第21話 異変

 俺たちが発見したバークス分団のメンバー。

 その中にメイジーの姿はなかった。

 おまけに安否を追求したマリーナに対するバークス分団長のリアクション……予期せぬ事態が発生しているのは火を見るより明らかだった。


「メイジーはどこにいるんですか?」

「彼女は……我々にも居所が分からないのです」


 絞り出すように語るバークス分団長。

 恐らく、それが嘘偽りのない事実なのだろう。


「はぐれたままということですね?」

「そうです。あのドラゴンが戻ってくるかもしれないと警戒しながら周囲を捜索しているのですが、未だに見つかりません」


 今この場にいるのは三人。

 すでにふたりは保護しているので、残りのメンバーは三人か。


 残ったメンバーとメイジーが一緒に行動しているというなら希望が持てるのだが、もし単独で動いているとしたらかなりまずい状況と言えるだろう。


「探知魔法で周辺を調査していますが、今のところドラゴンの姿はこの近くに見られません」

「そうですか。――って、君は探知魔法を使えるんですか!?」


 あっ。

 この流れ……さっきもあったな。

 ひょっとして、初めて会う人は毎回子の説明からするのだろうか。


 できればいろいろと省きたいところではあるが、今日は一からキッチリと説明をしておく。


「なるほど……噂通り、さまざまな魔法に精通しているようだ」

「いや、そんなたいしたことでは……」

「他の属性魔法を会得するのは困難ですからね。あなたほど使いこなせる者は魔法兵団にも他にいないでしょう」


 そんな凄いことをやっている実感はないんだよなぁ。

 俺は村の人たちの生活を手助けできればって気持ちだけでやってきたから。


 ――っと、話がそれてしまったな。


 ともかく全員が目立った外傷もなく、まだ動けるということだったので彼らとも行動をともにし、残ったメンバーの捜索へと当たる。


 メイジーたちの行方を知るヒントとなるのは、俺の探知魔法のみ――というわけで、俺が先頭に立って歩いていたのだが、ここでついに新たな反応が。


「っ!? 東の方に反応がありました! それも複数……間違いなく、散り散りとなった残りのメンバーですよ!」


 そう口にすると、マリーナやバークス分団長たちは大喜び。

 もちろん俺もメイジーが無事と分かって安堵するのだが、ここでおかしな事態に。


「な、なんだ、これは……」


 まさかの事態に、俺は思わず探知魔法の反応へ疑いを持った。

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