正夢
u03u
抽選会
私はお母さんとショッピングモールに買い物に来ていた。
始めてくる場所なのでどこに何があるのかまったく分からない。
私とお母さんは迷いながらも買い物を終えた。
帰ろうとしたタイミングでアナウンスが流れる。
「この後13時より、中央広場にてお正月の大抽選会を行います。」
そういえば、お会計のときに抽選券を貰っていた。
13時まではあと20分程なので抽選会場近くのイートインスペースでドーナツでも食べながら待とう、ということになった。
5分前になり抽選の列へ並んだ。
だが、1等の景品が見当たらなかった。
近くに店員がいたので聞いてみることにした。
「1等の景品って何ですか?」
「1等は抽選開始の13時にお披露目となりますのでもう暫くお待ちください。」
店員に言われた通り、13時になるまで1等の景品を楽しみに待った。
13時になるとベルが鳴らされた。
「13時になりましたので、抽選会を開始します。1等の景品はこちらです。」
赤いサテン布を被せられた1等の景品が代車で運ばれてきていた。
定員の「こちらです。」の合図とともに、別の店員がサテン布を取ると、四角い氷がでてきた。
その氷の中には、私の顔があった。
なんで私の顔がここにあるのだろうか。
そう考えていると、店員が言った。
「こちら、1等の景品は女子高校生の顔になります。飾るもよし、自分の顔と変えるもよし、そして今回は特別に、転売もよしとしましょう。この顔は売れば大金持ちですよ。さあ、抽選会を始めましょう。」
自分の抽選が終わってもまだ私は混乱していた。
なんで勝手に私の顔を景品にされているのだろうか。
私以外が1等を当てたら私の顔はどうなるのだろうか。
疑問と焦りで正直頭が回らない。
とにかく、もっと抽選券を集めなければ。
そう思い、私はお母さんに訴えた。
「ねぇ、早くしないと他の人に取られちゃう。早く集めないとだよ。」
でもお母さんは平然としていた。
「そんなに欲しいの?売りに行くまで家に置いておくのも大変だしいらないでしょう。帰るよ。」
帰るよ?
いや、帰れるわけがない。
なんでそんなに平然としているのか不思議でしかない。
「なんで?私の顔なんだよ?早く取り返さないと。」
そんな私の言葉にお母さんは笑う。
「何言ってるの。あの顔はあなたのじゃないでしょう。あの顔があなたのなら今のあなたはどうなってるのよ。」
私ははっとした。
確かにそうだ。
あの顔が私の顔なら、今の私はどんな顔なのだろうか。
いや、そもそも顔は付いているのだろうか。
私は今どこから景色を見ているのだろうか。
急いでトイレに駆け込み、鏡で自分の姿を見た。
鏡に映った私の顔は鉄製のロボットのような顔だった。
私はさらに混乱した。
そうか、これは夢だ。
起きよう、起きるんだ。
タイミングよく目覚ましが鳴った。
私は目を開けてほっとした。
よかった、やっぱり夢だった。
そう思いながら顔に触れると、硬く冷たい感触がした。
正夢 u03u @strange_01
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