第9話 なんか上がった

「ふいぃ~。あー、そーいやビリッとか聞こえた時あったな……」


 ウエストポーチのマジックテープだと思ってたけど……お尻かぁ。


 まあ、しゃーねえな。





 ってか、ズボン破れてたから出して持って来ちまったけど……キレイだよなコレ。


 湯船の中、手の上で転がしてる青い玉。何なんだこれマジで。


 やっぱり魔石と違ったかぁ。そー言われると青いサイダー味の飴にしか見えねえもんな。


 カチカチ――。ダンジョンが返して来たから魔石じゃねえと思ったけど……。


 ふざけて飴のつもりで舐めてみる。


 甘くない。当たり前か。何やってんだろ。


 口の中で転がしてみる。確かキスの激しいヤツ。


 あっ、フレンチキスだ。アレは舌を絡め合うんだよな。


 よし。練習してみるか。舌でコロコロ…………。


 ガチャ――


「――っ! んぐっ!」


「ゆうくんズボン縫っておくね~」


 の、ののの飲み込んじまったぞ! は、吐かなきゃ!


 ――ガチャン。


 口に指をつっこむ。が込み上げてくるが吐けない。


 駄目だ、三十分は格闘したぞ……なのに出てこなかった……。死なねえよな……。


 飴玉飲み込んだ時も死ななかったし。


 てか義母さん……開けんなよ。






 父さんに変なの飲み込んだと相談したんだけど、たぶん心配無いとのこと。


 小さい時にビー玉飲み込んだことがあるらしい。


 ……それも何度も。初めて飲み込んだ時は父さんも大慌てだったそうだ。


 足を持って逆さ吊りにしたり、大量に水を飲ませたりと素人療法をやってみたが……。


 まあ、出なかったらしい。


 病院行くと、いわゆるお尻からそのうち出ると言われ……数日後にちゃんと出てきたとのこと。


 で、その後も何度か誤飲して出すをやりやがったそうだ。


 俺……何やってんだよ。憶えてないけどな。




 一安心したところで部屋に戻り固有ダンジョンに向かう。


「準備完了。個有ダンジョン、移転!」





「うっし、百個目標だな」


 風呂で時間かかったからなぁ。明日の分は少なめで我慢してもらおう。


 パンッ――


 ん? まあ、良いか。


 パンッ――


 ん~、なんかおかしくね? 微妙にだけど……まあ、考えてる時間ももったいねえな。


「おっ、二匹湧いてる――っ!」


 パパンッ――


 …………は? 早くね? いや、そんなことないか。


 パパパパンッ――


「早いわっ!」


 明らかに早い。近くにいる二匹ならまあ、わからんでもないけど……。


 流石に四匹は無いわ。……スゲーな、ステータスは……。


【名前】ユート ミカミ(御神 勇斗)

【Lv】0

【状態】健康

体力HP】10/10

魔力MP】0/0

【 力 】4

【耐久】6

【速さ】4→6

【器用】9

【知能】3

【精神】7

技能スキル

 ○個有ダンジョン

【装備】フライパンスライムクラッシャー


 なぁぁぁぁ!


 ス、ステ、ステータス増えとるがなぁぁぁぁ!


「ど、どうなってんだ、速さが2増えてる」


 何でだ。レベルは上がってない。他のステータスは変わってない。【速さ】だけ増えてる。


 あっ! もしかしてダンジョンに魔石渡した報酬か!


 うおぉぉぉ! テンション爆上がりじゃん!


 あれ? 夕方見た時上がってなかったぞ……。


 ………………どゆこと?



 ポヨン、トスッ――


「おわっ! コイツ! おりゃっ!」


 パンッ――


「ふう。全然痛くねえけどいつぶりだ? コイツらにぶち当たられたの。っと、また青いの出たな」


 考えても分かんねえな。


 ステータスの上昇はレベルアップと、武器、防具、アクセサリーで上がる。


 装備してるのは予備の制服とフライパンだ。速さが上がる要素は無い。


「ん~、分かんね。今は魔石集めに集中すっか」







 なぜか速さが上がったお陰で、スライム狩りも今まで以上にはかどった。


 思ったより速く、青玉除いて魔石百個を達成させた。


 帰還した後、【速さ】がなぜ上がったのか調べようとしたんだけど……。








 ふぁぁ~。もう朝か。あ、ステータス調べるつもりだったのに、寝ちまったな。


「ググるか――んぎっ! なんだこれっ、痛ぅぅ、こ、これ、身体中――」


 痛たい……。なんだこれ、筋肉痛みたいじゃねえか。


 スマホ取ろうと体ひねっただけだぞ。どうなってやがる。


 悲鳴をあげる体に鞭を打ち、スマホを……ぐぎぎ……ゲ、ゲットだぜ。


「くぅ、体起こすだけでコレかよ、どうなってんだマジで」


 あ、そっか、あんだけ動いたんだもんな、いつも以上の速さで。


 っと、ググらないとな。


 ステータス 上昇


「やっぱりレベルと装備品だけだよなぁ」


 ついでにコレも……。


 筋肉痛 治し方


 何々『ストレッチや軽いマッサージ、軽い運動、ぬるめのお湯での入浴などの血行を促すことを行いましょう』か。


「汗かいたまま寝ちまったし、シャワー浴びながらストレッチとマッサージするか」







 辛かったです。特に階段下りるのと靴下脱ぐの……。


 マッサージしたさ! めっちゃした! 柔軟も汗をかくくらい頑張った!


 歯を磨きに来た『ぐぎぎぎ……』とか言ってたら愛美に心配されたけどな。


 そのお陰で違和感はあるけど動けるようになった。


 ふと思う。こんだけ筋肉痛になるってことは……憧れの腹筋6パックになれるんじゃね?


 てか、コレ……夏休み中スライム筋トレ続ければよくね?


 たぶんレベルは上がらんが、ステータスに載らない基礎の筋力上げれば多少は善戦……。


 駄目だな。勝つ! 九頭の野郎を返り討ちにしてやる!


 よし。やる気スイッチ入ってきた!


 ガチャ――


「ゆうくん? なに騒いでるの? 朝ごはんできたわよ?」


「なっ! 義母さんドア開けんなよ!」


「あらあらごめんなさい。でもそろそろ出る時間だし」


「わ、分かったから! 出るから出てってよ!」


「はいはい。うふふ。恥ずかしがっちゃって。じゃあスープを温めておくから早くね~」


 ガチャン――


 ……シャワーだけして出るか。


 ―――――現時点のステータス―――――

【名前】ユート ミカミ(御神 勇斗)

【Lv】0

【状態】健康

体力HP】10/10

魔力MP】0/0

【 力 】4

【耐久】6

【速さ】4→6

【器用】9

【知能】3

【精神】7

技能スキル

 ○個有ダンジョン

【装備】フライパンスライムクラッシャー




 レベルは0のままだけど、【速さ】が上がったもよう。

 勇斗、良かったねˆT꒳​Tˆ♡

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る