第31話 謎の乱入者たち
湖の近くに落ちていた鱗と昨日俺とマリーナが戦ったドラゴンの鱗を照合魔法で調べれば同一個体かどうかが明確に判断できる。
根本的な解決には至らないだろうが、真実に近づけることは間違いない。
というわけで、早速昨日のドラゴンの死体を処理している分団と合流しようと大急ぎで移動を開始。
――で、ようやくたどり着き、馬から降りて進んでいると、ここで思わぬ事態が。
「うん? なんだ、あいつら」
先行するウィンタース分団長の足が突然止まる。
何事かと視線を前方へ向けると、そこには黒いローブを身にまとった三人組が。どうやら連中もドラゴンの死体に関心があるようで、ジッと見つめている。
その周囲には魔法兵団の制服を身にまとった十人以上の仲間が倒れている。
「ウ、ウィンタース分団長……」
「どうやら先を越されたらしいな。――行くぞ!」
目の前で仲間が窮地に陥っている以上、このままにはしておけない。
俺たちは彼らを救うために謎の三人組の前に立ちはだかった。
「随分と好き勝手に暴れてくれたようだな」
「…………」
ウィンタース分団長の呼びかけにもまったく応じる素振りさえ見せないローブの者たち。
不気味な雰囲気を漂わせている彼らとメンバーが火花を飛ばしている間、俺とダンハムは倒れている者たちの応急処置に回る。
命にかかわるような大怪我をしている者こそいなかったが、それでもかなりひどい傷を負わされている。
「ひどいことを……」
ヤツらの正体は不明――だが、間違いなく先日発生したドラゴン絡みの事件に深く関与しているだろう。でなければこれほどタイミングよくこの場に姿を見せるわけがない。連中は何かを隠すためにドラゴンの死体を始末しようとやってきたのではないか。
真相を確かめるためには、ヤツらの身柄を拘束するしかない。
「無事にここから逃げられると思わんことだ」
ウィンタース分団長も仲間をやられてブチギレており、迸る魔力を全身にまとうとそのまま三人組のひとりに殴りかかった。
魔法兵団のメンバーでありながら物理攻撃なのかと思ったが、よく見ると分団長の肌の色がまるで鉄のような灰色へと変わっている。
「っ! 状態変化魔法か!」
普通は魔力を炎や雷に変え、それを相手にぶつける。
だが、分団長の場合は自分自身を魔力によって大きく変化させ、攻撃手段としているのだ。
しかも金属に変えるというのは聞いたことがない。
かなりレアな魔法だ。
一方、殴られたひとりは吹っ飛んで後方にあった大きな岩に背中から叩きつけられる。
あの威力では無事じゃ済まないだろう――と、思っていたら、ローブはヒラヒラと宙を舞っていってしまった。
まるで抜け殻だ。
「ぬ? どうなってんだ?」
岩に叩きつけられたはずのローブの中身がない。
まさか、魔力でローブだけを動かしていた?
「ハズレってわけか?」
残ったのはふたり。
果たして、本物はどっちだ?
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