第10話 襲われて
「勇斗、今日も放課後ダンジョン? 私は歌音とラブラブ買い物デートだけど」
「ちょっ、デートでもラブラブでもないです! ワークマン行くだけですから!」
「あー、ごめんな歌音。愛美のセクハラは言っても止まらねえからなぁ。おい愛美。嫌われんぞ?」
「大丈夫だもーん。ズッ友なんだもん。ね~」
「きゃっ、だから揉まないでー」
「ええのんか、ここがええのんかぁ~」
おっさんかっ!
「いい加減止めとけ愛美」
コツンとゲンコツを落としておく。
「痛ぁーい。良いじゃん、私のなんだし」
「「
なんとか引き剥がしたが、ここで別れるから……頑張ってくれ歌音。
愛美の『またハモってるぅ!』の声を聴きながら歌音の頭をぽんぽんしてダンジョンへ足を向けた。
……頑張れ。
ダンジョンに入り、横道にそれる。
人気がなくなったとたんにいつもの空間に飛ばされた。
二回目だけど慣れないな。
「今日の分持ってきたぞ。あっ――」
ウエストポーチが消えた。どうやってんだコレ。
【百個。確認しました。通常空間に――】
「待って! 今回もだけど持ってきた入れ物は返して!」
やっぱり何もない空間からウエストポーチが降ってきた。腰に戻してはくれないんだな……。
「ふう。ありがと。それと聴きたいんだけど、コレ何か分かるかな?」
気を取り直し、ポケットから昨日見つけた分もあわせて二個、青い石を取り出した。
【Sオーブですね】
「Sオーブ?」
【Sオーブ。ステータスオーブと呼ばれるものです】
ステータスオーブ? なんだそれ……ん?
「そ、それって、ステータスが上がるのか! 俺、レベルも上がってねえのに【速さ】が2上がったんだよ!」
その通りだと言ってくれ! だったら強くなれる!
【その通りです。青は速さが上昇します】
「いやっほーい! マジか! ステータス上がるのか! 来た来た来た来た! 世界最強が見えてきたぞ!」
【以上でしょうか? 通常空間に――】
「待って! えっと、この石を飲み込めば良いんだよな? 昨日一個飲んじまったんだが」
【肯定します。体内に取り込むことによってSオーブの力が付与されます】
「マジか! よーっし、テンション上がってきたぁぁぁ! ありがとうなダンジョン」
【では、通常空間に戻します】
「おう。また明日――」
「――な!」
帰ってきたな。……挨拶はしなきゃ駄目って今度教えてやるか。
いや、そんなことはどうでも……良くはないが、道筋が見えた。
Sオーブ。速さが上がるんだ。速さが上がればヤツの攻撃も避けられるはず。
「くくっ、さあやる気マックスだぜ! さっそく帰って……いや、小遣い稼ぎも重要だよな」
握ってたSオーブを口に放り込み、【速さ】が4増えたのを確認。
ふぉぉぉ! ヤバいぞコレ! 10だぞ速さが!
ってことはだ、元の倍以上……。
「よーっし。スライムちゃんたち。俺の小遣いになる時間だ」
スライムが
「次の方。あっ、御神くんですね、こちらへどうぞ」
「はい。今日もスライムですけどお願いします」
ウエストポーチから四百個オーバーの魔石を出す。
「え? あの時間からでこんなに!? す、凄い」
「少しコツが分かったと言うか、そんな感じです」
「は、はぁ、凄いコツですね。で、では集計しちゃいますのでお待ちください」
「はい」
速い。マジで【速さ】10は速かった。
慣れるまではかなり手こずったけど、世界が変わるってのはこの事かって思えるほどだ。
速すぎて目が回り、何度も壁に激突したり、躓いたりな。
ちょい、怪我もしたけど、血も出てない
慣れる頃には動体視力も強化されてるのが分かった。
なんせ多少は動いてるはずのスライムさえ、スローモーションに見えるほどだ。
こりゃ夜の個有ダンジョンでSオーブを集めるしかねえな。
くくっ、九頭に無理矢理参加させられる闘技大会で、ビックリさせてやる。
「お待たせしました。四百ちょうどでした。あっ、御神くん、今日はお尻、破れてませんよね?」
「へ? あっ!」
今日は大丈…………夫! ふう。破れてない。
「あ、あはは。大丈夫でした。えっと、昨日、見ちゃいました?」
「ははは、帰る前に見つけたのですが、声をかけた時には出ていってしまいましたので」
「あー、お見苦しいものを。家に帰ってから気がつきました。丸出しだったみたいです、はい」
くっ、昨日は呼び掛けを聞いておくんだった! 昨日の俺に一発くれてやりたいぜ。
「こちらこそ、追いかけられれば良かったのですがすいません。あっ、今日の4,000円です」
「はい。確かに。ではまた明日来ますのでよろしくです」
「……はい。ではまた明日お待ちしてますね。っ、怪我っ! 御神くん! 怪我してますよ!」
その後、受付を別の人に頼み込んで代わり、奥の応接室へ引きずり込まれた。
手や足の傷を全部消毒。……結構しみたぜ、
打ち身には
擦り傷には
『もうありませんか!』と、スゲー勢いで来られたが、なんとか止められた。
だってよ、尻とか見せられねえじゃん?
後は上着を脱がねえと駄目な所だ。肩とかだが、無いことにしておいた。
「はぁ、遅くなったな」
コンビニで無性に食べたくなったチョココロネと、安定の高千穂牧場カフェオレだ。
噛りながら地下道への階段を下りようとしたんだ。
ドンッ――
「ぶほっ!」
落ちっ――
バシャッ――
チョココロネとカフェオレを投げ捨て手
「チッ――」
舌打ち!? 見上げたがそこには誰もいなかった。
「くそったれが!」
体勢を起こし、少し落ちた階段を駆け上がる。
「何しやがる! ……いねえじゃねえか」
駅前のロータリーは、夜ってこともあるが人っ子一人いなかった。
少し遠いがコンビニの中にしかいない。
何で蹴り落とされた? 誰が? 九頭しか思い浮かばねえが、ヤツなら追い討ちしてくるだろ。
なら誰が…………。
しばらくロータリーを探し回ったが犯人らしきヤツは見つけられなかった。
―――――現時点のステータス―――――
【名前】ユート ミカミ(御神 勇斗)
【Lv】0
【状態】打ち身 擦り傷
【
【
【 力 】4
【耐久】6
【速さ】6→10
【器用】9
【知能】3
【精神】7
【
○個有ダンジョン
【装備】
勇斗おめでとうヾ(≧∀≦*)ノ〃
やっと強化できるようになりました。
闘技大会に向けて頑張って欲しいですね♪
気になる襲撃事件の真相は!
「チッ」と、舌打ちだけ残して消えたのは誰だ!
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