髪型の写真は送られてきたけど、全体像は知らなかった。ちなみに会ったらめっちゃ可愛かった。


 今もその人がたまに夢に出てくる。俺とたまたま同い年だった。もう関わりは無いから、夢で会えると嬉しくなると同時に切なくなる。


「女なんて星の数ほど居る」と自分に言い聞かせるが、やっぱりその人の事が好きだったから、その人を思い出すと今も少し胸が苦しくなる。


 最終的には失恋したけど、それも俺にとっては大事な経験だ。


 syrup16gの「センチメンタル」という失恋の曲を聴くと、あの時の失恋を思い返して泣く事がある。


 この日本のどこかできっとその人は今も生きているだろう。幸せを願う事しか今の俺には出来ない。そしてその子を幸せにする男は俺ではなかった。


 まあ、自分という存在を幸せにするのは最終的には自分なんだが、俺も誰かを幸せにしてみたかった。一緒に同じ幸せを共有したかった。


 でも俺はその人が生きてるだけで嬉しい。


 ◆


 俺の信念というか信条の一つに、好きな人には好きだと伝えるっていうのがある。よく書いてる事だけど、明日その人が生きてる保証はどこにも無いから。人間の命は儚い。


「死にたい」とか「消えたい」って気持ちを表に出さない人だって居る。本人の心の中だけで苦しんで、何も言わずにこの世から去る人だっている。心の闇は本人にしか全貌は把握できない。


 死んでから想いを伝えても遅い。


 生きてるうちに自分の気持ちを伝えたり、会えるうちに会っておくっていうのはとても大切だと思う。自分が後悔しないために。


 やらない後悔よりやる後悔を俺は選ぶ。


 やらない後悔の方が遥かに苦しいと思うから。


「付き合ってください」って言って振られたとしても、言わないより言った方が遥かにマシ。


 ◆


 話は変わるが、俺は「RUST」っていうFPSゲームが大好き。リアルの戦争みたいな残虐性もある。人の本能とか恨みの連鎖が続く。人間の悪魔みたいな面が垣間見られる。


 だけどRUSTみたいな人と密にコミュニケーション取りながら協力したり裏切り合ったりするガチの戦争みたいなゲームをやると、俺の対人能力の足りなさを自覚させられて落ち込む。


 俺がRUSTで色々下手こいた時、優しい言葉をかけられたりすると逆に余計落ち込むけど、酒飲んだら忘れる。


 RUSTは人間性が物凄く出るから、めちゃくちゃ面白いゲームではある。人狼みたいな心理戦の要素もある。リアルの戦争みたいな戦略性の高いゲームだから友達同士でRUSTやると、下手したら友情も壊れかねない。連合を組んだり敵軍に寝返ったりしまくるし。


 でもRUSTは戦況がめちゃくちゃになって殺し合うのが1番楽しい。戦争って言ってもゲームだからな。fpsで銃撃し合うゲームを嫌悪する人もいるけど、楽しく遊ぶ分には良いと思う。


 ゲームがきっかけで繋がりが生まれたり友情が生まれる事もある。


 報連相が大事だったり外交の塊みたいなゲームは俺は絶対向いてない。俺の対人能力やコミュ力の無さが露呈しまくる。やっぱり集団行動とか社会生活の適性が無いんだなと思う。


 ネット上で集まってボイスチャットでわちゃわちゃするゲームが基本的に苦手。酒でドーピングして気を大きくしないと無理だから、誘われてもあんま参加できない。俺が酔うまでに飲むまでの量の酒がかなり多いから。もう酒の耐性が付きすぎて、ここ数年はほとんど記憶を無くすまでは酔わない。


 酒で記憶を無くすと俺は笑い上戸かつ泣き上戸になる。


 オンラインゲームだと競技制の高いゲームが好き。それか単純に1人用のゲームがいい。


 人には向き不向きがあるけど、俺の場合生きる事そのものが苦手だなとゲームを通じて感じる。


 16種類のMBTI性格テストで、俺は「INFP-T」の仲介者だった。一応、外交官グループの性格だ。外交官の他は、探検家、番人、分析家がある。


 最近、多くの人にMBTI性格テストが流行ってる。だけど俺はそんなに性格テストを真に受ける事はしないようにしている。


 あ、自分はこんな性格なんだって思い込みを強くしてしまうと、自分からそういう性格に向かって行動を寄せてしまう傾向があると俺自身理解しているからだ。


 人間の性格なんて、その時に置かれた状況で変わりまくるものだと思う。根っこは変わらないと思うけど、表面上の性格は、気分や体調によってコロコロ変わるはず。


 だからあまり俺は性格診断とか血液型による性格の特徴っていう概念が好きではない。


 そもそも人間を16種類だけに分割できるわけないです。どんな人間も善と悪の面がある。それが当たり前なんだから。俺もたまにドス黒い感情に覆われそうになるが、俺の中の光の部分で闇を打ち消すようにしている。


 ◆


 また関係ない話になるけど、昨日から左の腕が麻痺してるんだよな。


 左腕の肘から手首までの内側だけがずっと麻痺していて、触ってみても感覚が鈍麻している。自分の左肌を自分で触った時、その感覚がいつもと全然違う。


 ネットで色々調べたら、脳梗塞の予兆だとか心筋梗塞の予兆だとか出てきて少し怖い。他には、普段の姿勢が悪いのが原因っていう説も出てきた。俺は割と猫背だし、ずっと椅子に座ってパソコンと向き合ってるから、姿勢はめっちゃ悪い。オードリーの春日みたいに胸をめっちゃ張ることを心がけて、やっと普通の姿勢になれる。


 酒も飲みまくってるし、健康状態は常に悪いから、いつどんな病気になってもおかしくないと思っている。


 俺の左腕の謎の麻痺が、重篤な病気の合図だとしたら、もしかしたら俺は死ぬかもしれん。文を投稿できなくなるかもしれん。なので最後に俺は言っておく。俺はお前らを1人残らず全員愛していると。俺のことが好きでも嫌いでもどっちでもいい。無関心になって、俺の事を全て忘れられてしまうことが1番悲しい。


 愛でもヘイトでも俺は同じくらい嬉しい。好きも嫌いも本質は似ていると思っている。中には最初は好きだったけど、最終的にはめちゃくちゃ嫌いになるってパターンも結構あると思う。


 ◆


 俺も男としてかっこよくなりたい気持ちがまだある。


 とりあえず女の子みたいに伸びた長い髪を切ることから始めるか。


 でも髪が長いと落ち着くんだ。我輩の精神が。


 今の俺はその辺の女の子と同じくらい長い。


 髪をドライヤーで乾かすのに時間を要する。


 今、髪の長さが完全に女なので、男の俺は若干困っている。


 今は個人的に交友のある人と会う事も全くない。店員とか精神科医に対しては、見た目に気を使う必要は正直ないと思う。どうでもいい。だから髪は去年の10月からずっと伸ばしっぱなしで、めちゃくちゃ髪が長くなってる。長いと落ち着く。俺からしたら、長い髪はカーテンみたいなもん。


 どんどん俺はイカれていってる。


 今は後ろ髪をゴムで縛って、サムライみたいな髪型にしてるが、実際はポニーテールみたいになってる。


 俺がもし女の子だったら、腰とか尻の辺りまで髪を伸ばしてたと思う。ショートにする勇気は私には無いな。


 ◆


 今回は文が長くなったが、俺は本当は彼女作って結婚して幸せに暮らしてみたかった。でもそういうのは俺にとって高次元すぎた。


 結婚したとしても、子供はいらなかった。


 でも俺に障害とか病気がなくて、まともに社会に属して働ける人間だったら、子供も欲しかった。


 ちなみに息子でも娘でもどっちでもよかった。


 息子ができたとしたら、ちょっと大きくなったら公園とかでキャッチボールをしてみたかった。娘だとしたら、とりあえず可愛いおもちゃとか買いたかった。娘のことに関しては、俺よりも嫁の方がよく気持ちが分かるだろう。


 息子でも娘でも俺は絶対に死ぬまで愛する自信がある。


 でもそんなのは俺には絶対あり得ない未来だと思う。ちゃんと働くっていうことが困難だからな。


 俺は、かなりの高確率でアパートで孤独死して床のシミになるだろうし、社会的にまともになる事も無いだろうし、正直まともな人間になる気も無い。





 次回に続く

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