第17話 森での出会い
マリーナと一緒に森の中を探索中、ついに探知魔法が捉えた人物を発見する。
「大丈夫か!」
「おぉ……魔法兵団からの応援か? 随分と早かったな」
憔悴しきった顔つきで大きな木に背中を預けていたのは男性の魔法使い。
年齢は俺と同じくらいか。
怪我はしていないようだが疲労困憊って感じだ。
あと、この魔法使いとマリーナは顔見知りのようだった。
「ランドさん!? 何があったの!?」
「マリーナも来てくれたか……何、ちょっと厄介な敵に絡まれてな。おまえたちこそ、なんでここに?」
俺はランドという名の魔法使いにここまでの経緯を語った。
すると、強張っていた彼の表情が少し緩んだ。
「そうか……ミシェルがやってくれたか……転移魔法を使うのは随分と久しぶりだったからうまくいくかどうかは賭けだったが……」
どうやら仲間が無事に王都へたどり着き、俺たちへ危機を知らせてくれたことに対して安堵しているようだ。
喉が渇いたというランドへ水筒をわたすと、一心不乱になって飲み干す。やはりあの湖でドラゴンに襲われたらしく、戻るに戻れず途方に暮れていたらしい。
「俺たちがヤツに襲われたのは三日前だ。それからなんとか逃げ回り続けていたのだが……誰とも合流できていない」
「この近くにもいないようですから、探知魔法の捜索範囲をもっと広げてみます」
「何っ? おまえは探知魔法が使えるのか?」
「え、えぇ」
驚きの反応を見せるランド。
そんな変なことを口にしたつもりはなかったのだが、ここでマリーナがさらに追い打ちをかける。
「ふっふーん! この事実を知ったらきっともっと驚くよ!」
「ど、どういう意味だ、マリーナ」
「なんとこの方はあの大魔導士ゼルク・スタントンで、あたしの魔法の先生でもあるんだ!」
「なんだって!?」
今日一番の声がランドの口から漏れる。
「まさか実在していたなんて……」
珍獣を目撃したかのような目で俺を見るランド。
それはそれでだいぶ失礼だと思うが、今はそんな細かいことはどうでもいい。
知りたいのは他のメンバーの安否だ。
「この分団には他にもメンバーがいたはずだ。みんなどこにいる?」
「分かっていたら苦労はしないさ。あのバカデカいドラゴンが空から舞い降りて戦闘になった瞬間、散り散りになっちまったよ」
「バカデカいドラゴン……」
「あれはこれまで現れたどのドラゴンともタイプが違う。妙に賢くて、それでいてこちらの攻撃を見透かし方のようにかわして反撃してくるんだ。まるで心の中を読まれているような気分だったよ」
思考を読み取ってそれを反撃に生かすドラゴン。
控えめに言って……とても勝てる気がしなかった。
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