第21話 バーベキュー大澤(Unknown)
「本当のようで嘘な雑学」を一つ書く。
・実はとうもろこしは分類的には野菜ではなく果物である。
これは俺が今考えた全く嘘の雑学である。まるで本当っぽくないか? でも全くの嘘だ。とうもろこしは完全に野菜だ。
◆
夏はとうもろこしがうまいよね。焼きとうもろこしにしても美味いし、BBQにも使える。香ばしいとうもろこしと甘辛い焼肉のタレが美味い。
もうバーベキューなんて何年もしてないなあ。みんなでバーベキューやろうぜ。いつか。俺の読者全員集めて一箇所でやろうや。主催者は俺だ。大勢で肉まみれになろうや。その時まで生きててくれ。もう俺たちは友達だろう。
いつか辛い事が全て過去になったらみんなでビールでも飲もう。肉を食おう。事情があって酒を飲めない人はノンアルコールビールでいい。
俺はアサヒの「生ジョッキ缶」っていうビールが好き。ふたを開けると泡がもこもこ出てくるやつ。去年の大晦日、実家に帰った時に初めて飲んだ。普通のプルトップのふたじゃなくて、缶の全域が開くようになってる特殊な丸いふたです。
死にたい人はいるか? 俺も頻繁に死にたくなるから、辛い気持ちは分かるつもり。でも、死ぬのも難しい。生きるのも難しいけど。
俺はもう人生でやりたい事が殆どないけど、こういう生き方が理想だなっていう形はある。それは、他人に悪影響を与えるのではなく、ほんの少しでもプラスの影響を与えられるような人間になる事です。大きな成果や成功はもう残さなくてもいいけど、俺という存在が少しでも誰かにとってプラスの存在になれたら、それが俺が立派に人生を生きた理由になると思う。
社会的に成功を収めていて金を稼いでいたとしても、自殺する人は自殺する。
俺は「この世で生きる限り、病む事は絶対に避けられない」と考えるタイプだけど、中にはずっと笑って生きてる人もいる。
そういう人はたまたま運が良いだけだったんだと思う。現代の社会で全く病まずに生きていくのは本当に難しい。“普通に”仕事をしていた時期が俺にもあったが、当時の俺の精神は“普通”なんかじゃなかった。カッターナイフを車の中に持ち込んで、通勤の途中に手首を切っていた。案の定、体と心がぶっ壊れて退職したが。それから、何年も時が過ぎてちょこちょこ社会復帰しているが、いずれも長続きしない。
普通に働くって事がどれだけ普通じゃないのか、俺はよく分かった。
俺は頭がおかしいと、よく分かった。
ロックがやりたいと思った。バンドがやりたいと思った。でも友達がいなかった。今年、俺と一緒にバンドをやりたいと言ってくれるベースの女性が現れたが、人間関係が上手くいかなかった。多分俺はめちゃくちゃ変わり者で、しかも薄情な面も多い。
バンドはチームスポーツですからね。
いろんな関係者と接さなきゃいけないし、自分勝手じゃやっていけない。
俺は野球という団体競技をずっと部活でやっていたが、まあ野球は団体競技であり個人競技でもあるので、協調性のない俺にとっては楽なスポーツだった。
ちなみに今俺は酒を飲んでいる。
書く事が何もねえなあ、と思っていても酒を飲んだらある程度は文を書けるから酒には感謝する。
ちなみに今俺は「the band apart」の「Eric.W」を聴いている。おしゃれ!
◆
俺はだいぶ前から精神障害年金を貰って生活している。俺が実家を出て1人暮らしが出来るようになったのは間違いなく年金のおかげだ。あと母親が定期的に俺の口座に金を振り込んでくれて、それに頼っている。しばらく実家の猫に会っていない。
ネットから知り合った人には普通に自分が障害年金の受給者であることを明かしているが、リアルの知人や友人には、その辺のことは全く言わないようにしている。なんでかというと、彼ら・彼女らの中には障害年金の審査に落ちてしまった人達もいるからだ。だからその人たちに対しては、俺が年金を貰っていることに負い目や申し訳なさを感じる事が多い。
審査に通る人も通らない人も「目に見えない、答えのない生きづらさ」を感じている事は共通しているだろうから。
俺なんかが年金を貰っていいのかと思う事もあるが、精神科医が俺のために書いてくれた診断書の中には「就労不可」と書かれていた。
本気を出せば働けるとは思うが、また前みたいにメンタルぶっ壊して、鬱が重くなって妄想・幻覚状態になってしまうのかもしれないと考えると、働くのがとても怖い。
幻覚妄想状態が1番ひどかった時は、家の窓の外で常に戦争が起きていた。戦車の大砲の音や銃撃音や女性の慟哭が常に聞こえて、何故かそれと同時にパレードの音やパンクロックの音がずっと聞こえていた。
もっと酷くなると、家の中での俺の一挙手一投足が常に周りから監視されていて、悪口を言われまくった。家のWi-Fiルーターに盗聴器が仕掛けられていると本気で思った。家の中に監視カメラがあると本気で思った。あまりに苦しくて包丁で自分の首や腹を刺そうとした。
最終的には俺のスマホの中身や閲覧履歴が全て警察にバレてると思い込んで、このままでは家にパトカーが来て俺は逮捕されると思い込んで、2階のベランダから何の迷いもなく飛び降りた。幸い、怪我をしただけで済んだ。俺の母は泣いていた。
俺が思うに、人が最も自殺に近づいてしまう時は、「妄想・幻覚症状」が出ている時だと思う。
実際には起きてない現象、実際には聞こえない音が全て当事者にとっては現実のものとして存在している。
あり得ない状態が、当事者にとっては本当のリアルにしか感じられなくて、メンタルはすぐに極限状態に陥る。
俺も何度も聞いた。「どうして聞こえないの!?」と。
もうあんな思いをするのは嫌だ。それは、俺以上に家族が思っているだろう。俺の頭が完全に狂った時、もう誰も止められなかった。
俺は頭が狂ったのを自覚して母に言った。
「今すぐ家から刃物みたいな危険物を全部消してほしい」
もし包丁があったら、下手したら家族や自分を刺してしまうと思ったからだ。
◆
今から四年前、23歳の時に俺は実家で薬物をやって、そのまま頭が壊れてしまい、精神科病院の閉鎖病棟に入院した。
自分が人間ではなくロボットになったような感覚だった。
◆
色々あったけど今も普通に生きてる。
あと1ヶ月くらいで28歳になってしまう。
まあいいんだ。
俺は俺なりに、適当に生きてる。
俺は生きたい気持ちよりも死にたい気持ちの方が遥かに強いから、今とても辛くて死にたいと思ってる人に対して上手く寄り添うような言葉を渡す事はできないんだが、いつか会おうぜ。ジジイやババアになってからでもいい。そもそも人生なんかに深い意味は何もないんだから、お互いにしわくちゃのジジイとババアになっても、「お互いよくここまで生きてきたね」って褒め合う事ができたらそれで充分、人生を頑張った事になると思うんだよな。死にたいのに死ななかったってだけでも、俺はその人を物凄く偉いと思う。まじで。
次回に続く
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