第10話

 まさか、超常現象がこんなに身近になるとは。動木ゆるぎちゃんの背中から生えていた黒い羽。あれは大天使とやらと全くの同列のものだろう。しかも、あのよくわからないJK。動木ちゃんとは顔見知りなのだろうか?


 そんなことを思っていると、突然床が蠢き始めた。


「地震?!」


 今までの周回ではこんなこと無かったというのに、なぜ突然? 何がしか変数的なものが働くのであろうか?

 そう思って窓を開けると、この世のものとは思えない光景が広がっていた。


 燃え盛る住宅街、紅く染まる空、立ち上る噴煙。一体何だってんだ?!

 と思えば、その中心に居たのは、空飛ぶ二人の少女。


「ミュオリ エ サライ サルヴェート!」

「ドゥ ビスト ニクト イン メイネン ジェダンケン!」


 何語か分からない言葉を叫び合い、右手を向け合って、その掌から放たれる焔は、ぶつかり合って砕け散る。


「……なんだこりゃ」


 俺には分からない。何が何だって言うんだ。うーむ???

 そう思っていたら、後ろから突如として気配がした。


「ふむ……変なのが釣れたな」


 ……出た、諸悪の根源。アン…なんだっけアンダルシア?


「エンドリシェアである。まぁいい、次のループでは期待しているぞ」


 そう言って、彼女が窓を開ける――

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