第28話 麻雀大好き!!

・中臣鎌足(なかとみのかまたり)

・性欲の塊(せいよくのかたまり)


 この2つがとても似ている事に俺はさっき気付いて衝撃を受けている。ちなみに中臣鎌足は飛鳥時代の貴族・政治家であり、のちに藤原鎌足に名前が変わった。割と有名な歴史上の人物だと思う。


 あと俺は麻雀やってる時に「六」と「九」の牌が並ぶとエロい事を想像したりする。


 男っていうのはそういうくだらない生き物なんだよな。だから世の中の女性は男に幻想を持たない方がいい。現に俺だって澄ました顔をして内心エロい事ばかり考えてるからな。俺のとても爽やかなイケメンフェイスの裏側では常にエロい事が浮かんでいる。優しさの溢れる瞳の奥では変なことを考えている。胸の奥で熱く滾る想いを全部出す!!


 ちなみに俺はめちゃくちゃイケメンだ。俺と生年月日が近い俳優で横浜流星っていうかっこいい人がいるのだが、俺は、横浜流星と俺を足して横浜流星を引いたくらいイケメンである。


 でも男の価値は顔ではねえよ。ある程度マナーとしての身だしなみさえ整えていれば、あと大切なのは人間性だ。金持ちじゃなくても良いし、バカでも良い。


 女の価値も外見ではない。前も書いたと思うが、外見とは単なる箱の外装であり、大切なのは箱の中に何が入ってるかだ。


 性欲の絡まない優しさや愛が、真の優しさや愛だと俺は思っている。


 4人で集まって麻雀でもやらないか。


 雀荘に行って4人で麻雀打ちたいけど麻雀のルールを知ってる友達が3人もいない。なので最近はネット麻雀で楽しんでいる。


 俺はリアルで麻雀するとき普通にイカサマも繰り広げるしめちゃくちゃ強い。人がよそ見してる時に人の手牌をこっそり全部見たり、こっそり牌を入れ替えたりする。あと部屋の中にドローンを飛ばして全員の手牌をいつも把握してる。裏ドラもこっそりめくって確認する。いきなり「あっ、UFOだ!!」って言うと一瞬みんなが俺が指を差した方角を見るから、その隙を狙って他人の手牌を全部見る。俺が麻雀打った時の通算勝率は驚異の99.95%くらいかな。俺より麻雀が強い奴はこの世に存在しないと思われる。


 負けた奴は全身の血液を抜かれて死んでしまうという、いわゆる「大澤麻雀」っていう麻雀が俺は大好きなんだけど、やっぱり金なんかより自分達の命を賭け合った麻雀の方が燃えるんだよな。負けたら死ぬっていうスリルがたまらねえ。


 俺は「闇に舞い降りた伝説」と麻雀界隈では呼ばれている。抗争中のヤクザが麻雀で命を賭けて戦うとき、俺はよく代打ち(助っ人)として呼ばれるけど一度も負けた事はない。なので俺は裏の世界でめちゃくちゃ恐れられている。俺と麻雀打ったその瞬間に死が確定してるわけだからな。


 俺と麻雀との出会いは高校時代に遡る。野球部にいたから勝手に麻雀に詳しくなった。野球部で流行ってたから。


 女の人と麻雀を打つ時は俺も多少甘くなってしまうというか、手加減しそうになる事もある。でももちろんイカサマはするし、手牌は全てドローンで逐一把握するし、なんなら試合前に賄賂を何万円か払って、俺が最終的に勝つように試合を意図的に操作する事もある。まあ、いわゆる八百長ってやつですかね。勝つ為には手段を選ばない時もある。俺は自分の手を汚してでも勝利に対して貪欲なのだ。俺は勝ちに飢えている。


 試合前に全自動の雀卓の中身を細工して、「天和」っていう伝説的な役で試合開始直後に上がった事も何度もある。ちなみに天和が完成する確率は33万分の1である。


 当然、イカサマが疑われたわけだが、あえて俺は逆ギレして「俺は絶対やってねえ! たまたま奇跡が起きただけだ!」の一点張りで何とか乗り切った。


 麻雀が強すぎてごめん。


 こんな俺でよかったら一緒に麻雀でも打たねえか? 超楽しいぜ、麻雀。


 俺の信条は「みんなが平等に笑顔で楽しめる麻雀」だから、麻雀初心者でも俺が色々配慮して楽しめるようにする。もちろんイカサマや不正は絶対するけど、そこは俺が勝つ為には仕方ない必要悪だから、目を瞑ってくれ。


 俺が言える事としたら、「憧れるのをやめましょう」って事だな。俺に憧れてたら一生俺に麻雀で勝てないから。大谷翔平もWBCの決勝戦の前に「憧れるのをやめましょう」って言ってたけど、憧れを抱いてしまった時点で絶対に勝てないから、とにかく憧れるのはやめよう。あの日、日本が野球最強のアメリカに勝てたのは憧れるのをやめたからだ。


 あなたは何千回、何万回と涙を流してきたのだろう。でも、たった一度でも諦めてしまった事があったか? まだ一度も諦めきれないから今日も生きてるのだろう。ひたむきに戦い続けるあなたの姿を今日も誰かが見ている。少なくとも俺は見てる。必死に戦うあなたの姿を。必死になるのはダサい事じゃねえ。むしろその逆。泣きながらでも再び立ち上がる姿は熱い。


 己の力を信じて限界の壁を突き破れ。鍛え上げられた体、そのハートも熱い。王者の道を掴むぞ。魅せろ。


 夢にときめけ、明日にきらめけ、目指せ甲子園。さあ、野球やろうぜ!!!!!


 ◆


 俺は麻雀をやってる時、どうしても相手の手牌が気になってしまい試合中に大声で「あ、UFOだ!!!」と言って適当な空気中に指を差す。するとみんな一瞬そっちに視線を向けるから、そのうちに他人の手牌を思いっきりチラ見する。


 そういう古典的なズルが意外と効果的なんだわ。


 卑怯だと思われても仕方ない。俺は勝利を掴む為なら自分の手を汚すし、悪魔に魂も売りますわな。


 ◆


 でもそういうズルをして麻雀の試合に勝った後、俺の中の天使が「大澤、あなたは本当はとても優しい人なのよ! こんなズルをして勝って嬉しいの!?」と叫んでくる。


 正直言って不正やズルやイカサマをして勝つと、俺の胸は苦しいし、涙も流れる。


 でも、それでも、俺は勝ちたいんや。もうこの道を引き返す事なんて出来ひん……。


 俺は成る。地上最強の雀士に──。


 俺は血の涙を流してでも血塗られた道を歩き続ける。それが俺の麻雀道──。





 次回に続く

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