第12話 なぜかダメージを受けてるんだが

 筋肉痛でカクカクしながらの登校は辛いぞマジで……。


 マグカップ持ち上げんのも、ぷるぷる震えてしまったくらいだ。


「ふりっ」


「あがっ――止めい! 全身どこもヤバいんだから!」


 腕に抱きついてくる愛美。普段なら天国へ登れる。


 このふにゅにゅんは人類の宝だが、今は駄目だ。


 朝からシャワーしながらストレッチ&マッサージをやって多少はマシにはなったがな。


 だけど愛美。分からないと思うが昨日より重傷だからね。


「ふ~ん。これ、もうすぐ夏休みでしょ? 続けてやってたら……つん」


 くうっ――、こっ、今度は腹筋だとっ! そ、そこも厳しいんだけどぉぉ!


「うっ……つ、続けるつもりだぞ。レベル上がんねえなら基礎体力と筋力つけるしかねえと思うしな」


 二日連続だからこそ思った。筋肉痛ってことは筋肉が鍛えられてるってことだ。


 それに今まで以上の速さで動き回るから、体力だって上がるはずだ。


「あーね。でも勇斗のムッキムキマッチョは嫌だから細マッチョでお願いね」


「いや、愛美の趣味趣向には同意だけどな、俺もムキムキは嫌だし」


 ボディービルダーの見せる筋肉じゃなくて、格闘家のような、無駄の無い引き締まった筋肉希望だ。


「でしょ? でも、私もその筋トレやってみたいなぁ、痛いのは嫌だけど」


「いや、普通にレベルアップした方が絶対良いぞ。俺は上がんねえし、仕方なくだからな」


 愛美は柔らかいままレベルで強くなってもらいたい。


 今も左腕に当たるふにゅにゅんがムキムキになったらヤダもんな。


「あっ、かっのっんっちゃぁぁぁーん! おっはよー!」


「あ……痛かったけど、離されるのも辛いんだよな」


 あっ、また歌音が揉まれてる……。あの胸部装甲も人類の宝だな。アレも守らなきゃならない物の一つだ。


 ……愛美。もぐとか言ってたしな。冗談だろうけどね……冗談だよな?




 揉みくちゃ寸前を、痛む体に鞭打ってなんとか愛美を止め、バスに乗り込んだ。


 もちろん俺は立ち乗り。


 カーブキツいって!


 地獄のバス鍛練を終え、校門を抜けて教室へ向かう。


「あ、勇斗、午後のダンジョン実習はどうするの?」


 げっ、そうだった……昼までに筋肉痛治ってくれっかな。


「そうですね、勇斗くん、今回はちゃんとE級ダンジョンへ入ってくださいね、心配しちゃいますから」


「あー、そうだったな。今回はE級に入るよ、歌音にも心配かけたな」


「いえ、それと……勇斗くん、つんっ」


「ふぐっ――か、歌音!? おまっ」


「ふふ、本当です。愛美ちゃんの言った通り……え、えっと、私もどちらかと言えば細マッチョが良いです」


 いや、うん。細マッチョですね。頑張ろう。


 でだ。二人に挟まれ、つつかれたりして教室へ入ったんだ。


 女子たちからは生暖かい視線。男子たちからは『またか』って視線がある。いつものことだ。


 席に座り、ホームルーム寸前でいつも通り九頭と取り巻きたちが教室に入ってきた。


 またか。俺を見てニチャァと笑い、こっちに近づいてくる九頭。


「お~、御神ぃ~、ちゃんと来てんじゃん。今日は入るダンジョン間違えちゃだめでちゅよ~。ひゃはははー♪」


「……」


 お前がいらん挑発とかしなきゃ入らねえよクソが。


「ケケッ、だんまりかぁ~。目は反抗的だけどよ~、そんな目してていいんかぁ~、レベル0から微動だにしねえ無能がよお~」


「うるせえな。お前が絡んで来てっからこんな目になんだよ。嫌なら関わんな」


 おっ、言い返したら驚いてやがるな。ニチャァ笑いがヒクついてんぞ。


「テメェ――っ!」


 手をのばして胸ぐら掴もうとしてきた九頭。


 あれ? 遅くね? コレなら余裕で避けられるかも……。


 グイッ――


 左手で伸ばしてきた右手を外へずらし、握ってやった。


 痛みが走るが筋肉痛の痛みだ。


 九頭は何で俺のえりを掴めてないのか分かってないような顔だ。


 掴もうとした首もとと、自分の右手を視線が行ったり来たりしてる。


 グイッと引き寄せ、耳元で言ってやる。


「何すんだよ九頭。今度はここでヤるつもりか? 教室だぞ? 目撃者はお前の味方だけじゃないから今度はもみ消せないかもな」


 引き寄せた手を突き放してやる。おうおうヤバいくらい顔を真っ赤にしてる。


 あ、やれそうだったから思わずやっちまったけど……マズかったかも。


「テメェ……、俺様をバカにしやがったな……今日の実習は覚悟しておけよ」


 そー言って自分の席に離れていった。それと同時に担任が来た。


「席につけー、ホームルーム始めるぞー」


 あー、勢いでやってしまったな……実習、また面倒になりそうだ。


「――しておくように」


 九頭の背中を睨んで考え事してたせいだ。


 またホームルーム聞き逃したじゃねえか。……すまん先生。


「ね、ねえ勇斗くん、あの人、怖いです。……実習、大丈夫です?」


「ホントにあのクズ。なんとかならないかしら」


「二人ともすまん。まあ、なんとかするよ」


 二人に心配されつつ、なだめつつ、一限目が始まった。


 え? 小テスト? こないだ期末テスト終わったところじゃん!


 教室は数学教師の一言で、ぶーぶーとブーイングで包まれた。


 なんかおかしくね? 一限目が終わった時、ステータスを見たんだ。


 体力が減ってた。1だけだが……。


 おかしいだろ……九頭からじゃなく、何テストでダメージ食らってんだよ。


 これは筋肉痛のせいだな。テストは全部書き込んだし……。


 ―――――現時点のステータス―――――

【名前】ユート ミカミ(御神 勇斗)

【Lv】0

【状態】打ち身 擦り傷 筋肉痛

体力HP】9/10

魔力MP】0/0

【 力 】4

【耐久】6

【速さ】14

【器用】9

【知能】3

【精神】7

技能スキル

 ○個有ダンジョン

【装備】フライパンスライムクラッシャー



 また何かありそうですね( ̄▽ ̄;)


 そう言えば、期末テスト後の小テスト……マジであったのを思い出して書いちゃいました。

 完全に油断してる時にヤられるからダメージは大きかった記憶があります(´ノω;`)

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