第15話

 ……なかったな……。ふむ、どうしようか。やはり学園日常ものはお好みではないのだろうか? と考えつつも、結局は登校する俺である。


「んで、何で急にそんなことを?」


 脳死で全く同じ事をしていた。流石に精神状態がすり減りすぎているのではないかと思う。だが、俺にとってこんな事態、些事に過ぎん。そう思うことで現状をひとまず自分の管理下に置き、彼の言葉に対する応答を考えるだけのリソースを確保する。


「ちょっと、モテようかと思ってな」

「……は?」


 そうなるのも当然だ。俺は、顔について言えばそこそこだ。身長は177cmでそこそこ。学力について言ってもそこそこ。そう、何をとってもそこそこいい。欠点と言えば、今こんなくそみたいな状況に陥っていることくらいだ。

 だからまぁ、そこそこモテる。そこそこだけど。だが俺は、恋愛について『ごめんね、今はそういうの考えてないんだ。また気が変わったら、ね』なーんてはぐらかしていたものだ。我ながら気色悪い。

 さて、それだけに飽き足らず俺は、合コンの誘い、カラオケ、誕生日パーティその他さまざまな男女の交わりを拒否って来た。

 さて、こんな身の上話をすれば分るだろう。次に奴から飛んで来るのは――

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500~ファイブ・ハンドレット~ 鹿 @HerrHirsch

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