第22話 再会と窮地

 ようやくメイジーたちを発見できたかと思ったら、ここで思わぬ事態が。


「どうかしたの、先生」

「いや……妙なんだ。反応が多すぎる」


 現在までに行方不明となっているバークス分団のメンバーは三人。最初は複数の反応を確認できたので、これがメイジーたちだろうと確信していた――が、なぜか反応はドンドン増えていき、ついには十を超えたのだ。


「どうなっているんだ……魔法兵団以外に誰かがいるのか?」


 この数は明らかに異常だ。

 とにかく、何かよくないことが起きているというのは察せられたので、俺たちは大急ぎで現場へと向かう。もしかしたら、メイジーたちが巻き込まれているかもしれないからな。


 たどり着いたその場所は少しくぼんだ土地で、遠くから確認するのが難しい少し変わった地形をしていた。近くに川が流れており、その水が段差によって滝を生み出している。

 反応はこの近くから出ている。

 手分けして探した方がよさそうだとバークス分団長に提案しようとした、まさにその時だった。


「いた!」


 俺はくぼんだ土地の中心に三人の魔法使いを発見する。

 その中心にいる金色の髪をしたあの子は――


「メイジー!!」


 思わず叫んでしまったが、距離もあるせいか届いていないようでまったく反応が返ってこない。


 ――いや、ただ離れているだけじゃない。

 今彼女たちが置かれている状況を考えれば、それどころじゃないのは明白だ。


 メイジーたちを取り囲むようにしているのは狼型のモンスターだった。

 さっきの反応が急激に増えた原因はこいつらだろう。


 傍から見ていたら大ピンチなのだが、メイジーをよく知るマリーナやバークス分団長からすると信じられない光景に映っているらしい。

その理由は彼女の魔法使いとしての実力にあった。


「どうしたんだ? なぜ攻撃をしない?」

「メイジーほどの実力者なら、あれくらいの数をひとりで相手にしても問題ないはずなのに」


 どうやらメイジーが反撃をせず、ただ黙って周りのモンスターたちを警戒しているというのがおかしいらしい。

 俺からすればあれだけの数のモンスターに囲まれて怯んだ様子を見せず、堂々と向かい合っている時点でかなり凄いと思うんだけどな。おまけに幼い頃はとても大人しかったメイジーがそれをやっているのだから驚きだ。


 マリーナたちの疑問だが、それはすぐに解決した。


「どうやら、一緒にいる魔法使いのひとりが負傷しているようです。それもかなり深い傷のようだ」


 どうにも一人の様子がおかしいので注視していると、脇腹に手を当てながら苦悶の表情を浮かべている。あの狼型モンスターなのかドラゴンなのかは不明だが、あの痛み方からミシェルって人よりも重症っぽいぞ。


「メイジーは彼をかばっているのか……」


 下手に彼女が動けば、他のモンスターが負傷した者を襲うだろう。

 これだけの数を一掃できる広範囲魔法を使えないわけじゃなさそうだが、それにしてもリスクは高そうだ。


 それを承知で攻撃魔法使うか――メイジーは今、究極の選択を迫られている真っ最中だったのだ。

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