第9話

 ……なぜこうも気になるところで。あえて調節しているのではないかとさえ思える。それはさておき、今回の行動を決めなければ。取り敢えずは顔洗い歯磨き等をして考えを整理する。なんにせよ学園で『面白いこと』を探すのが一番適当ではないだろうか? いや、安直な面白さでは天使が納得しないやも……ん? そういえばあいつ、神がそう望んでいる、とか言ってたな。ふむ、だとすると俺は神の好みを探らなくてはならない――


「こんにちは!」


 目を丸くして、俺は歯ブラシを洗面台に落とす。鏡に映る俺の後ろには、つい先ほどぶつかったあの少女がいた。


「やっぱ好きだわ〜、私ね、悪魔なの」


 …………????? 俺には理解できない単語だ。というか、脳が理解を拒んでいる。神やら大天使やら混乱してる中に悪魔って……これは人外の押し売りですか?


「先輩、失礼します」


 …………????? なんで動木ゆるぎちゃんが入ってくるの? 昨日鍵閉めて……あ、鍵閉めてないじゃん。前出る時も全く開けてなかったわ。

 って待て。この状況、まずいのでは?


「先輩……?」


 足音が近づいてくる。え、これは――


「貴様っ!」


 え? 動木ちゃんなんでそんな剣幕で? そう思っていると、動木ちゃんの背中に――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る