第24話 サクラの愛が重すぎる
結局、事件の後処理や事情聴取で、私は遅くまで拘束されてしまった。
おかげで絶賛寝不足……と言いたいところだが。
実のところ、睡眠自体は異能を使えば数秒で足りてしまう。
それでも、睡眠にまで異能を使うのは嫌なので、結果的にいつも寝不足状態だ。
「……たまには遅刻でもしてみようかな。」
そう呟きながら、私はスマホを取り出す。
画面に映った不在着信の数に、思わず目を疑った。
「不在着信……579!? メッセージ12804!? な、なにこれ!? 怖い!」
当然、送り主はサクラだ。
家に押しかけてこないだけ、マトモなのかもしれないけど......
さすがにこの件数は常軌を逸している。
ただおかげで、昨日ラナに抱いた嫉妬感は消し飛んで行ったし良いとする!
ピンポーン、ピンポンピンポーン。
「!?」
……前言撤回。やっぱり、マトモじゃない。
すでに家の前に来ている。
ていうか、警備員がいる一階のオートロックエレベーターどうやって突破したの……?
「さあ、頑張れ、名女優! 」
ベッドに腰掛けた私は、家のオートロックを異能で解除する。
すると、ものすごい速度でサクラが駆け寄ってくる気配がした。
「月乃ちゃん! 月乃ちゃーん!!」
「サク……」
まるで張り詰めていたものが全て解けたような……
そんな緩みきった泣き顔で、サクラは私に抱きついてきた。
いや、ごめん……
友人の人権を守るためにオブラートに包みすぎた。
泣き顔で体当たりしてきた。これが正しい。
「月乃ちゃぁぁん、生きてるぅ……月乃ちゃぁぁん……」
「心配かけてごめんね? ムーノ様が助けてくれたの……」
あああああもう! 自分に「様」付けするの、恥ずかしすぎ!
でもサクラの緩みきった顔を見ていたら、それも悪くない気がしてきた。。
「月乃ちゃん……もう、絶対に離さない。」
「サクラ? それはさすがに無理じゃない?」
「大丈夫! 今日からここに住んでいい?」
「ダメ!」
違う違う違う……私が大丈夫じゃない。
ここに住まれたら、ムーノとしての活動がストップする!
サクラがムーノグッズとか持ち込み始めたら……この場所はもはや休む場所ではなく地獄になる。
「一応、学校には申請してきたよ?」
やばい、この子本気だ。目がガチだ……
目の中に狂気が宿ってる! めちゃくちゃ怖いんですけど!?
「ダメ!」
「……なんで?」
「一人の時間がないと辛いって知ってるでしょ?」
「……知ってる。月乃ちゃんのことは何でも……でも、死なれたら嫌だよ!」
その言葉には、サクラの本気の悲痛さが滲んでいた。
少し揺らいだけど……私は人類の最高戦力だ。
でも私は人類の最高戦力だ……
サクラがいることによって助けられない人がいたら?
それをもしサクラが後から知ったら、彼女は必ず後悔するだろう。
これほどに私のことを思ってくれる優しさを、後悔なんかにさせてたまるか。
「大丈夫、私は死なない。絶対に。」
「え? つ、月乃ちゃん?」
「何があっても、私は絶対に打ち勝ってみせる。」
「つ、月乃ちゃん?」
たぶん、回帰前の私はサクラに助けを求めるだけの存在だったんだろう。
この力と『狂気』がない私ならば絶対にそうする……
そうやって今までの私は、助けないといけない存在だとサクラに印象付けさせてきたのだろう。
でも今の私は違う、私は強い。だから今度は私がサクラの願いを叶える。
カッコつけたけど、ぶっちゃけ超イージーゲームすぎる。
何せ私が生き残るだけでいいんだから笑笑
「だから……助けが必要なときは教えて?」
「分かった……一緒に住むのは諦めるよ。それはそうと、今日の学校は?」
「……休む。」
「……じゃあ、私も休むよ。デートしよ?」
「え?」
気づいたら、サクラとデートすることになっていた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
相変わらずサクラの異常愛が際立ちます。
そして次回はデート回!二人の青春が炸裂します。
面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をくれると超嬉しいです!!
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