第19話 一夜明けて

 ランドを転移魔法で王都へ送り届けた後、俺たちは仮眠をとりつつ調査を続行。

 実力者揃いとされるバークス分団がほぼ壊滅状態となり、おまけにその原因が巨大ドラゴンというのだから大変だ。


 ……ただ、疑問も浮かぶ。


 強者が揃うバークス分団を窮地に追い込むほどのドラゴンがいる――はずなのだが、どこにもそれらしい存在は見当たらない。


 この辺りは深い森が広がっている。

 だが、巨大ドラゴンが身を隠せるような場所はどこにもない。


 目で確認できる範囲では見当たらないし、探知魔法にも反応はない。


「ドラゴンの姿が見えないというのは気がかりだよね。あれから数日は経過しているのでここからいなくなっている可能性が高いのに」

「にもかかわらず、バークス分団の面々が集結する感じもない」

「でも、全滅したとは思えないよ」


 俺はバークス分団の実力を知らない。

 だが、マリーナがここまで言うからにはやはり相当な実力者たちで構成されているのだろうな。


 となると、やはり全滅はしておらず、何らかの理由で集結できないという見方が自然か。


「とにかく、辺りをくまなく探してみよう」

「そうだね」


 恐らく、魔法兵団からの援軍が到着するにはまだしばらく時間がかかるだろう。もしかしたらこのまま事件が解決するまで増援は望めないかも。

 そんな嫌な予感が脳裏に浮かぶ中、俺たちはバークス分団の行方を追って深い森をさまよい歩いていく。

 すると、ようやく探知魔法に反応が。

「む? ……どうやらそう遠くない距離に人がいるようだ」

「ホント!?」

「ああ。それにこの反応から察するに、複数人いる」


 この場に残っていると思われるバークス分団の人間は全員で六人。

 反応の大きさからして全員というわけじゃなさそうだ。


「固まっているのは二、三人といったところか」

「その中にメイジーは?」

「さすがに個人までは特定できないかな」


 魔力の質がどんなものか把握していれば話は別だが、俺はまだ昨日正式に配属が決まったばかりだからな。


 今思うと、これって割と重要な任務だと思うんだよな。

 魔法兵団期待のホープであるマリーナが派遣されるのは分かるけど、まだ入ったばかりの俺を同行させるのは少し無謀なのでは?

 まあ、採用試験での結果を見て即戦力と判断してくれたってことだとは思うけど。


 ともかく、新たに見つかった者たちのところへ急がなくては。


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